「今回の記事」は、「最初期」の頃に書いた記事を「リブログ」して書いていますが、この「元の記事」も、それなりに「詳しく」書いていますので、もし良ければ、読んでみてください...。

 

さあ!!

 

こちらの動画を見ていただいて、みなさまは、「どう」思われることでしょうか...。

 

これまでの「曲」や、「動画」をよ~くご覧いただいた方々であれば、

 

「ジャック・ブレルの(まんま)女性版?」(!!)といった印象を、強く受けられると思います。

 

こちらの歌手、マルティーヌ・ボージュー(1949-90)は、その「歌唱法」や、「身振り手振り」も、本当に「そのまんま」という感じがしますが、「若くして亡くなった」というところまで「そっくり」です...。

 

こちらは、その「オリジナル録音」(1967)ですが、当時、何と「18歳」であったことに、さらに「ビックリ!!」です...。

 

 

こちらは、やはり「ブリュッセル首都圏地域」、アンデルレヒト出身の歌手、ジャン=ジャック・キラ(1947-)による「カバー」です。

 

彼の父親は、「ショコラティエ」とのことで、ブレルと同じく、まったく、「音楽とは関係のない家庭」だったようです。

 

 

こちらは、「本家」ジャック・ブレルの「記録映像」(「リハーサル風景」)から...(1966年2月1日、テレビ放送)。

 

「作者自身の歌唱」(「6分10秒頃」から)として、「極めて珍しい(貴重な)映像」とも言えますが、結局、ブレル自身は、この曲「he! M'man "ねえ、ママ"」を、「録音」することはありませんでした。

 

「一般的」にはむしろ、「冒頭」で、「mon enfance "子どもの頃"」(1966-67)(「正式な記事」として「紹介済み」)の「試作バージョン」が歌われている方が「貴重」と言えるのかも知れません...。

 

 

この映像は、こちらの「DVD」に収録。

 

 

 

「歌詞」は、こちらの「全歌詞集」(書籍)に「収録」されています。

 

 

「公式サイト」(「統一」されました)。

「ブレル財団」は、昨年(2021年)、「創立40周年」を迎えました。

 

これまでの記事

 

 

 

さて...

 

 

「4月8日」は、フランス・シャンソン界の「3大巨匠」の1人であるジャック・ブレル(1929-78)の「誕生日」でした。

 

 

また今年は、私がブレルを聴くようになってちょうど「40年」という、「記念の年」に当たることもあって、それなりの「企画」を、いくつか「用意」しているのですが、今回の「この記事」も、「そのひとつ」と言っても良いかも知れませんね...。

 

 

 

ブレルには、「自身が歌い、録音した曲」以外にも、「かなりな数の作品」が「存在」するとも言われており、作られた作品の「総数」で言えば、実に「数百曲」にも上るということが、「報道」されたこともありました(さすがに、「数百曲」は「オーバー」かも知れませんが...)。

 

 

その、「提供作品の代表」として挙げられるのが、「盟友」ジュリエット・グレコ(1927-2020)に捧げられ、彼女自身が歌った2曲、「vieille "老婆"」(1963, 「正式な記事」として「紹介済み」)と、「je suis bien "私はしあわせ(とても素敵)"」(1966-67)だと思いますが、このように、「現在」でも「残っている」と言えるのは、実は、「この2曲だけ」だと言えるのかも知れません...。

 

 

それはやはり、「ブレル」という、「強烈な個性」を乗り越えていくのが、「並大抵のことではない」ということでもあり、一般に良く知られている「有名曲」でも、かつては、「カバーすることがはばかられる」くらい、「オリジナルの重み」が言われたことがありました...。

 

 

とは言え、ブレルの次女、フランス・ブレル(1953-)が「中心」となって、1981年に設立された、「la fondation internationale Jacques Brel "国際ジャック・ブレル協会(「ブレル財団」)"」が、ブレルの作品を「後世」に伝えるために、その作品を「一括管理」するという「枠組み」が生まれたことにより、「現在」では、「カバー」を試みる歌手も、「世界的」に、「大幅に増えた」とも言うことが出来ると思います。

 

 

まあ、そうした「有名曲の話」はさておき、先述の、「盟友」、ジュリエット・グレコ(その「夫」は、ブレルの「ピアニスト」で、「大ヒット曲」の多くを作曲した、ジェラール・ジュアネスト...)のために作られた曲の他にも、ブレルは、主に「詞」(一部作品は、「曲」も)を書いて「作品提供」しているのであり、「多忙」であった「全盛期」においても、「人とのつながり」を「重視」し、そのような「交流」も「欠かさなかった」という、まさに、「アーティストの鑑」と言える「側面」をも、持ち合わせていたのです...。

 

 

 

「この曲」もそうでしたね...。

 

 

もともと、エディット・ピアフ(1915-63)のために書かれたものの、ついに、ピアフ自身は、「歌うことが出来なかった」曲、「je m'en remets a toi "あなた次第(決めるのはあなた)"」(1963)...。

 

 

ブレルが「詞」を書き、作曲は、「non, je ne regrette rien "いいえ、私は何も後悔していない(水に流して)"」(1960)、「mon Dieu "私の神様(神よ)"」(1960)の曲を書いている、シャルル・デュモン(1929-)。

 

 

そうしたこともあって、シャルル・デュモンは、この曲を、後に「自身のレパートリー」に加えましたが、ブレル自身は、その後、歌うことは「なかった」ようです...。

 

日本では、加藤登紀子さん(1943-)が、自ら翻訳して歌っています。

 

 

この曲については、加藤登紀子さん自身のこちらの著書に、詳しく書かれています(2016年初版)。

 

 

「詳細」は、こちらの記事をご参照ください....(「歌詞対訳」も掲載しています)。

 

 

 

この「je m'en remets a toi "あなた次第(決めるのはあなた)"」に関していえば、「ブレル」よりも、「シャルル・デュモン/エディット・ピアフ」の「個性」の方が「勝っている」のであり、「ブレルの作品(「詞」を書いたのがブレル)」と言われても、すぐには「ピン」と来ないのではないかとも思います。

 

 

それでも、ピアフは当時、

 

 

「まだ私のことを忘れていない人がいるのね。なんとかして歌いたいわ」

 

 

とも、話していたということで...(その「肉声」が残る、テープが見つかったそうです)。

 

 

...とは言うものの、1959年に発表された、ブレル自身の歌った名曲、「ne me quitte pas "行かないで"」については、当時、

 

 

un homme ne devrait pas s'abaisser a chanter des choses comme ca!!

 

「男というものは、こうした隷従に身を任せるべきではない」(大野修平先生訳)

 

 

という、「厳しい発言」もしていました...。

 

 

 

さて、今回採り上げたのは、Martine Beaujoud(1949-90, マルティーヌ・ボージュー)という女性歌手が歌ったもので、「He m'man "ねえ、ママ"」(1966-67)という曲ですが、上に挙げている、「全歌詞集」にも、その歌詞が掲載されています(この書籍の記述では、ジェラール・ジュアネストの作曲となっていますが、ウィキペディアでは、「詞」、「曲」ともブレルとなっています)。

 

 

また、その書籍の中の注釈、および、動画の説明によれば、この作品は、元々は、ミレイユ・マチュー(1946-)への作品だったようですが、彼女は結局、この歌を採り上げることはなかったようです。


マルティーヌについての、「詳細な情報」というのはあまり多くありませんが、ウィキペディアの情報によれば、エンリコ・マシアス(1938-)のベーシスト、アンリ・ダゲール(故人)との間に、「ヤニック」という息子が生まれたものの、彼もまた、2011年に「40歳」という若さで世を去ってしまったということが伝えられています。

 

 

ちなみに、アンリと、バルバラ(1930-97)の「バンドマスター」として有名なジェラールは、「兄弟」だということです(詳細は不明ですが、多分、「ジェラール」の方が弟)。

 

 

この曲、「he m'man」は、「ブレル色」がとても色濃く出ている作品だと思います。そんなわけでミレイユ・マチューが嫌ったのか、それはどうか、私には分かりませんけれども...。


ねえ、ママ そんな風に泣いてはだめ
ねえってば! そんなことのために泣かないで
みんなは、自分たちが言ってることを分かっていないだけ
何でも好き勝手にモノを言ってるだけ...

 

 

その「パフォーマンス」は、まさに、「女性版ジャック・ブレル」とも言えるもので、グレコや、バルバラ(1930-97)よりも、「さらにブレル」、「あまりにもブレル」、といった「印象」も受けます...。

 

 

 

続いてこちらも、「一般」には、ほとんど知られてはいない、「ブレルの作品」です。

 

「dis-moi tambour "太鼓よ、言って"」(1958)は、グレコの「je hais les dimanches "日曜日は嫌い"」(1950, 詞は、シャルル・アズナヴール)を作曲したフローランス・ヴェラン(1922-2006)が曲を付け、ヴェラン自身が歌ったもので、やはり、ブレル自身の録音は確認されていません...。

 

 

こちらの作品の「詞」も、冒頭に挙げている、「全歌詞集」に「収録」されています...。

 

 

ヴェラン自身のCDは、2010年に「les tresors oublies de la chanson(シャンソンの忘れられた宝たち)」というシリーズの1枚として復刻されました(この他、ブレル自身の「後発盤(CD)」でも、この曲を、「収録」しているものがあります)。

 

 

 

さて、「音源」は、ついに見つかりませんでしたが、サッシャ・ディステル(1933-2004)が歌った、「les crocodiles」(1963)という曲のタイトルは、ズバリ、「ワニたち」のことです。

 


サッシャ・ディステルは、「ジャズ」の影響を色濃く受けているアーティストで、その「叔父」に当たるのが、あの、レイ・ヴェンチュラ(1908-79)です。

 

 

「scoubidou "スクビドゥ"」(1958-59)などの大ヒット曲で知られています。

 

 

その「scoubidou "スクビドゥ"」...。

 

この映像は、1965年10月14日の「テレビ出演」の模様です(ちなみに、バックのオーケストラは、レイモン・ルフェーヴルの手によります)。

 

 

 

ディステルには、もう1曲、自身が「曲」を書いた、「le crocodile "クロコダイル"」(1966)という作品(「詞」は、モーリス・テーゼ)があって紛らわしいのですが、まったく「別」の曲です。


「ブレル作品」の方である「les crocodiles "ワニたち"」(1963)は、かなり以前に、大阪の、とある「中古レコード店」が、「試聴用サンプル」として、そのホームページに貼り付けていましたが、「店名」は、もう思い出すことすらできません。

 


曲を聴くかぎりでは、まったくの「ディステルの曲」で、詞・曲ともに「ブレルが書いた」と言っても、すぐには信じてもらえないのではないかと思います。

 

 

このレコードの「詳細」は、もはや、こうした「通販サイト」でしか、「確認」することが出来ません...(「詞」は、やはり、冒頭に挙げている、「全歌詞集」に収録されています...)。

 

 

ちなみに、こちらが、もう一方の曲、「le crocodile "クロコダイル"」(1966)です。

 

この「両曲」の間に、いったい、「どんな関係」が...?

 

 

(参考)こちらの曲についての「詳細情報」(「オリジナル盤」)。

 

 

 

「he! M'man "ねえ、ママ"」にしても、「dis-moi tambour "太鼓よ、言って"」にしても、「les crocodiles "ワニたち"」にしても、どれもが、もう、「忘れられて久しい作品」のように思われます。

 


決して、「手を抜いた」わけではないのでしょうけどね...。

 


シャルル・アズナヴール(1924-2018)は、ブレルの作品を評して、次のように語っています。


ブレルの作品は、彼自身以外の何ものでもなかった...。



やはり、「ブレル」という「強烈な個性」を乗り越えていくのは、「並大抵のことではない」のかも知れません...。

 

 

以下に、「he! M'man "ねえ、ママ"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

 

ありがとうございました。

 

 

それではまた...。

 

 

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he! M'man  ねえ、ママ

 

he! M'man faut pas pleurer comme ca

dis he! M'man faut pas pleurer pour ca

les autres savent pas ce qu'ils disent

les autres ils disent n'importe quoi

 

ねえ、ママ そんな風に泣いてはだめ
ねえってば! そんなことのために泣かないで
みんなは、自分たちが言ってることを分かっていないだけ
何でも好き勝手にモノを言ってるだけ...

 

non, non il faut passer ta robe de dentelle

on defilera de sur la promenade

tu souriras arcade apres arcade

les hommes diront que c'est toi la plus belle

 

いいえ、いいえ、あなたは、レースのドレスを着る必要はない

ともに街なかを歩く時でも

あなたは、アーケードからアーケードへと、微笑みを振りまいて

男たちは、「一番美しいのは君だ」とか言うのでしょう...

 

et tant pis si les femelles jasent

et tant pis si jasent les bourgeois

d'ailleurs y a plus de bourgeois

M'man y a plus que des bourgeoises

he! M'man faut pas pleurer comme ca

 

仕方ないわ、あの女たちがぐちゃぐちゃ言っていても

仕方ない、あのブルジョワたちが...

いいえ、もう、ブルジョワなんていない

ママ、いるのは俗物な女たちだけ

ねえ、ママ そんな風に泣いてはだめ

 

dis, dis, dis, he! M'man faut pas pleurer comme ca

dis he! M'man faut pas pleurer pour ca

les autres savent pas ce qu'ils medisent

les autres medisent n'importe quoi

 

ねえ、ねえ、ねえ、ママ そんな風に泣いてはだめ

ねえってば! そんなことのために泣かないで
みんなは、自分たちが言ってる悪口を分かっていないだけ
何でも好き勝手に悪口を言ってるだけ...

 

non je sais que tu as recu des coups de pied au tendre

je sais que tu as recu des coups de poing au coeur

mais faut bouger M'man il faut pas se laisser prendre

par des voisins qui se prennent pour des chasseurs

 

いいえ、私は、あなたの優しい心を、足げにされたことを知っている

その心を、殴られたことを知っている

でもママは、行動しなくちゃいけない あんな狩人気取りの隣人たちに

捕えられているだけじゃいけない

 

et tant pis si les fenetres nous regardent

et tant pis si elles nous designent du doigt

je me ferai raide je serai ta tour de garde

he! M'man faut pas pleurer comme ca

 

仕方ないわ、窓が私たちを見ているとしても

仕方ない、それらに、指を差されたとしても

私は身を硬くし、あなたの監視塔になるわ

ねえ、ママ そんな風に泣いてはだめ

 

dis, dis, dis, he! M'man faut pas pleurer comme ca 

dis he! M'man faut pas pleurer pour ca

les autres savent pas ce qu'ils disent

mais nous nous on sait bien qu'il reviendra

 

ねえ、ねえ、ねえ、ママ そんな風に泣いてはだめ
ねえってば! そんなことのために泣かないで
みんなは、自分たちが言ってることを分かっていないだけ

でも、私たちは、彼が帰って来ることをよく分かっている

 

il reviendra grand gros lourd et bete

avec sa grande gueule et son cuir dechevelu

entre deux vins ou entre deux tempetes

il reviendra comme il est deja revenu

 

彼は帰って来るでしょう 大きく太って、愚かに(なって)

大きな口と、ガサガサの肌で

2本のワインの間、または、2つの嵐の間で

彼は帰って来るでしょう もうすでに帰って来ていたかのように

 

et tant pis si les pisseuses te bavardent

toi tu seras fiere de retrouver ton velu

il vaut pas le coup M'man mais est-ce que ca me regarde

si tu es heureuse moi je ne demande rien de plus

he! M'man est-ce que t'entends comme moi dis

he! M'man je l'entends qui gueule en bas

ton Jules

 

仕方ないわ、あんな小娘たちがそんなことを言ったとしても

あなたは、あの「毛むくじゃら」にまた会えることを「自慢」すればいい

それだけの価値はなくても、私には関係あるかも

あなたが幸せなら、私はもう、何も求めない

ねえ、ママ 何か聴こえなかった?

ねえ、ママ 下で叫んでいる声が聴こえるわよ

(あなたの)ジュールの声だわ!!

 

(daniel-b=フランス専門)