1.「l'homme de la Mancha "ラ・マンチャの男"」(「man of la Mancha」)。

 

ジャック・ブレル(セルバンテス/アロンソ・キハーナ/ドン・キホーテ)

ジャン=クロード・カロン(サンチョ・パンサ)

 

2.「un animal "アニマル"」(「it's all the same」)。

 

ジョーン・ディーナー(アルドンサ)

 

3.「Dulcinea "ドゥルシネア"」(「Dulcinea」)。

 

ジャック・ブレル(ドン・キホーテ)

&馭者たち

 

4.「vraiment  je ne pense qu'a lui "あの方のことを考えてばかり"」(「I'm only thinking of him」)。

 

ルイ・ナヴァール(神父)

コンスタンス・アルノー(アントニア)

マルグリット・パケ(家政婦)

 

 

続いては、ジャック・ブレルによる「l'homme de la Mancha "ラ・マンチャの男"」(フランス語版)、「ブリュッセル公演」(モネ劇場)の、貴重なドキュメンタリー・フィルムからです(1968年10月)。

 

こちらのブリュッセル公演では、「サンチョ」役をダリオ・モレノ(1921-68)が演じていましたが、12月7日からの「パリ公演」を目前に、「脳出血」により急逝してしまいました。

 

このことにより、「パリ公演」でのサンチョは、ロべール・マニュエル(1916-95)が演じています。

 

また、「レコード」は、パリ公演直前の11月23日から27日にかけて録音が行なわれており、こちらのサンチョは、上掲のように、ジャン=クロード・カロンが演じています。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10096189787.html(これまでの記事)

http://jacquesbrel.be/(公式サイト)

https://www.tohostage.com/lamancha/(日本語版「ラ・マンチャの男」公式サイト)

 

 

さて、「4月8日」は、シャンソン界の「3大巨匠」の1人であるジャック・ブレル(1929-78)の「誕生日」で、昨年は、「生誕90周年」にも当たっていました。

 

今回からは、ブレルが「舞台芸術家」として成し遂げた、ブロードウェイ・ミュージカル、「ラ・マンチャの男(Man of la Mancha)」(1965)の、「公式」の「フランス語版」、「l'homme de la Mancha」(1968)について書いてみたいと思います。

 

「全3回」の予定ですが、その後、「まとめ記事」を書くつもりでもいます。

どうか、よろしくお願いいたします。

 

 

「記事」を書き始める前に、去る3月31日、ブレルの「妻」であった、テレーズ=ミシェルセン(「ミッシュ」)さんが「亡くなられた」と、ブリュッセルの「ブレル財団」からメールが届いたことをお知らせいたします。

 

ブレルの「良き理解者」であり、現在、「ブレル財団」の「中心人物」であるフランス・ブレルさん(1953-)の「母」でもある「ミッシュ」・ブレルは、カトリック系の青年組織「ラ・フランシュ・コルデ」でブレルと知り合い、「3年」の交際の後、1950年6月に「結婚」、3人の娘の「母親」となりました。

 

ブレルは「1978年」に亡くなっていますから、それから何と「42年」!!

 

ようやく、「再会」ということになりますね。

 

この場をお借りしまして、謹んで、テレーズ=ミシェルセン(「ミッシュ」)さんのご冥福をお祈りしたいと思います。

 

合掌...。

 

テレーズ=ミシェルセン(「ミッシュ」)・ブレル(1926.12.30-2020.3.31)

 

 

さて、「本題」に戻りましょう...。

 

日本では、「単独主演」による「国内最多上演記録」を持つことでも知られている、(二代目)松本白鸚(1942-, 前名「(九代目)松本幸四郎」)によっておなじみのミュージカル、「ラ・マンチャの男」。

 

アメリカ・ニューヨーク、ブロードウェイの舞台にて「初演」されたのは「1965年」のことで、「主役」である「ドン・キホーテ(セルバンテス/アロンソ・キハーナ)」を演じたのは、リチャード・カイリー(1922-99)。

 

「朗々」とした、魅力のある「バリトン」で、翌年の「トニー賞」(「演劇」におけるアカデミー賞)も受賞しています。

 

 

1967年、その「ブロードウェイ」にて、「5回も見た」というブレルは、何とか、この舞台を、自らパリで上演したいと考えるようになりました。

 

そして、「脚本」も自ら仏訳し、出演者も集めて、「自主公演」に至ったのが、その翌年10月のことなのですが、「相手役」である「アルドンサ」には、何と、ブロードウェイの「初演女優」である、ジョーン・ディーナー(1930-2006)を招き、彼女自身、「フランス語」にて、舞台で歌ったのでした(彼女は、まったくフランス語を話せなかったにもかかわらず...です。「ムチャぶり」も良いところですね...笑)。

 

 

ちなみに、こちらが、「オリジナル」(英語版)の2曲目、アルドンサ(ジョーン・ディーナー)による「it's all the same "同じことさ"」です。

 

こちらの方が、はるかに「自然」な感じに聴こえますね。

 

 

 

1968年10月4日、ブリュッセルの「モネ劇場」にてスタートした、ブレルによる「フランス語版」の公演ですが、この時、「ドン・キホーテ」の「お供(相棒/従者)」である「サンチョ・パンサ」を演じたのは、「俳優」であり、「歌手」でもあった、ダリオ・モレノ(1921-68)でした。

 

しかし、「12月7日」からの「パリ公演」の直前、「12月1日」、イスタンブールの空港にて(あるいは、空港へ向かうタクシーの車中にて)、「脳出血」のため、「急逝」してしまいました。

 

そのため、「パリ公演」では急きょ「代役」が立てられ、ロべール・マニュエル(1916-95)が「サンチョ」を演じています(「レコード」は、11月中に録音され、ここでは、「上掲」のように、ジャン=クロード・カロンが歌っています)。

 

蘆原英了先生(1907-81)によれば、「ミュージカルに対しては、"アレルギー反応"を示すというパリジャンにも好評を博した」とのことです。

 

また、これまでにも書いている通り、ブレルに心酔した「熱狂的信者」、モート・シューマン(1936-91)が、友人であるエリック・ブロウ(1921-2009)とともにその曲を「英訳」して、1968年1月から、「ブロードウェイ」にて「Jacques Brel is alive and well and living in Paris」を「上演」したことは、言ってみれば、ちょうど、これの「逆のパターン」であったということです。

 

 

「ラ・マンチャの男」は、ミゲル・デ・セルバンテス(1547-1616)の小説「ドン・キホーテ」(1605/1615)をもとにした作品で、デイル・ワッサーマン(1914-2008)が脚本を書き、ミッチ・リー(1928-2014)が曲を書いています。

 

また、ミュージカル・ナンバーの詞は、ジョー・ダリオン(1917-2001)の手によります。

 

脚本は、セルバンテスが「セビリア」にて「入牢」していた時に、この「ドン・キホーテ」の着想を得たという「事実」に基づいて書かれたものです。

 

そのため、劇の進行は、(「宗教的」な理由で)「投獄」されたセルバンテスが、そこで出会った「囚人(受刑者)たち」とともに始める「劇中劇」の形となっています。

 

 

「囚人」たちの「理解」を得るため、セルバンテスは、「ある男を演じてみせる」と宣言します。

 

その男とは、田舎の郷士、「アロンソ・キハーナ」。

 

しかし、単に「アロンソ・キハーナ」としてではなく、世に名を知られた「遍歴の騎士」、「ドン・キホーテ・ド・ラ・マンチャ」として!!

 

 

アロンソ・キハーナの「妄想」として出現した「ドン・キホーテ」...。

 

周りの「囚人たち」を巻き込んでの「壮大な物語」が、ここに始まるのです!!

 

 

「ドン・キホーテ」と「サンチョ」に続いて登場するのが「アルドンサ」。

 

「宿屋」の下働きであり、自らの身を売って生計を立てている女性で、第2曲目は、そうしたアルドンサの「身の上話」を歌ったものとなります。

 

そんな「アルドンサ」を目にし、「高貴な姫君ドゥルシネア」と思い込む「ドン・キホーテ」。

 

「ドン・キホーテ」は、「真剣そのもの」です...。

 

歌の後半では、その場の「馭者」たちが、「ドゥルシネア」、「ドゥルシネア」と囃し立てる様子が描かれています。

 

一方、家を留守にした「アロンソ・キハーナ」のことが「心配」だと、「結婚間近」な姪のアントニアと、その「家政婦」が神父に「救い」を求めます(本当に「心配」しているかどうかは、「疑問」なところもありますが...)。

 

 

今回採り上げた曲は、ここまでの場面となります。

 

一部、「現在」とは相容れない、「古い」、「差別的表現」が見られるところもありますが、その点は、どうかご了承ください。

 

 

次回は、第5曲目、「le casque d'or de Mambrino"マンブリーノの黄金の兜(ゴールデン・ヘルメット)"」から、第8曲目、「la quete "見果てぬ夢"」までを見ていきます。どうぞお楽しみに。

 

 

以下に、第1曲目、「l'homme de la Mancha "ラ・マンチャの男"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

「オープニング・テーマ」として、とても「力強い」響きを持っています。

 

この「勢い」で、「新型コロナ」すらも「吹き飛ばして」ほしい...。

 

そんな気持ちすら抱きます。

 

ブレルの「ドン・キホーテ」は、聴いていると、「勇気」も出て来ますね。

 

なお、第2節後半部分は「重唱」となっています。

 

それではまた「次回」...。

 

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l'homme de la Mancha  ラ・マンチャの男

 

(introduction)

je vais tenter de personnifier un homme

venez suivez le chiminement de mon imagination

et vous le verrez

son nom Alonzo Quijana

il concoit le plus etrange projet jamais imagine

devenir chevalier errant et jaillir dans le monde

pour en redresser tous les torts

ne plus etre le simple Alonzo Quijana

mais un preux chevalier connu sous le nom

de Don Quichotte de la Mancha!

 

(イントロダクション)

これから私は、「ある男」を演じてみせよう

さあ、私のイマジネーションの世界に入って来るが良い!!

あなた方が見るのは

「アロンソ・キハーナ」という名の男

彼が思い付いたのは、誰もが想像出来ないような奇妙な計画

「遍歴の騎士」となり、突然その姿を現わす

この世のすべての「悪」を正すため

もはや、単に「アロンソ・キハーナ」としてではなく

世に名前を知られた「勇敢な騎士」、

「ラ・マンチャの男、ドン・キホーテ」として!!

 

(Don Quichotte)

ecoute-moi

pauvre monde insupportable monde

c'en est trop tu es tombe trop bas

tu es trop gris tu es tros laid

abominable monde

ecoute-moi

un Chevalier te defie

oui c'est moi, Don Quichotte

Seigneur de la Mancha

pour toujours au service de l'honneur

car j'ai l'honneur d'etre moi

Don Quichotte sans peur

et le vent de l'histoire chante en moi

d'ailleurs qu'importe l'histoire

pourvu qu'elle mene a la gloire

 

(ドン・キホーテ)

よく聴くがいい

「哀れ」な世界、「耐え難い」世界よ

お前はあまりにも地に堕ち過ぎた

お前はあまりにも「灰色」で、あまりにも「醜い」

「醜悪」極まりない世界よ

よく聴くがいい

一人の騎士がお前に立ち向かう

そうだ、私こそは、「ドン・キホーテ」

「ラ・マンチャ」を治める領主だ

永遠に、この名誉ある任務に就く者だ

なぜなら、私は私であることに「名誉」を感じている

ドン・キホーテは「恐れ」を知らぬ

「歴史の風」が私の中で歌っている

そういった歴史がどうであろうと

私を、「栄光」へと導いてくれれば良いのだが!

 

(Sancho)

et moi, je suis Sancho

Sancho, Sancho son valet son fils son frere

Sancho son seul amigo

son seul suivant mais pour toujours et j'en suis fier

 

(サンチョ)

そして僕は、僕は「サンチョ」

サンチョは、サンチョはその「従者」、その「息子」、その「兄弟」

サンチョは唯一の「アミーゴ(親友)」

「唯一」の、しかし、「永遠」の「相棒」 それが「自慢」なのさ

 

(Don Quichotte)

regardez-moi

vous les dragons les sorciers les sorcieres

votre regne se meurt aujourd'hui

regardez-moi

la vertu flambe dans ma banniere

regardez-moi

un Chevalier vous defie

oui c'est moi Don Quichotte

Seigneur de la Mancha

pour toujours au service de l'honneur

car j'ai l'honneur d'etre moi

Don Quichotte sans peur

et le vent de l'histoire chante en moi

d'ailleurs qu'importe l'histoire

pourvu qu'elle mene a la gloire

 

(ドン・キホーテ)

私を見るがいい

お前たちドラゴンよ、魔法使いたちよ

お前たちの支配も今日限りだ

私を見るがいい

私の旗の中では、「美徳(勇気)」が燃え上がっている

私を見るがいい

一人の騎士がお前たちに立ち向かう

そうだ、私こそは、「ドン・キホーテ」

「ラ・マンチャ」を治める領主だ

永遠に、この名誉ある任務に就く者だ

なぜなら、私は私であることに「名誉」を感じている

ドン・キホーテは「恐れ」を知らぬ

「歴史の風」が私の中で歌っている

そういった歴史がどうであろうと

私を、「栄光」へと導いてくれれば良いのだが!

 

(Sancho)

et moi, je suis Sancho

Sancho, Sancho son valet son fils son frere

Sancho son seul amigo

son seul suivant mais pour toujours et j'en suis fier

 

(サンチョ)

そして僕は、僕は「サンチョ」

サンチョは、サンチョはその「従者」、その「息子」、その「兄弟」

サンチョは唯一の「アミーゴ(親友)」

「唯一」の、しかし、「永遠」の「相棒」 それが「自慢」なのさ...

 

 

1972年の「映画」(英語版)も、「絶賛」に値する「名作」です。

この機会にぜひどうぞ!! (記事では、次回以降、採り上げます)

 

 

2013年発売の「大全集」にも「収録」されています。

タイトルは、主題歌、「見果てぬ夢」の歌詞から採られています

 

一昨年に「再発売」となったバージョンはこちら...。

 

(daniel-b=フランス専門)