今回の記事は、こちらの記事にて紹介した曲とも「関連性」が認められることから、その「リブログ」としています。

 

今回の記事は、「こちらの記事」とも関連性があります。

 

 

 

「オリジナル録音」です(1965年11月3日録音/同月発売)。

 

 

こちらは、1966年2月20日、スイス・ローザンヌでのライヴ録音ですが、ブレルの「ライヴ録音」としては、「極めて珍しいもののひとつに入ります。

 

 

 

 

 

 

 

こちらは、最新の「大全集」です(上掲の「ライヴ録音」も含まれています)。

 

 

こちらは、いわゆる「文庫版」の全集です。

 

 

 

以下は、「過去」の「大全集」(現在では、「コレクターズ・アイテム」です)。

 

 

 

 

 

こちらは「全歌詞集」となります(書籍)。

 

 

 

 

「ブレル財団」公式サイト

 

https://fondationbrel.be/maintenance/

 

 

 

これまでの記事

 

 

 

 

さて...

 

 

 

昨年(2023年)が「没後45周年」(10月9日が「命日」)であった、「フランスシャンソン界の3大巨匠のひとり」、ジャック・ブレル(1929-78)。

 

 

「グラン(偉大な)ジャック」とも呼ばれる、まさに「偉大」な存在でありますが、今年はついに、「生誕95周年」ということにもなっており、「4月8日」は、その「誕生日」です。

 

 

 

今年も、引き続き、その「名作」を紹介していきたいと思います...。

 

 

 

今回の曲も、もしかするともう、あまり顧みられることのない、「珍しい」部類の作品に入るのかも知れませんが、ブレルの、「絶頂期」にして、「転換期」とも言える、1965年に発表された曲のひとつです。

 

 

 

「grand-mere "ごらんよ、おばあさんを"」

 

 

 

今回は、この曲をお送りいたします。

 

 

 

 

1965年11月に録音されたこの曲は、すぐさま、「25cmLP」(80 284「Jacky」)、また、「EP(シングル)」(70 901)として発売されました。

 

 

しかしその後、「豊作の年」1964年に発表された曲のうち、「Mathilde "いとしのマティルド(マチルダ)"」「les bergers "羊飼い"」(「元の記事」参照。今回の記事は、その「リブログ」です)「tango funebre "葬送のタンゴ"」「Jef "ジェフ"」の4曲が、元のアルバムから「分割」され、1966年、新たに、「30cmLP」(80 323S)として、「再編」されることになりました。

 

 

現在、「オリジナルアルバム」として残っているのは、実は、この「30cmLP化」されたもので、そのため、昔は特に、「1965年の作品」が、誤って、「1966年の作品」として、紹介されていたこともありました。

 

 

(真の「1966年の作品」とは、この次のアルバム、「Jacques Brel 67」に収録されているもので、オランピア劇場での「さよなら公演(アデュー・オランピア)」にて発表された、「le cheval "馬"」「mon enfance "子どもの頃"」「fils de... "子どもはみんな"」「les bonbons 67 "ボンボン67"」「le gaz "ガス"」が、それに当たります)

 

 

 

1966年に発売された「30cmLP」、「80 323S」は、実は私が、「中学生」の頃に、「初めて」手にした「輸入盤」(中古)でもあり、私にとっては大変「懐かしい」、「思い出もある1枚」だと言えますが、「当時の輸入盤」には「歌詞」の掲載がなく、その「内容」を「理解」しようとする試みは、極めて、「難渋」の道をたどることとなりました。

 

 

レコ―ドや、それを「録音」したカセットテープを聴きながら、何度も、「書き取り」を試みたのですが、「文法的に合っていない」ことはもちろん、ひとつひとつの「単語」ですらも、当時は、正確に聴き取ることは、「まず無理」でもあったのです。

 

 

(当時の日本のレコード会社ですらも、歌詞は「聴き取り」に頼っていたというのですから、当然、「誤りも多い」歌詞カードとなっていました)

 

 

 

日本では、1979年1月に、「キングレコード」から、「いとしのマチルダ」(GP-663)として発売されていますが、こちらは、「追悼盤」として、「30cm」の「オリジナルアルバム」が、「シリーズ」として発売となったものでした。

 

 

 

その「曲目」は、次の通りです。

 

 

A-1.ces gens-la  あの人たち

   2.Jef  ジェフ

   3.Jacky  ジャッキー

   4.les berger  羊飼い

   5.tango funebre  葬送のタンゴ

 

B-1.Fernand  フェルナン

   2.Mathilde  いとしのマチルダ

   3.l'age idiot  バカげた世代

   4.grand-mere  ごらんよ、おばあさんを (「今回の曲」)

   5.les desesperes  望み失せし人々

 

 

 

(参考)

 

 

 

しかし「当時」は、発売はされても「すぐに製造中止(廃盤)」で、1983年、運良く、「行かないで(1972年の再録音盤)」(GP-662)を手に入れることが出来たくらいで終わってしまいました...(信じられないことに、地元のレコード店に残っていました。もちろん、「新品」です)。

 

 

この日本盤、「いとしのマチルダ」(GP-663)も、やはり後年、「中古」で手に入れたものでした。

 

 

 

 

ところで、何と今回、この「grand-mere "ごらんよ、おばあさんを"」の紹介にて、「30cm」にて発売されたこのアルバム、「ces gens-la "あの人たち"」(フランスでのタイトル)「全曲」を、「正式な記事」にて紹介し終えることになりました。

 

 

 

先述のように、ブレルの、「絶頂期」にして、「転換期」に発表された、これらの曲、アルバム...。

 

 

 

それも、「生誕95周年」の、その「誕生日」に...。

 

 

 

これもひとえに、みなさまの「応援」があったからこそだと思っています。

 

 

 

あらためて、「感謝」を申し上げたいと思います。

 

 

 

 

それでは、それらの曲を、いくつか振り返ってみましょう...。

 

 

(詳しくは、それぞれの記事をご参照ください)

 

 

 

 

「ces gens-la "あの人たち"」(1965)

 

1966年10月、オランピア劇場での「さよなら公演」より。

 

 

「Jef "ジェフ"」(1964)

 

同じく、「アデュー・オランピア1966」からの映像ですが、「Blu-ray」用に、「HDリマスター化」されたものです。

 

 

「(la chanson de )Jacky "ジャッキー"」(1965)

 

 

「Fernand "フェルナン"」(1965)

 

1966年、ツアー先のリヨンからの中継ですが、何と、パリのスタジオにいた「レジェンド」、シャルル・トレネ(1913-2001)に、「bonsoir!(こんばんは)」と、呼びかけられる場面から収録されています。

 

 

「Mathilde "いとしのマティルド(マチルダ)"」(1963-64)

 

こちらも、「アデュー・オランピア1966」からの映像です。

 

 

「les desesperes "望み失せし人々"」(1965)

 

 

 

Blu-rayは、日本のプレ―ヤ―でも、再生が「可能」です(「日本語字幕」もあり)。

 

 

 

 

 

 

最後に、今回の曲、「grand-mere "ごらんよ、おばあさんを"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

 

 

ここで歌われている「おばあさん」とは、「商売」を切り盛りする、とても「豪快」な人です。

 

 

対する「おじいさん」は、「浮気性」で、しょっちゅう、「メイド」を追いかけまわしているという人。


 

「おばあさん」の「武勇伝」に対して、「おじいさん」の「良い話」は聞けません(笑)。

 

 

(ブレルの「実家」は、「ダンボール工場」を経営していましたから、このようなエピソードがあっても、決しておかしくはありませんね...)

 


 

ライヴ録音では、そのあたりが、とても「面白おかしく」歌われています。

 


最終節の終わりでは、おじいさんがおばあさんを裏切ったことを、「恥じ入り、悔いている」と歌われるのですが、「でも、あんまり...ちょっとだけ...」と、自分で「茶々」を入れて、笑いを誘ってもいます。

 

 

この作品は、「詞」、「曲」ともにブレル自身が書いていますが、やはり「舞曲」を思わせる、フランソワ・ローべール(1933-2003)の巧みなアレンジがまた、「聴きもの」だと思います。

 

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

 

それではまた...。

 

 

 

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grand-mere  ごらんよ、おばあさんを

 

faut voir grand-mere

grand-mere et sa poitrine

grand-mere et ses usines

et ses vingt secretaires

faut voir mere-grand

diriger ses affaires

elle vend des courants d'air

deguises en coups de vent

faut voir grand-mere

quand elle compte son magot

ca fait des tas de zeros

pointes comme son derriere

 

ごらんよ、おばあさんを

おばあさんと、その胸を

おばあさんと、その工場を

そして、20人の秘書たちを

ごらんよ、おばあさんを

彼女が指揮するビジネスは

突風に見せかけた

気流の販売

ごらんよ、おばあさんを

彼女がそのへそくりを数える時には

その下(後ろ)に

ゼロがいくつも並んでいる

 

mais pendant ce temps-la

grand-pere court apres la bonne

en lui disant que l'argent ne fait pas le bonheur

comment voulez-vous bonnes gens que nos bonnes bonnes

et que nos petits epargnants aient le sens des valeurs

 

でもそうしている間に

おじいさんは、メイドを追い回している

「カネなんかじゃ幸せになれん」などと言いながら

何がお望みか 私たちのメイドたちよりも良き人々よ

節約家なんかに、価値のセンスなんてあるのかい?

 

faut voir grand-mere

c'est une tramontane

qui fume le havane

et fait trembler la terre

faut voir grand-mere

cerclee de generaux

etre culotte de peau

et gagner leurs gueguerres

faut voir grand-mere

dressee sous son chapeau

c'est Waterloo

ou ne serait pas venu Blucher

 

ごらんよ、おばあさんを

まるで、ハバナ(タバコ)を吸っている

アルプスおろしだ

そして地球を震わせる

ごらんよ、おばあさんを

将軍たちに囲まれて

(軍服の)革ズボンで

そして戦争に勝つ

ごらんよ、おばあさんを

帽子をかぶり、胸を張り

まるで、ブリュッヒャー元帥の来なかった

ワーテルローの戦いみたいだ

 

mais pendant ce temps-la

grand-pere court apres la bonne

en lui disant que l'armee elle bat le beurre

comment voulez-vous bonnes gens que nos bonnes bonnes

et que nos chers pioupious aient le sens des valeurs

 

でもそうしている間に

おじいさんは、メイドを追い回している

「軍隊は大金を稼ぐ」などと言いながら

何がお望みか 私たちのメイドたちよりも良き人々よ

一兵卒なんかに、価値のセンスなんてあるのかい?

 

faut voir grand-mere

s'assurer sur la mort

un p'tit coup de presbytere

un p'tit coup de remords

faut voir grand-mere

et ses ligues de vertu

ses anciens combattants

ses anciens combattus

faut voir grand-mere

quand elle se croit pecheresse

un grand verre de grand-messe

et un doigt de couvent

 

ごらんよ、おばあさんを

まさに命がけだよ

長老会にちょっと

後悔の念にちょっと

ごらんよ、おばあさんを

美徳の同盟

退役軍人の会

昔戦った相手の会

ごらんよ、おばあさんを

自分が罪深いと思うとき

荘厳ミサの大杯と

ちょっとばかり修道院を...

 

mais pendant ce temps-la

grand-pere court apres la bonne

en lui disant que les cures sont farceurs

comment voulez-vous bonnes gens que nos bonnes bonnes

et que nos petits incroyants aient le sens des valeurs

 

でもそうしている間に

おじいさんは、メイドを追い回している

「坊さんたちはホラ吹きだ」などと言いながら

何がお望みか 私たちのメイドたちよりも良き人々よ

無信仰な者なんかに、価値のセンスなんてあるのかい?

 

mais il faut voir grand-pere

dans les bistrots bavards

ou claquent les billards

et les chopes de biere

faut voir pere-grand

caresser les roseaux

effeuiller les etangs

et pleurer du Rimbaud

faut voir grand-pere

dimanche finissant

honteux et regrettant

d'avoir trompe grand-mere

 

でもごらんよ、おじいさんを

おしゃべりなビストロで

ビリヤードの音と

ビールジョッキの音

ごらんよ、おじいさんを

葦を撫で

池を掃除しながら

ランボーに泣く

ごらんよ、おじいさんを

日曜日が終わるころ

恥じ入り、悔いている

おばあさんを裏切ったことを

 

mais pendant ce temps-la

grand-mere se tape la bonne

en lui disant que les hommes sont menteurs

comment voulez-vous bonnes gens que nos bonnes bonnes

et que notre belle jeunesse aient le sens des valeurs

 

でもそうしている間に

おばあさんは、メイドに口説いてる

「男はみんな嘘つきだよ」などと言いながら

何がお望みか 私たちのメイドたちよりも良き人々よ

私たちの美しい青春に、価値のセンスなんてあったのかい?

 

(daniel-b=フランス専門)