こちらは「第1番ト短調」(1892)。
若くして書かれた「単一楽章」の作品ながら、「尊敬」するチャイコフスキー(1840-93)の「影響」を受け、「哀感」にあふれ、「情緒豊か」な「名曲」に仕上がっています。
「生前」に出版されることはついにありませんでしたが、現在では、「ピアノ三重奏曲」の「第1番」として、演奏される機会も多い作品となっています。
「ボロディン・トリオ」の名演奏でどうぞ。
こちらは、その「翌年」に書かれた「第2番ニ短調 op.9」(1893)。
チャイコフスキーが、11月6日に亡くなったことを受けて書かれたこの作品は、わずか「1ヶ月」あまりの12月15日に「完成」。
翌年1月、ラフマニノフ自身のピアノにより「初演」されました。
こちらは、「オイストラフ・トリオ」による名演奏(1958)でどうぞ。
ダヴィッド・オイストラフ(1908-74, ヴァイオリン)、レフ・オボーリン(1907-74, ピアノ)、スヴャトスラフ・クヌシェヴィツキー(1908-63, チェロ)の「3大演奏家」による「トリオ」です。
この度の、「九州地方」で続く「豪雨」により、「被災」されたみなさまには、謹んで、お見舞いを申し上げます。
また、亡くなられた方々のご冥福を、心より、お祈り申し上げます。
このような状況において、「人々の慰め」と成り得る音楽とは何か、と思いを巡らせたところ、ふと思い浮かんだ曲が、ロシアの作曲家、ラフマニノフ(1873-1943)の「ピアノ三重奏曲」でした。
「悲しみの三重奏曲(仏:Trio Elegiaque)」というタイトルがついてはいますが、そこまで「どん底」に「暗い」わけでもなく、「第1番ト短調 op.posth(死後出版。1947年)」(1892)、「第2番ニ短調 op.9」(1893)ともに、「優しい」響きを持った、「情緒」豊かな名曲だと思います(「愛らしさ」すら感じる曲想もあります)。
この曲との出会いは、「時期」までははっきりと憶えてはいませんが、最初に挙げている「ボロディン・トリオ」の「輸入盤CD」を、地元のレコード店(「当該店舗」は現存しません)で流していたのを聴いて(「盤質チェック」だと話されていました)、気に入って、その場で「即買い」となったものです(まさに「偶然」の、「運命的な出合い」だったと言えます)。
「1983年」の録音で、現在、日本にも輸入されている「シャンドス(CHANDOS)」(イギリス)レーベルのCDは、「1989年1月」が「初発売」ということで、まさに「その頃」のことだったのでしょうか。「出合った」のは、「クラシック」を本格的に聴くようになってから、それほど経っていない頃だったと思います。
ラフマニノフは、「尊敬」していたチャイコフスキー(1840-93)に会った際に、自作の幻想曲「岩(The Rock) op.7」(1893)を紹介しました。
チャイコフスキーは、この作品を気に入り、「初演」の指揮を務めることを請け負いましたが、その年の11月に亡くなったことにより、「約束」は、「果たされない」ままに終わりました。
こちらが、その曲、「岩」です。
この「岩」を高く評価されたラフマニノフは、そのことを「生涯の誇り」としており、この主題を「第2楽章」の「変奏曲」の主題として用いたのが、「悲しみの三重奏曲 第2番ニ短調 op.9」(1893)なのです。
「故人」を偲んで、「ピアノ三重奏曲」、または、他の「室内楽曲」を作曲するという「伝統(ロシア)」は、チャイコフスキーによって確立されたもので、そのチャイコフスキーは、「親友」のピアニスト、ニコライ・ルビンシテイン(1835-81)を「追悼」するために、曲を書きました。
有名な「ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23」(1874-75)は、このルビンシテインに「献呈」するために書かれた曲でしたが、本人の口より、「思いがけない批判」を受けたため、献呈する相手を「変更した」という経緯もありました。
この曲ですね(「第1楽章」のみ)。
マルタ・アルゲリッチ(1941-)のピアノ、キリル・コンドラシン(1914-81)指揮バイエルン放送交響楽団の名演奏でどうぞ(1980年)。
(チャイコフスキーとの「カップリング」です)
しかし、後に「和解」し、幾度となく、この曲を演奏して「世に広めた」のも、このルビンシテインでした。
そのルビンシテインを「追悼」するために書かれた曲が、次の、「偉大な芸術家の思い出に」のタイトルで知られている「ピアノ三重奏曲イ短調 op.50」(1881-82)です。
ラフマニノフの「第2番」も、この例に倣って、チャイコフスキーを「追悼」するために書かれた曲で、以降、「ロシア」では、このような曲が多く書かれるようになりました。
レオニード・コーガン(1924-82, ヴァイオリン)、エミール・ギレリス(1916-85, ピアノ)(その「妹」が、「コーガン夫人」です)、ムスティスラフ・ロストローポーヴィチ(1927-2007, チェロ)の名演奏でどうぞ(1952年)。
(「第2楽章前半」はやはり「変奏曲」となっていますが、その主題は、ラフマニノフのものとよく似ています。ラフマニノフは、幻想曲「岩」ともども、この作品を「参考」とした可能性もあります。また、「第3楽章」というものはありませんが、「第2楽章後半」の、「最終変奏とコーダ」が、それに相当します)
今回は、このように、ラフマニノフ、チャイコフスキーといった、「ロシア」の名作曲家の作品を採り上げてみましたが、他にも、次のような曲が「お薦め」です。
シューベルト(1797-1828)の「弦楽四重奏曲第13番 イ短調 D.804 "ロザムンデ"」(1824)。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12310573784.html?frm=theme(この曲について書いた記事)
ブラームス(1833-97)の「ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 op.78 "雨の歌"」(1878-79)。
オイストラフのヴァイオリン、オボーリンのピアノでどうぞ(1957年)。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12404398427.html?frm=theme(関連記事)
それではまた...。
(daniel-b=フランス専門)


