人から頼まれると断れない。
「任せてください!」と笑顔で言って、
あとでこっそり胃が痛くなる。
そんな自分に気づいて、
「どうして私はいつもこうなんだろう」と、
夜中にひとり反省会。
──はい、それ、みんなやってます。
■ 八っつぁん、また背負いすぎる
八っつぁん:
「熊さん、また断れなかったよ。」
熊さん:
「またか。何を?」
八っつぁん:
「町内の会計、頼まれてさ。」
熊さん:
「去年もやったろ?」
八っつぁん:
「ああ、でも“八っつぁんなら安心だ”って言われると、断れねぇのよ。」
熊さん:
「ほう。誉め言葉がエサになって釣られてるわけだな。」
八っつぁん:
「……釣られた魚は今日も徹夜だよ。」
■ 「期待される幸せ」と「縛られる苦しみ」
人から期待されるって、うれしいものです。
でもその喜びが、“義務”に変わると苦しくなる。
「応えなきゃ」と思うほど、
自分の中の「素の声」が聞こえなくなる。
本当は疲れてるのに「まだ頑張れる」と言い聞かせ、
本当は嫌なのに「私がやらなきゃ」と笑う。
優しさと責任感のあいだで、
いつのまにか“自分”を置いてきぼりにしてしまう。
■ 熊さんのひとこと
熊さん:
「八っつぁん、人の期待ってのは風船みたいなもんだ。」
八っつぁん:
「風船?」
熊さん:
「ふくらませすぎると、いつかパンッと割れる。」
八っつぁん:
「じゃあどうすりゃいい?」
熊さん:
「少しずつ空気を抜く練習だよ。“できない”って言うのも勇気の一つだ。」
■ 「まかせる」ことも優しさ
親鸞聖人は、
「自力をすてて他力をたのむ」
とお示しになりました。
これは、「何もするな」という意味じゃない。
“自分ひとりで背負いこむ心”を手放すということ。
阿弥陀さまは、
「お前の肩にそんなに乗せなくていい」と仰る。
人の期待をすべて抱えるより、
まかせる勇気を持つほうが、
ずっと深い優しさなのです。
■ 「いい人」より「本当の人」
人に合わせて“いい人”でいようとするより、
自分に正直な“本当の人”でいましょう。
「できません」と言える人は、
“人と本気で向き合っている人”です。
なぜなら、本当の信頼は、
「あなたにできる範囲を、私も尊重する」
という関係の上にしか築けないから。
■ 今夜のひとこと
期待に応えるより、命に応えよう。
人の望む形で生きようとするより、
自分のいのちが「それでいい」と微笑む方へ歩いていこう。
焦っても、間に合わなくても、
仏さまは一言も責めない。
「そのままで、よう頑張っとる。」
そう聞こえたら、今夜はゆっくり眠ってください。
あなたが“頑張らないでいる勇気”こそ、
明日、誰かをやさしく包む力になるから。