「la musique "希望への旋律"」(1978-80)です。1978年2月の、このオランピア劇場公演で発表された新曲です。こちらはその「ライヴ録音」です。「スタジオ盤」は、この後、1980年の冬に録音されたテイクが、翌年、最終的に「発売」となりましたが、残念ながら、その録音は、見つけることが叶いませんでした。

こちらは「l'amour magicien "魔法の恋(恋の魔術師)"」(1975-80)です。1975年1月からのボビノ劇場公演で発表された作品ですが、こちらも、「スタジオ盤」として、「正式」な録音が発売されたのは、やはり「1981年」のことです。それ以外の「一般的」な録音となると、この1978年2月の、「オランピアライヴ盤」しかありません。現在では「目立たない」曲かも知れませんが、とても「好き」な録音がこれです。

「l'amour magicien "魔法の恋(恋の魔術師)"」は、1980年に録音された「スタジオ盤」の音源がありました。最後が「ぶつ切り」になっているのは少しいただけませんが...(本来は、「フェードアウト」です)。映像は、1971年にブレル(1929-78)と共演した映画「Franz "わが友フランツ~海辺のふたり~"」(ブレル自身が監督・脚本・音楽・主演を務めています)のものです。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(これまでの記事)

 

「冬が似合う曲」を特集してお送りしています。今回は、バルバラ(1930-97)の「名曲」です。

 

もとより、バルバラは、「秋から冬」が最も「似合う」アーティストと言えますので、どうしても、「この時期」に採り上げることが「多くなる」と思います。また、今回紹介する2曲が収録されたアルバムは、紛れもなく、「冬」そのものを感じさせる作品だと言うことが出来るでしょう。

 

1981年2月に発売されたアルバム、「seule "孤独と夜の中で"」(同名の曲を表す邦題は、「夜のように」)は、その年のうちに、「日本」でも発売されましたが、このアルバム発売までには、「曲折」もいくつかあったようです。

 

1973年のアルバム「la louve "黒いデッサン"」(原題は「雌狼」を表し、このアルバムを代表する「名曲」です)以降、「シングル」として、翌1974年5月に「l'homme en habit rouge "赤い服の男"」(同年2月の、「ヴァリエテ劇場公演」で発表された曲ですが、この「シングル」は、その後の「スタジオ録音」です)を出しはしましたが、結局、「アルバム」は作られることはなく、その後の活動は、やや「休止気味」ともなったため、「レコード」としての発表は「遅れる」ことになってしまいました。

 

参考までに...。

 

「la louve "雌狼"」(1973)も、「冬」を感じさせる「名曲」です。またの機会に、必ず採り上げたいと思います。

こちらは、「l'homme en habit rouge "赤い服の男"」(1974)です。上掲の「la louve "雌狼"」のアルバムで共作した、フランソワ・ヴェルテメール(1947-)との「想い出」を歌ったものだと言われています。曲は、ジェラール・ブルジョワ(1936-2016)が書いています。

 

1975年1月29日から3月2日にかけての「ボビノ劇場」での公演で、「新作」として発表された曲の1つが、「l'amour magicien "魔法の恋(恋の魔術師)"」です(この年には「来日」もしています)。「恋愛」のみならず、「人生」に関しても、すでに「諦観」の感じられる内容で、1980年の録音では、その「無力感」、「脱力感」がいっそう「強調」されているようにも思えます。私としては、1978年2月の「オランピア劇場」での公演での、「訴えかける」ような、いくぶん「情熱的」な歌唱の方が「好き」です(たぶん、みなさんも、そう思われる?)。そのこともあって、今回、ここで、「la musique "希望への旋律"」(1978)とともに採り上げることにしました。

 

この曲についても言及しておきましょう。

この曲、「les insomnies "眠れぬままに朝が来て(不眠症)"」も、1975年のボビノ劇場で発表された曲で、この動画は、同年8月2日のテレビ番組からのものです。

 

1974年6月5日早朝、プレシーの自宅で、バルバラは、「昏睡状態」のところを「緊急搬送」され、「騒然」となりました。原因は「睡眠薬の飲み過ぎ」のようですが、後のアヴィニョンでのライヴの際、「私は死にたかったのではなく、眠りたかった」と釈明したとのことです(このこともあって、バルバラは、その後の活動を「制限」したようです)。

 

この曲は、その「経験」をもとに作られたものです。日本での発売当時(1978年から81年にかけて)は、後の、「火災に遭った経験」からこの曲が作られたとされていましたが、現在では、「訂正」する必要があると思います。

 

翌1976年には、世界的なバレエ振付師、モーリス・ベジャール(1927-2007)が制作したテレビ映画、「je suis ne a Venise "ヴェネツィアに生まれて"」の「音楽」の一部を担当したほか、「出演」もしたそうですが、それ以外の活動は「行なわなかった」ということです。

 

先述の「火災に遭った経験(自宅が全焼)」というのは、「1977年3月」のことだと言われています(これも、従来、日本に伝えられていた情報とは「1年」の誤差があります)。この後、バルバラは、再び「ツアー」に出る決心をしたということですが、ファンも、「温かく」、彼女を迎えました。

 

また、当時は、「極秘」にパリに戻って来ていたジャック・ブレル(1929-78)のもとへも、足しげく通っていたということで、これは、ブレルが「再入院」した1978年7月以降もそうだったようです。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12331299785.html?frm=theme(参考:「ゴーギャン&ヴァルス・フランツ」の記事)

 

1978年2月の「オランピア劇場」での公演は「大盛況」でした。「当日券」は当然「ない」状況で、月曜の「休館日」さえ「返上」して(無休の「全21公演」だったということです。スゴイ!!)、なおも、「連日超満員」だったそうです(「日本盤」のライナーより。永田文夫先生)。

 

ここで発表された新曲が、「la musique "希望への旋律"」です。そして、「もう1曲」が「il automne "秋になります"」でしたね。

 

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12417404307.html?frm=theme(この曲の記事)

 

今回の曲、「la musique "希望への旋律"」(原題は、単に「音楽」のこと)は、ある「受刑者」がテーマになっています。

 

ある日、ラジオでバルバラの歌を聴いた1人の受刑者が、その「感動」を、手紙に綴って彼女に伝えたということです。バルバラは、「変名」で、刑務所でのコンサートを企画しましたが、結局、「当局の許可」が下りることはなく、「中止」となりました。その代わりに作られたのが、この曲だということです(1981年発売のアルバム「seule "孤独と夜の中で"」日本盤ライナーより)。

 

このエピソードの「具体的な部分」に関しては、「真偽」も、現在となっては「確認」のしようもありませんが、詞の内容を見る限りでは、「真実」だと思えます。いずれにせよ、とても「感動的」な作品です。今回、1978年の「ライヴ録音」しか見つからなかったのですが、こちらは、1980年録音の「スタジオ盤」も大変「気に入っている」ので少し「残念」です(本当は、「それらしき音源」もアップされていたのですが、「音的」には、まったく「オリジナルのクオリティではない」ため、「断念」しました)。

 

追記:1975年から78年にかけてステージにて発表された新作のうち、5曲は、「オランピア劇場」での公演の後、「スタジオ」で録音されましたが(1978年7月頃。9月頃に「発売予定」だったようです)、出来が「気に入らなかった」ようで、バルバラ自ら「発売中止」にしています(現在、この録音を聴ける方法は、「残念」ながら、ありません)。これらの曲は、1980年にあらためて録音され、翌年発売されたアルバム「seule "孤独と夜の中で"」に全曲収録されました。

 

1979年には、後に「家族ぐるみでの付き合い」となる、ジェラール・ドパルデュー(1948-)とも知り合いますが、この後は、また、活動も「緩やか」となります。1980年中は「新曲作り」に励み、本格的な「活動再開」は、翌1981年のこととなりました。

 

その後が、いわゆる「1980年代以降のバルバラ」として「特筆」されるべきものですが、今回は「ここまで」ということにしておきましょう。

 

1981年のアルバム「seule "孤独と夜の中で"」にも「名曲」が数多くありますが、現在では「あまり目立っていない」ことも確かで、少し「残念」です。今回書いているように、「バルバラ」を語る上では「重要」な曲が他にもたくさんあります。

 

最後に、その中から「2曲」だけ挙げておきましょう。この先、「正式」に採り上げることも「ある」かと思います。

 

「mille chevaux d'ecume "月に向かう馬"」です。「幻想的」な曲であり、その「サウンド」ともども、「新境地」を感じさせます。

「Monsieur Victor "ムッシュー・ヴィクトール"」は、バルバラ自身の「最初期」のエピソードを歌った1編で、「重要な作品」の1つに挙げてもよいでしょう。こちらは、1990年2月の「モガドール劇場」での「ライヴ録音」ですが、「来日公演」は、この年の秋が「最後」となりました。

 

以下に、「la musique "希望への旋律"」、「l'amour magicien "魔法の恋(恋の魔術師)"」の詞を載せておくことにいたしましょう。

 

それではまた...。

 

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la musique  希望への旋律

 

te souviens-tu de cette nuit

de cette belle nuit d'automne?

je t'avais fait, je m'en souviens

une chanson de trois fois rien

si les mots se sont envoles

par notre fenetre entr'ouverte

la musique, la musique,

la musique nous est restee

les Cosanini sont partis

je crois qu'ils ne reviendront plus

et la riviere est assechee

la ou nous allions nous baigner

dans les allees du grand canal

les arbres sont decapites

il ne reste plus rien

rien, plus rien

 

あの夜のことを憶えていますか

あの秋の、楽しかった夜のことを

私は思い出す

あなたにほんの短い歌を作ってあげたことを

少し開いた窓のすき間から

言葉は飛んで行ってしまったかもしれない

でも音楽は、音楽は

音楽は私たちの中に残っている

みんなどこかに去っていき

もう戻って来ない気がします

よく泳ぎに行っていたあの川も

すっかり水が涸れ

運河に続くあの小道も

木々は切り取られてしまっている

もう何も残っていない

何も、もう、何も...

 

que la musique,

cette musique

ces quelques notes

ce trois fois rien

que je t'avais fait, ce soir-la

tu disais "ma musique"

tu verra(ce sera) ta musique

a l'heure ou je n'aurai plus rien

elle sera comme un soleil

 

音楽だけ

この音楽だけ

このほんのわずかな

いくつかの音だけ

あの夜、あなたに作ってあげたこの音楽

あなたは「私の音楽」だと言っていた

でもそれは「あなたの音楽」よ

私がもう、何も出来なくなったとしても

この音楽が「太陽」となるはずよ

 

dans ta cellule de beton gris

ou tu as grillage tes jours

j'imagine ta solitude

et je connais ton desarroi

peut-etre que sur transistor

il t'arrive d'entendre ma voix

c'est le seul moyen qu'il me reste

pour que parvienne jusqu'a toi

 

コンクリートの独房の中

あなたは日々を送っている

あなたの孤独を思い浮かべる

どんなにか、混乱していることでしょう

たぶん、トランジスターラジオで

私の声が届くはず

それしか方法がない

あなたのもとへたどり着くためには...

 

cette musique

mon amour

ta musique

quelques notes

trois fois rien

que tu aimais

que tu aimais

tu disais "ma musique"

et ce soir, ta musique

si tu crois que tu n'as plus rien

qu'elle te soit comme un soleil

 

この音楽

いとしい人よ

あなたの音楽

ほんのわずかな

いくつかの音

あなたが好きだった

あなたが好きだった音楽

あなたは「私の音楽」だと言っていた

でも今夜は、「あなたの音楽」よ

あなたが「もう何もない」と思っても

この音楽が「太陽」となりますように...

 

c'est vrai que je t'avais promis

lorsque nous nous sommes quittes

que la ou tu vivrais ta vie

ma musique t'accompagnerait

au long de ces tristes couloirs

ou tu marches ta vie chagrin

fidele comme la memoire

je sais qu'elle ira jusqu'a toi

 

私が約束したことは本当よ

私たちが別れて

あなたが自分の道を歩むとき

私の音楽もついていくって

悲しい人生を歩む

あなたのその道に沿って

忠実に、「記憶」として

あなたのところまで届くはず

 

c'est ta musique

mon amour,

je chante ta musique

quelques notes

trois fois rien

pour toi, rien que pour toi

et dans ton hiver

et dans ce desert

qu'elle brille comme un soleil

 

これはあなたの音楽

いとしい人よ

私はあなたの音楽を歌う

ほんのわずかな

いくつかの音

あなたのために、ただあなただけのために

あなたの「冬」で

この「砂漠」のような世界で

太陽のように輝きますように...

 

c'eat ta musique

mon amour,

ecoute, je chante ta musique

trois fois rien

pour toi, rien que pour toi

et dans ton hiver

et dans ce desert

qu'elle brille comme un soleil...

 

これはあなたの音楽

いとしい人よ

聴いて 私はあなたの音楽を歌う

ほんのわずかな

いくつかの音

あなたのために、ただあなただけのために

あなたの「冬」で

この「砂漠」のような世界で

太陽のように輝きますように...

 

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l'amour magicien  魔法の恋(恋の魔術師)

 

toi, au bout de ma vie

au bout de mes nuits

quand tout est fini

toi, que viens-tu chercher?

a l'heure ou mes lampions

s'eteignent,

s'eteignent

 

あなた、私の人生の終わりに

私の夜の終わりに

すべてが終わったときに

あなたは、何を探しにやって来たの?

私のランプが

消えてしまったときに

消えてしまったときに...

 

toi, mais que me veux-tu

et que cherches-tu

au fond de mes yeux

fatigues,

fatigues

 

あなた、いったい、何がお望み?

何を探しているの?

とても疲れた

とても疲れた

私の瞳の奥に

 

vois, mes lampions s'eteignent

ma fete est finie

il faut t'en aller

 

ほら、私のランプは消えてしまった

お祭りは「終わり」

もう帰って

 

je savais bien que, quelque part

tu existais

mais tu viens si tard

je le savais,

que tu serais pareil a mon reve

avec tes mains douces

sur mon poignet

tes yeux, mes vagues pour m'y noyer

o magicien, magicien

tu m'as redonne la lumiere

ma fatigue est un oiseau blanc

qui survole tes oceans

magicien

magicien

je retrouve le gout de vivre

 

たしかに、私のどこかに

あなたは存在していたわ

でも、来るのが遅すぎた

分かっていた

あなたは、私が夢に見た人と同じ

私の手首に

あなたの優しい手

あなたの瞳に、私は溺れる

ああ、魔術師、恋の魔術師

あなたは私に再び光をくれた

私の疲れは白い鳥となって

あなたの海へと飛んでいく

魔術師

恋の魔術師

私はまた生きる喜びを見つけるの

 

mais trop tard

tu me viens(tu m'es venu) trop tard

au bout de ma vie

tu vois, c'est fini

et rien, rien n'y pourra rien

je m'arrete ici

toi, tu vas plus loin

 

でも遅すぎた

来るのが(来たのが)遅すぎた

私の人生の終わりに

そう、もう「終わり」

もう何も、どうにもならない

私はここで終わり

あなたは、もっと遠くまで行く

 

tu sais, au bout d'une vie

et de tant de nuits

passees a dire

je t'aime,

je t'aime

un jour,

il fallait qu'un jour

pour moi, ce soit la fin du voyage

et c'est le bout de ma vie

le bout mes nuits

et puis c'est fini

rien, rien, tu n'y peux plus rien

amour magicien

passe ton chemin

 

分かる? 人生の終わりに

「ジュ・テーム」と

「ジュ・テーム」と言って過ごした

たくさんの夜の後に

いつか

きっと、いつか

私にも、「旅の終わり」がやって来る

それは、「人生の終わり」

「夜の終わり」

そして、本当に「終わり」

もう何も、あなたはどうすることも出来ない

恋の魔術師

行って、あなたの道を...

 

au bout de ma vie

et c'est fini, fini

rien, tu n'y pourras rien

mes lampions s'eteignent,

ma fete est finie...

 

「人生の終わり」

それは本当に「終わり」

何も、あなたはどうすることも出来ない

私のランプは消えてしまった

お祭りは終わったの...

 

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(daniel-b=フランス専門)