「オリジナル録音」です(1966年12月30日録音)。
次に挙げる曲は、1966年10月のブレルの「アデュー・オランピア(さよなら公演)」の「オープニング曲(序曲)」である「fugue "フーガ"」です(再掲)。
この曲(イントロダクション)に引き続いて、ブレルが舞台に登場し、「第1曲目」の「le cheval "馬"」を歌い始めます。
「Amsterdam "アムステルダム"」(1964)をも思わせるインストゥルメンタル曲ですが、ジェラール・ジュアネスト(1933-2018)の「オリジナル曲」です。
この公演の他、11月10日の「Palmares des chansons(歌のヒットパレード)」、翌年5月16日(奇しくも、ジェラールの「命日」と同じ!!)の、フランス北部ルーベでの「ラスト・ライヴ」でも、「オープニング」で弾かれています。
こちらは、「CD用音源」ですが、「DVD」も、この曲から始まっています。
同じく、「CD用音源」の「第1曲目」、「le cheval "馬"」です。
「DVD」のテイク(残念ながら、今回は、見つけることが叶いませんでした...)とは、収録日が「違う」ようです...。
http://jacquesbrel.be/(公式サイト)
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10096189787.html(これまでの記事)
さて、昨年が「没後40周年」(10月9日が「命日」)の「記念の年」に当たっていたジャック・ブレル(1929-78)は、今年も、「生誕90周年」(4月8日が「誕生日」)ということになっています。
今年もまた、その「命日」が近づいて来ました...。
さて、(「ブレル」がテーマの)「前回の記事」が「牛」なら、今回は「馬」です。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12527029241.html(前回の記事)
今回紹介する曲は、その名もズバリ、「le cheval "馬"」(1966-67)。
この曲について、書いてみたいと思います。
1966年10月、「最後」となった、「オランピア劇場公演」...。
先だって「ステージからの引退」が発表されたこともあり、「さよなら公演(アデュー・オランピア)」として、その模様は、「フィルム」にも収められることになりました。
「年間平均320日歌う」という「超ハードスケジュール」には、さすがのブレルも、ミュージシャンも「限界」を感じていました。そこでついに、ブレル自身の口から、「ステージからの引退」という言葉が発せられるようになったのです。1966年8月21日、フランス東部、ヴィッテルのホテルでのことでした...。
この公演では、全15曲中、「5曲」が「新曲」となりましたが、そこにはすでに、「作風の転換」が見て取れます。
それまで、「外側」に向いていたその「力」は、「内側」、つまり、「心の内面」に向かうようになっていったのです。
今回のこの曲「le cheval "馬"」も、そういった作品の1つです。
「華やか」なアレンジの「活発」な曲、「明るい」曲と、一聴しただけでは、そうも思ってしまいますが、「中期」の代表作、「Amsterdam "アムステルダム"」(1964)や、「Mathilde "いとしのマティルド"」(1963-64)などとは、明らかに、特徴が「違って」います。
ここでのブレルの「視点」は、明らかに、「外」ではなく、「内」に向いています。
これまでは、「外」に向けた、「鋭い観察力」の光る作品が多かったと言えますが、それが、ちょうど、「内側」に向いた形だと言うことが出来ます。
...しかし、あなたは奪ってしまった。「牝馬」も、「静寂」も
「蹄(ひづめ)」も、「厩舎」も、「ギャロップ」も
残してくれたものは、ただ俺の「歯」だけ
そういうわけで、俺は駆ける、駆ける
世界を駆ける。いななきながら
愛を拒絶する自分を見ている
女たちのために、牝馬たちのために...
こういった歌詞に、「それ」を感じることが出来ると言えるでしょう。
もちろん、それまでの曲にも、このような特徴が「認められる」作品はありますが、全体数の「バランス」で言えば、まさに「逆転」しています。だからこそ、「この時期の特徴」として、挙げることが出来るのです。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12423045923.html?frm=theme(参考:「子どもの頃」の記事)
ところで、「馬」と言えば、以前紹介した、ロシア(「旧ソ連」)の国民的大歌手、ウラジーミル・ヴィソーツキイ(1938-80)にも、「馬(Capricious Horses)」という作品がありました(内容が「似ている」というわけではありませんが...)。
映画「ホワイトナイツ/白夜」(1985)の一場面で使われていましたね...。
こちらは「歌唱映像」です(英語字幕付き)。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12488158794.html?frm=theme(参考:ヴィソーツキイについての記事)
ヴィソーツキイは、「ロシアのブレル」とも呼ばれることがありますが、その「スタイル」は、確かに「似ている」と思います...。
ブレルの「le cheval "馬"」に話を戻しましょう...。
この歌詞というのは、紛れもなく、ブレルの、「自分の容姿」に対する、「コンプレックスの表れ」だと思いますが、このように、「自分」まで「戯画化(カリカチュアライズ)」してしまう発想はそう多くはなく、「見事」だとも思います。
その上で、「現実の自分」を重ね合わせることで、「フィクション」のままに終わらせないところがまた、「さすが」です。
「アレンジ」から想像出来るような、「華麗」な世界では「ない」ところに、ブレル一流の「ペーソス」を感じますし、ジェラール・ジュアネストが書いたその曲自体、大変「印象的」だと思います。
今回、オランピア劇場公演の「映像」が見つからなかったことで、その、「ステージでのパフォーマンス」をご覧いただけないのが非常に「残念」ではありますが、「名曲」として、心に留めておいていただければ幸いです。
ちなみに、私は、1985年7月23日、初めて「ひとり」で東京に出かけた際、手にして帰ったのが、この曲を含むアルバム、「Brel 67」の、「アメリカ盤」(米ヴァンガード社「VRS-9265」。「中古品(アナログ)」)でした。
この作品は、そういった「思い出の曲」でもあるのです。
ぜひ、聴いてみてください。
それではまた...。
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le cheval 馬
j'etais vraiment, j'etais bien plus heureux
bien plus heureux avant quand j'etais cheval
que je trainais Madame votre landau
jolie Madame dans les rues de Bordeaux
mais tu as voulu que je sois ton amant
tu as meme voulu que je quitte ma jument
je n'etais qu'un cheval, oui, oui, mais tu en as profite
par amour pour toi, je me suis dejumente
et depuis toutes les nuits
dans ton lit de satin blanc
je regrette mon ecurie
mon ecurie et ma jument
俺は...俺は本当に幸せだった
今よりももっと...俺がまだ「馬」だった頃
マダム、あなたの馬車を引いていた
美しいマダム。ボルドーの通りを
でもあなたは望んだ。俺が「恋人」になることを
あなたは望んだ。俺が、牝馬と別れることすらも
俺はただの「馬」でしかなかった。そう、あなたは、それをいいことに
あなたへの愛にかけて、俺は、牝馬と別れた
それからというもの 毎晩
白いサテンのあなたのベッドで
俺は厩舎を懐かしんでいる
厩舎を、牝馬を懐かしんでいる
j'etais vraiment, vraiment bien plus heureux
bien plus heureux avant quand j'etais cheval
que tu te foutais Madame, la gueule par terre
jolie Madame quand tu forcais le cerf
mais tu as voulu que j'apprenne les bonnes manieres
tu as voulu que je marche sur les pattes derriere
je n'etais qu'un cheval, oui, oui, mais tu m'as couillonne hein
par amour pour toi, je me suis derrierise
et depuis toutes les nuits
quand nous dansons le tango
je regrette mon ecurie
mon ecurie et mon galop
俺は...俺は本当に幸せだった
今よりももっと...俺がまだ「馬」だった頃
マダム、あなたは、顔から落ちてしまった
美しいマダム。無理に鹿に跨ったりしたから
でもあなたは望んだ。俺が「マナー」を学ぶことを
あなたは望んだ。俺が二本足で(後ろ足だけで)歩くことを
俺はただの「馬」でしかなかった。そう、「だまされた」にしたって
あなたへの愛にかけて、俺は、二本足で立ちあがった
それからというもの 毎晩
二人でタンゴを踊るとき
俺は厩舎を懐かしんでいる
厩舎を、ギャロップを懐かしんでいる
j'etais vraiment, vraiment bien plus heureux
bien plus heureux avant quand j'etais cheval
que je te promenais(portais) Madame sur mon dos
jolie Madame en foret de Fontainebleau
mais tu as voulu que je sois ton banquier
tu as meme voulu que je me mette a chanter
je n'etais qu'un cheval, oui, oui, mais tu en as abuse
par amour pour toi, je me suis variete
et depuis toutes les nuits
quand je chante "ne me quitte pas"
je regrette mon ecurie
et mes silences d'autrefois
俺は...俺は本当に幸せだった
今よりももっと...俺がまだ「馬」だった頃
マダム、あなたを背に乗せて歩いていた
美しいマダム。フォンテーヌブローの森で
でもあなたは望んだ。俺があなたの「銀行家」になることを
あなたは望んだ。俺が歌を歌うことすらも
俺はただの「馬」でしかなかった。そう、あなたは、それにつけこんで
あなたへの愛にかけて、俺は、歌手の道を選んだ
それからというもの 毎晩
「行かないで」と、俺が歌うとき
俺は厩舎を懐かしんでいる
そして、昔の「静寂」を
et puis, et puis tu es partie radicale
avec un zebre, un zebre mal raye
le jour Madame ou je t'ai refuse
d'apprendre a monter a cheval
mais tu m'avais pris ma jument, mon silence
mes sabots, mon ecurie, mon galop
tu ne m'as laisse que mes dents
そして、そしてあなたは足早に去ってしまった
縞目の悪いシマウマと一緒に
マダム、馬に乗ることを習うのを
俺が拒んだその日に
しかし、あなたは奪ってしまった。「牝馬」も、「静寂」も
「蹄(ひづめ)」も、「厩舎」も、「ギャロップ」も
残してくれたものは、ただ俺の「歯」だけ
et voila pourquoi je cours, je cours
je cours le monde en hennissant
me voyant refuser l'amour
par les femmes, et par les juments
そういうわけで、俺は駆ける、駆ける
世界を駆ける。いななきながら
愛を拒絶する自分を見ている
女たちのために、牝馬たちのために
j'etais vraiment, vraiment bien plus heureux
bien plus heureux avant quand j'etais cheval
que je promenais(trainais) Madame votre landau
quand j'etais cheval, et quand tu etais chameau...
俺は...俺は本当に幸せだった
今よりももっと...俺がまだ「馬」だった頃
マダム、あなたの馬車を引いていた
俺が「馬」で、あなたが「ラクダ(ひどい女)」だった頃...
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(daniel-b=フランス専門)

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