「フランコ・ベルギー派」の巨匠である、アルテュール・グリュミオー(1921-86)「絶頂期」の名演奏で、まさに「決定盤」と言える録音です(1961年3月録音)。
こちらは、この曲が含まれる「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004」の「全曲」です。
「シャコンヌ」は、最終の「第5曲」(11分20秒頃から)に当たりますが、それまでの4曲(1.アルマンド/2.クーラント/3.サラバンド/4.ジーグ)の「合計」よりも演奏時間が「長く」、それゆえ、「独立」して演奏されることも多くなっています。
こちらは、同じ演奏を、「譜面付き」でどうぞ。
さて、いよいよ「2019年」も「暮れ」の時期となりました。
「クリスマス」も終わって、「厳粛」な雰囲気に浸りたいという方に「お薦め」の名曲を紹介いたします。
「音楽の父」とも称される、いわゆる「大バッハ」、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)は、「バロック時代」の音楽をまとめ上げ、「音楽の基礎」を構築して、続く「古典派」へと「橋渡し」をした、真に「偉大」な作曲家であると言うことが出来ます。
また、鍵盤楽器の演奏家としても高名で、「即興演奏」も「得意」としていたようです。
J.S.バッハは、1717年、アンハルト=ケーテン公、レオポルト伯爵家の宮廷楽長に就任しましたが、この「1717年から23年まで」の間は、「ケーテン時代」と呼ばれて「区別」されているほど、「重要」な器楽作品が作曲されている時期でもあります。
これは、それまでのように、「教会音楽」や、「オルガン曲」に縛られることがなくなり、代わりに、「室内楽曲」、「器楽曲」を求められたというのが「理由」のようです。
今回のこの「シャコンヌ」は、その「ケーテン時代」である1720年、「無伴奏ヴァイオリンのための6つの独奏曲」として書かれた作品のうち、「パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004」の「最終曲」となったもので、全曲中でも「最大」の規模を誇る「大曲」です。
「パルティータ」とは、「組曲」を意味し、この場合、「舞曲による組曲」を表しています。
この「パルティータ第2番」においても、第1曲は「アルマンド」(「ドイツ舞曲」)、第2曲は「クーラント」(フランス、またはイタリアの「3拍子」の舞曲)、第3曲は「サラバンド」(16世紀の中央アメリカからスペインへと渡った舞曲)、第4曲目は「ジーグ」(イギリス、アイルランドの民族舞踊から)と続き、その「最終曲」として、この「シャコンヌ」(「変奏曲」の一種ですが、もとは「舞曲」です)が置かれているのですが、それまでの「4曲」の演奏時間の「合計」よりも、この「シャコンヌ」の方が「長く」(全「257小節」。演奏時間「約13分」)、この曲だけで「独立」して演奏される機会も「大変多い」作品であるとも言えます。
「シャコンヌ」も、もともとは、スペインの古い舞曲(「ペルー起源」という記述もあり)ですが、「特定」のリズムパターン(「オスティナート・バス」)の反復の上に「変奏」を付けるという技法がここでは用いられており、「8小節」の「主題」と「30」にもおよぶ「変奏曲」で構成されています。
「無伴奏」のたった「1つ」の「独奏楽器」が、まるで「オーケストラ」のような、「重層的」な音楽を生み出す...。
と言いますが、演奏は決して「容易」ではありません。
ましてや、現在の楽器は、この作品が書かれた頃のものとは、その「構造」も異なっています。
この曲は、「難曲中の難曲」として知られています。
しかし、それゆえ、また、その「精神性の高さ」から、この曲はヴァイオリニストの「目標」でもあるようです。
その「深さ」を、ぜひ、感じ取ってみてください...。
参考までに、この「無伴奏パルティータ集」と対をなす曲集、「無伴奏ソナタ集」からも1曲挙げておきましょう。
こちらも「有名」な曲です。
「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001」より、「第2楽章 フーガ」をどうぞ。
こちらは、その「全曲」です(「全4楽章」 約14分)。
「譜面付き」でどうぞ。
「シャコンヌ」は、ヴァイオリン独奏以外にも、様々な楽器用に「編曲」されていますが、最も「有名」なのは、やはり「ピアノ」です。
ブラームス(1833-97)は、「左手」のみで演奏するための「編曲」を行ないましたが、音楽の「重厚さ」はまったく失われてはおらず、大変「価値」のあるものとなっています。
「左手のピアニスト」と言えば、舘野泉(1936-)の名がすぐに挙がりますが、現在、残念ながら、動画サイトでは、その音源を見つけることが出来ません。
この、ダニール・トリフォノフ(1991-)の演奏が「素晴らしい」と感じましたので、載せておきましょう。
「両手用」の編曲では、やはり、ブゾーニ(1866-1924)のものが「有名」ですね。
こちらは、エレーヌ・グリモー(1969-)の演奏でどうぞ。
せっかくですので、「左手のピアニスト」、舘野泉の名演奏をお聴きください。
曲は、カッチーニ(1545?-1618)の「アヴェ・マリア」です。
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3つの聖歌~左手のための(吉松隆 編曲) (カッチーニ:アヴェ・マリア)
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それではまた...。
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(daniel-b=フランス専門)