こちらの映像は、「後年」、1960年3月20日のテレビ番組からのものです。
「歌」そのものは、下に挙げている、「オリジナル録音」をそのまま使っています。
この放送の頃というのは、すでに、「ne me quitte pas "行かないで"」発売(1959年11月)よりも「後」のことですから、その「歌唱スタイル」が、「明らかに違う」ことがお分かりいただけることでしょう。
この「オリジナル録音」は、「1954年2月15日」に録音されたものです。
これ以前に、「1953年10月12日」に録音されたものもあるようですが、「マケット(試演)」の形に過ぎず、現時点では、発売されることはまず「ない」ようです。
ブレルの死の翌年、「1979年」に発表された、セルジュ・ラマ(1943-)のこの録音は、これまでほとんど「スポット」を浴びることのなかった、この「隠れた名作」を、「世に知らしめる」ことになりました。
「名曲名唱」として、必ず「挙げておきたい」録音だと、私は思います。
仮に、ブレル自身が「再録音」していたならば、やはり、「このようなスタイル」になっていたのではないでしょうか。
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10096189787.html(これまでの記事)
さて、「梅雨」、「雨の季節」です。
とは言っても、今年もやはり「空梅雨」なのでしょうか...(「降ってほしくない日」には降りますけれども...笑)。
その「反動」で、また昨年のような「豪雨」が来てしまうと、それはそれで「困る」のですが...。
というわけで、「雨にまつわる名曲」として、今回は、この曲を採り上げてみたいと思います。
昨年、「没後40周年」(「10月9日」が「命日」)を迎えた、シャンソン界の「3大巨匠」の1人、ジャック・ブレル(1929-78)ですが、今年は「生誕90周年」と、これもまた「記念の年」に当たっています(その「誕生日」は、「4月8日」でした)。
今回紹介する曲、「il pleut~les carreaux~ "雨の中で(窓ガラス)"」(1953-54)も、ブレル「最初期」の作品であり、以前採り上げた、「il nous faut regarder "見なくてはならない"」、「sur la place "広場で"」(ともに、1953-54)などと並ぶ、「知る人ぞ知る名作」です(1956年の「quand on n'a que l'amour "愛しかないとき"」よりも、さらに「前」の作品です)。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12454468428.html?frm=theme(参考:「見なくてはならない」の記事。こちらの記事で、今回の曲についても少し触れています)
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12195508471.html?frm=theme(参考:「広場で」の記事)
「最初期のブレル」については、ぜひ、「il nous faut regarder "見なくてはならない"」の記事をお読みください。
そちらの方に、詳しく書かせていただいております。
1953年2月、地元ブリュッセルで録音した1枚のレコードが「きっかけ」となり、単身「パリ」を目指すことになったジャック・ブレルですが、シャンソン界の「大物プロデューサー」である、ジャック・カネッティ(1909-97)のもとを訪れるも、早々に「良い返事」がもらえるわけでもなく、その「苦労」は、かなりの「長期」にわたりました。
翌1954年2月、ブレルは、この「il pleut~les carreaux~ "雨の中で(窓ガラス)"」を含む自作曲9曲を録音し、それが、「パリ」でのレコード・デビューとなりました。
その「デビュー・アルバム」各曲のタイトルは、次の通りです。
1.la haine 憎悪
2.Grand Jacques(c'est trop facile) グラン・ジャック(それは、あまりにも簡単だ)
3.il pleut~les carreaux~ 雨の中で(窓ガラス)
4.le Diable(ca va) O.K.悪魔
5.il peut pleuvoir 雨
6.il nous faut regarder 見なくてはならない
7.le fou du roi 彼は王様に夢中だった
8.c'est comme ca このように
9.sur la place 広場で
以上は、当時の「25cm盤(LP)」の収録曲です。
その後、「30cm盤」としてあらためて発売された際、次の3曲が追加されました。
いずれも、1955年から、翌年にかけて録音され、発売された「EP盤(現在で言う「ミニアルバム」)」に収録されたものです。
10.s'il te faut それが君に必要なら
11.la Bastille バスティーユ
12.priere paienne 異教徒の祈り
2003年の「新全集」以降は、ブリュッセルでの「デビュー盤」である、次の2曲も追加されています。
(曲自体は、1988年の「旧全集」から収録されていますが、「オリジナルアルバム」の1曲として収録されたのは「新全集」以降のことで、この形で「分売」もされています)
13.il y a 恋人の瞳の中には
14.la foire 縁日
さらに、「15曲目」として、1961年11月10日に、フランソワ・ローベール(1933-2003)の編曲・指揮によって「再録音」された、「sur la place "広場で"」まで収録されたものが、現在、普通に入手出来る「CD」(ユニヴァーサル社の「正規盤」)です。
「30cmアナログ盤」(全12曲)の時代、また、1988年発売の「旧全集」では、本来、「1954年2月15日録音」の「sur la place "広場で"」が、「9曲目」に収録されていなくてはならないところ、先述の「1961年盤」に差し替えられ、その状態が「長く」続いていました(明らかに「違和感」がありました。また、これによるものなのか、アルバム全体も、「1955年録音」とされていました)。
後に、フィリップス時代の「ベストアルバム」が日本で発売された際も、その「1961年盤」が収録されていたのです(FDX-413 シャンソン・ディスク・ドールシリーズ11 「行かないで/ジャック・ブレル」)。
これが「是正」されたのが、2003年の「新全集」で、「オリジナル曲順」で収録し直され、「1961年盤」は「補遺」ということになりました(それまで、「sur la place "広場で"」の「オリジナル録音」は、ずっと「お蔵入り」のままだったのです)。
さて、このアルバムには、もう1曲、「雨」という名の作品がありましたね。
あわせて紹介しておきましょう。
こちらの曲、「il peut pleuvoir "雨"」の原題は、「雨になるかも知れない」ということです。
「il pleut~les carreaux~ "雨の中で(窓ガラス)"」に比べると、ずいぶん感じが違いますね(まったく「対照的」です...)。
こちらの作品は、「明るく」、「希望」に満ちており、「恋の喜び」が「楽しげ」に歌われています。
それでは、以下に、「il pleut~les carreaux~"雨の中で(窓ガラス)"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。
ブレルは、ブリュッセルにある、大きな「段ボール工場」の「経営者の息子」として生まれました。
ゆくゆくは、父の後を継いで、その工場の経営を任される予定でした。
ところが、「そのような生活」は、ブレルの「好み」に合うものではなく、彼は、「独学」でギターを学び、後に、病院などへの「慰問」で、「自作の曲」を歌うようになっていました。
「工場」では、「社長の息子」として一目置かれるも、ずっと、「疎外感」を感じていたのかも知れません。
そのような「心境」が、「詞」に、「曲」にしっかりと表れているようにも思います。
曲は、グレン・ポウェルとの「共作」ということですが(「il peut pleuvoir "雨"」も同様です)、現在となっては、この方についての「詳細」はもう、よく分かりません。また、当時の編曲・指揮は、アンドレ・グラッシ(1911-72)が担当していました。
1979年の「セルジュ・ラマ盤」では、作曲者名として、「S.キルク(Kirk)」という名前も出て来ますが、こちらも、資料が「まったくない」状態です。
「(ブレルの)公式」としては、先述の「グレン・ポウェル」ということですから、それに従いますが、それにしても、どうしてこのような「別の名前」が出て来たのかは、今もって「ミステリー」です。もしかすると、「隠れたエピソード」みたいなものが「ある」のかも知れません...。
(ちなみに、「ラマ盤」の編曲者は、「ロジェ・ルーベ」という方です。どことなく、「フランソワ・ローベール」という名に「似ている」と思うのは、「私だけ」でしょうか...)
今回の訳詞は、こちらも鳥取絹子さんですね。
1980年に、日本でも発売された、「Lama chante Brel "ジャック・ブレルを歌う/セルジュ・ラマ"」(FDX-479)に掲載の訳詞に、少々「アレンジ」を加えて掲載させていただきました(主に、「原詞」に起因するものです)。いずれにせよ、「名訳」です。
最後に、「雨」、「ブリュッセル」、「ジャック・ブレル」ということで、1978年に亡くなったブレルに捧げられた、その名もズバリ、「il pleut sur Bruxelles "雨のブリュッセル"」(1981)という曲をどうぞ。
曲中には、ブレルの歌に因む、「人物」や「都市名」(=「曲のタイトル」)など、「さまざまな要素」が歌い込まれています。
歌っているのは、ご存知、ダリダ(1933-87)です。
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Il pleut sur Bruxelles
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https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12425638116.html?frm=theme(参考:映画「ダリダ~あまい囁き」についての記事)
それではまた...。
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il pleut~les carreaux~ 雨の中で(窓ガラス)
il pleut
c'est pas ma faute a moi
les carreaux de l'usine
sont toujours mal laves
il pleut
les carreaux de l'usine
y en a beaucoup de casses
雨が降る...
俺のせいじゃない
工場のガラスは
いつも汚れたまま
雨が降る
工場のガラスは
あちこち割れている...
les filles qui vont danser ne me regardent pas
car elles s'en vont danser avec tous ceux-la
qui savent leur payer pour pouvoir s'amuser
des fleurs de papier ou de l'eau parfumee
les filles qui vont danser ne me regardent pas
car elles s'en vont danser avec tous ceux-la
踊りに行く娘たちは俺なんか見やしない
彼女たちが一緒に行くのは
遊び方を知っているやつら
造花や香水を買ってくれるやつら
踊りに行く娘たちは俺なんか見やしない
彼女たちはやつらと一緒に踊りに行く...
il pleut
c'est pas ma faute a moi
les carreaux de l'usine
sont toujours mal laves
雨が降る...
俺のせいじゃない
工場のガラスは
いつも汚れたまま...
les corridors crasseux sont les seuls que je vois
les escaliers qui montent ils sont toujours pour moi
mais quand je suis seul sous les toits
俺の目に入るのは汚れた廊下だけ
(上へと続く)階段は、いつだって俺だけのもの
ひとり、屋根の下で...
avec le soleil avec les nuages
j'entends la rue pleurer
je vois les cheminees de la ville fumer
doucement
dans mon ciel a moi
la lune danse pour moi le soir
太陽や雲と過ごすとき
通りの泣く声が耳に入る
街の煙突から出る煙が
ゆっくりと
俺の空へと上って来る
夜は、月が俺のために踊ってくれる...
elle danse danse elle danse danse
et son haleine immense halo me carresse
le ciel est pour moi
je m'y plonge le soir
et j'y plonge ma peine
踊る、踊る、踊ってくれる
やわらかな風が、光の輪が、俺をなぐさめてくれる
空は俺の味方
俺は、その中にひたりきり
俺は、そこに悲しみを沈める...
il pleut
et c'est ma faute a moi
les carreaux de l'usine
sont toujours mal laves
il pleut
les carreaux de l'usine
moi j'irai les casser...
雨が降る...
俺のせいかも知れない
工場のガラスは
いつも汚れたまま
雨が降る
工場のガラスを
俺は、壊しに行く...
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