5.「l'alcool n'y change rien "アルコールは何にも変わらない"」
6.「tes pieds toucheront par terre "君の足は大地に届くことだろう"」
7.「Evelyne et moi "エヴリーヌと僕"」
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10095491551.html(これまでの記事)
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10095603016.html(ロックオペラ「スターマニア」の記事)
さて、「2月5日」は、ダニエル・バラボワーヌ(1952-86)の「誕生日」でした(「命日」である「1月14日」からは約「3週間」です)。「夭逝」した彼の姿は、当然、「永遠に若いまま」ではありますが、仮に「生きていた」とすれば、今年で「68歳」ということになります。
これまで、「命日」、「誕生日」には、ダニエルにとって、「大変重要な作品」を採り上げて来ましたが、今年の「誕生日」は、久々に、「アルバム全曲紹介」としてみました。
これまで、まったく採り上げることのなかった、ダニエルの「ソロ名義」としては「初」となったフルアルバム、「de vous a elle en passant par moi "あなたから彼女へと..."」(1975)。
その全10曲を、「全3回」で紹介しています。
今回は、前回に引き続いての「その2」となります。
「前回の記事(その1)」はこちら...。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12572469211.html(記事「その1」)
それでは始めましょう...。
1972年5月、ダニエルは、バンド「Presence(プレザンス)」を離れ、「ソロ転向」の道を選びました。
一方、「Presence(プレザンス)」はレコード会社を移籍しましたが、その後、「1年」で「解散」となってしまいました..。
1973年発売の「Presence(プレザンス)」のアルバムから、「le sorcier du roi "王の魔術師"」をどうぞ。
「名曲」だと思いますが...。
ナイトクラブで知り合ったドミニクとの「新婚生活」も決して明るいものではなく、ダニエルは、「レコード店」で働いて何とか生計を立てていたようですが、1年もの間、曲は何一つ、「書けなかった」ということです。
翌1973年、レコード会社の「全面的なバックアップ」のもと、ようやく、本格的な「ソロデビュー」のチャンスが訪れました。
ダニエルの、「ソロ名義」で「初」となるシングル曲がこの曲、「viens vite "早くおいでよ"」ですが...。
...結果はやはり「失敗」に終わりました。
後にダニエルは、「この経験を後悔してはいない。ただ、僕の作品が"最悪"だっただけだ!!」と振り返っていますが、レコード会社(「ヴォーグ社」)との「意見の食い違い」も、少なからずあったようです。
この時、ヴォーグ社には、このシングルの2曲の他にも「3曲」が録音されていましたが、そちらの方が、作品の出来としては「上」だったかも...。
「meme sans tes fleurs "あなたの花がなくても"」。
私は、この曲が一番「素晴らしい(好きだ)」と思います...。
「la confiture "ジャム"」。
本格的な「ロック・テイスト」で、「ハモり」も利いています!!
シングル「viens vite "早くおいでよ"」がダニエルの死後再発売された時、この曲も新たに加えられました...。
これらの曲が「先」に出ていたら、「運命が変わっていた」のかどうかは分かりませんが、「不幸」なことに、これらの曲は、1986年、ダニエルが亡くなるその日まで、「公表」されることがなかったようです。
現在では、こちらのCDで聴くことが可能です。
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こちらは「入手困難」です...。
この「失敗」を機に、ダニエルはヴォーグ社を離れることになり、また「新しい仕事」を探すことになりました。
ダニエルは、上から2番目の兄、ギイ(Guy, 1946-)とともに、「コーラス」として仕事が出来ないかどうか当たってみることにしましたが、意外と早く、そのチャンスは訪れたようです。
フランスで「初めて」、「ロックオペラ」と名付けられた作品、「la Revolution francaise "フランス革命"」(1973年初演)...!!
ロックオペラとしては、「スターマニア」(1979初演)に先立つこと「6年」ということになりますが、詞を書いたアラン・ブーブリル(1941-)、曲を書いたクロード=ミシェル・シェーンベルク(1944-)は、あの、ミュージカル「レ・ミゼラブル」(1980年初演。1985年初演の「英語版」が、「全世界」で有名)、同じく、「ミスサイゴン」(1989年初演)を書いたコンビでもあるのです!! (「フランス革命」は、詞・曲ともに共作者がいます)
こちらは、1974年のテレビ番組からですが、「オリジナル・キャスト」による「熱唱」...。
これは「必見」です!!
次の映像では、「冒頭」のシーンにダニエルとギイがいるはずなのですが...よく分かりませんね...。
その次の場面でギターを弾いているのが、「10年後」にダニエルのギタリストとなる、アラン・プーズネールです(当時は、有名なロックバンド、「マルタン・サーカス」のメンバーでした)。
アラン・ブーブリルも、ダニエルとその兄、ギイの声を気に入り、「最も早く」、契約にありつくことが出来たのだと言います。こうしたところは「強運」の持ち主だと言えますね。
こうして、ダニエルは、「1ヶ月」もの間、公演の行なわれた「パレ・デ・スポール(ドーム・ド・パリ)」の舞台に立ち続けました。ダニエルがこのホールを「気に入っていた」のも、こうした「(成功の)経験」があったからなのでしょう...。
兄ギイは、その後、ダニエルのいくつかのアルバムで「コーラス」として参加もしていますが、それとは別に、「最初期」には、次のようなユニット活動も、「実験的」ながら行なっていました。
ユニット名は「Melodie SA(メロディ・エス・アー)」。
曲は「Sally "サリー"」(1976)です。
この曲も、このCDで聴くことが可能です。
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この続きはまた「次回」ということにいたしましょう..。
今回も、バークレー社に移籍して、「ソロ名義」で「初」となったフルアルバム、「de vous a elle en passant par moi "あなたから彼女へと..."」(1975)の曲を採り上げています(全10曲中、中盤の3曲を冒頭に載せています)。
「前回」からの「続き」で、今回は、「第5曲目」から...。
まるで、「呪文」のようにも聴こえる、第5曲目、「l'alcool n'y change rien "アルコールは何にも変わらない"」...。
ただ「真理」を並べて、「つぶやく」ように歌う、これこそが、「アイロニー(皮肉)」というものでしょうが、それが「気に入らない」のなら、「聴かないで」、「買わないで」とも言っています。
ですから、「逆」に言えば、ちゃんと「自分の意見」を述べ、「賛同」してくれる「仲間」を募っている...。
そういった感じにも思えますね。
歌詞を、以下に掲載しています。
第6曲目は、「tes pieds toucheront par terre "君の足は大地に届くことだろう"」。
簡潔にまとめられた詞ですが、状況を思い浮かべると、「微笑ましい」印象のある作品です。
冒頭にある「ヴェスパ」とは、映画「ローマの休日」(1953)にも登場する、イタリア製の「スクーター」のことですが、そこに乗せられた「小さな子ども」(親しみを込めて「弟」と呼んでいます)の「足」が、「10年後」には、「大地に届くことだろう」と歌ったものです。
ダニエル自身も「バイク好き」だったようですから、こうした、「街なかで見たふとした光景」から、このような作品を思いついたのでしょう。
第7曲目、「Evelyne et moi "エヴリーヌと僕"」は、このアルバムの「中心」を成す1曲...。
つまり、「代表曲(リード曲)」です。
アルバム発売の2ヶ月後、この曲は「シングルカット」もされました(カップリング曲は、前回紹介した、「vis loin de moi "僕から遠く離れて..."」です)。
アルバム自体の売れ行きが「芳しくなかった」こともあり、ラジオでも、それほど積極的に、この曲が流されることは「なかった」ようです。
確かに「名曲」ではありますが、その「内容」は...。
しかしやはり、もっと「再評価」されても「良い」はずの曲だとは思いますね。
この曲も、以下にその歌詞を掲載しています。
さあ、今回はここまで。
次回はいよいよ「完結編」です。
第8曲「couleurs d'automne "秋の色"」から、第9曲「l'enfant aux yeux d'Italie "イタリアの瞳を持つ子ども"」、そして最終曲、「Mona Lisa suite "モナリザ組曲"」までを、当時のエピソードも交えて、また書いてみたいと思います。
お付き合い、よろしくお願いいたします。
それではまた...。
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l'alcool n'y change rien アルコールは何にも変わらない
dis toi bien que l'alcool n'y change rien
dis toi bien que Bon Dieu n'y change rien
dis toi bien que le temps n'y change rien
dis toi bien que rien n'y change rien
アルコールは何にも変わらないと心得なさい
神は何にも変わらないと心得なさい
時間は何にも変わらないと心得なさい
何もないことは何にも変わらないと心得なさい
si tu n'aimes pas mes violons
ne les ecoute pas
si tu n'aimes pas mes chansons
ne les achete pas
je ne t'en voudrai pas, t'en voudrai pas...
僕のヴァイオリンが気に入らないのなら
聴かないでください
僕の歌が気に入らないのなら
買わないでください
僕はあなたを恨みはしませんから、恨みは...
dis toi bien que tes mains n'y changent rien
dis toi bien que tes yeux n'y changent rien
dis toi bien que ton coeur n'y change rien
dis toi bien que tes pleurs n'y changent rien
あなたの手は何にも変わらないと心得なさい
あなたの目も何にも変わらないと心得なさい
あなたの心も何にも変わらないと心得なさい
あなたの涙も何にも変わらないと心得なさい
si tu n'aimes pas mes violons
ne les ecoute pas
si tu n'aimes pas mes chansons
ne les achete pas
je ne t'en voudrai pas, t'en voudrai pas...
僕のヴァイオリンが気に入らないのなら
聴かないでください
僕の歌が気に入らないのなら
買わないでください
僕はあなたを恨みはしませんから、恨みは...
dis toi bien que le juge n'y change rien
dis toi bien que ton pere n'y change rien
dis toi bien que les murs n'y changent rien
dis toi bien que les durs n'y changent rien
判事は何(誰)にも変わらないと心得なさい
あなたの父も何(誰)にも変わらないと心得なさい
壁は何にも変わらないと心得なさい
強い者(硬いもの)も何にも変わらないと心得なさい
si tu n'aimes pas mes violons
ne les ecoute pas
si tu n'aimes pas mes chansons
ne les achete pas
je ne t'en voudrai pas, t'en voudrai pas...
僕のヴァイオリンが気に入らないのなら
聴かないでください
僕の歌が気に入らないのなら
買わないでください
僕はあなたを恨みはしませんから、恨みは...
dis toi bien que tu m'aimes et n'y peux rien
dis toi bien que tu m'aimes et n'y peux rien
dis toi bien que tu m'aimes et n'y peux...
あなたが僕を愛したところで、どうしようもないと心得なさい
あなたが僕を愛したところで、どうしようもないと心得なさい
あなたが僕を愛したところで、どうしようも...
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Evelyne et moi エヴリーヌと僕
Evelyne et moi, je le sais
on avait des choses a dire
Evelyne et moi
des choses a construire
エヴリーヌと僕には
言うべきことがあった
エヴリーヌと僕
構築すべきこと(「建設的な話」)だ
Evelyne et moi
on ne savait pas
que j'allais mourir
que j'allais mourir
エヴリーヌと僕
誰も知らなかった
僕が死ぬかも知れなかったことは
僕が死ぬかも知れなかったことは
Evelyne et moi
je le sais
on avait le meme souvenir
Evelyne et moi
les memes plaisirs
エヴリーヌと僕
分かってる
二人は、同じ想い出を持っていた
エヴリーヌと僕
同じ喜びを
mon frere me disait
que ca ne devait
jamais finir
mais jamais finir
兄は僕に言っていた
これで決して
終わりではないよと
終わりではないよと
Evelyne et moi
je le sais
j'ai du la laisser partir
Evelyne et moi
pour mieux me detruire
エヴリーヌと僕
分かってる
彼女を行かせなくてはならなかったのだと
エヴリーヌと僕
僕が、よりよく「自滅」するために
le temps des chagrins
j'ai noye mes mains
mais tu n'y peux rien
mais tu n'y peux rien
悲しみのとき
僕は自分の手を涙で溢れさせた
でも君は、どうすることも出来ない
君は、どうすることも出来ない
Evelyne et lui
je le sais
se parlaient en anglais
Evelyne et lui
mais je comprenais
エヴリーヌと彼
分かってる
英語で話していた
エヴリーヌと彼
でも僕には分かっていた
dans la chambre du bas
moi je serrais son ombre
entre mes bras
entre mes bras
階下の部屋で
僕は彼女の影を抱きしめていた
この腕で
この腕で
Evelyne et moi, je le sais
pourtant elle me voulait du bien
s'occupait de moi
et ses joues de satin
caressait mes mains
moi je me perdais
dans son amour calin, son amour calin
エヴリーヌと僕
でも彼女は僕に好意を持っていたようだ
僕をかまってくれた
サテンのようなその頬で
僕の手をさすってくれた
僕は自分を見失っていたんだ
甘えるような彼女の愛の中で
Evelyne et lui
je le sais
ont choisi un autre chemin
et moi sous la pluie
je ne me souviens de rien
du debut de ma vie
a la fin de ma vie
il ne me reste rien...
エヴリーヌと彼
分かってる
二人は別の道を選んだんだ
そして僕は雨の中
僕は何も思い出すことが出来ない
この人生の始まりからのことを
この人生の終わりに
僕には何も残されてはいない...
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(daniel-b=フランス専門)