この番組「rendez-vous avec」へは、初期の頃、何回か出演していたようです。この、「1960年9月17日」放送分では、先に紹介している、「on n'oublie rien "人は何も忘れない"」(1959-61)も「試演」されています。
(「音声」は、ちょっと「割れ気味」で、聴きづらいところがあります。ご了承ください)
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12401902108.html?frm=theme(参考:「人は何も忘れない」の記事)
こちらは「オリジナル録音」(旧フィリップス)です。1958年4月1日、「パリ・プロテスタント大聖堂」にて録音されたものですが、この日の録音では、先に、「litanies pour un retour "帰り来るひとへの祈り"」、「au printemps "春に"」を紹介しています。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12263487468.html?frm=theme(参考:「春に」の記事)
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12259000292.html?frm=theme(参考:「帰り来るひとへの祈り」の記事)
初期作品の「もう1つのベスト盤」とも言えるのが、「バークレー社」にて、1972年に再録音されたアルバム「ne me quitte pas "行かないで"」です。その「ラスト」を飾るのが、この曲、「je ne sais pas "私は知らない"」です。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12202251546.html?frm=theme(参考:「1972年の再録音盤」の記事)
バルバラ(1930-97)が歌ったものも有名です。1960年に録音され、翌年発売されたアルバム、「Barbara chante Jacques Brel "ブレルを歌う"」に収録されました。バルバラは、ブレル自身が録音時に「削除」した部分の歌詞も歌っていますのでとても「貴重」です。
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10096189787.html(これまでの記事)
さて、「冬が似合う曲」として、何曲か「特集」してみたいと思いますが、今回は、シャンソン界の「3大巨匠」の1人、ジャック・ブレル(1929-78)の作品から行ってみたいと思います。
ジャック・ブレルは、昨年が「没後40周年」という「記念の年」で、その「命日」は「10月9日」でした。今年は、これも、「生誕90周年」という「記念の年」に当たっており、その誕生日は「4月8日」となります。
今回紹介する曲「je ne sais pas "私は知らない"」(1958)は、1972年に、「バークレー」にて「再録音」されていることで知っている方もいらっしゃるかと思いますが、最近では、(初期作品の「後発盤」を除いて、)「ベスト盤」で見かけることもなくなり、すっかり「影が薄く」なってしまった感があります。そこで、この「美しい初期作品」に、再び「スポット」を当てる意味でも、採り上げてみようと思いました。
この「1958年」というのは、スザンヌ・ガブリエロ(1932-92)との「禁断の愛」が「破局」を迎えた頃でもありました(ブレルは、当時すでに「妻子」がいました)。「そのこと」で作られた曲というのが、あの有名な、「ne me quitte pas "行かないで"」(1958-59)なのですが、この「je ne sais pas "私は知らない"」も、あるいはスザンヌが関係しているのかも知れません。前年の「1957年12月7日」に、プロデューサー、ジャック・カネッティ(1909-97)の劇場「トロワ・ボーデ(三匹のロバ)」で披露されたという「記録」も残っています(この「貴重な録音」は、最新の「大全集」にも収録されています)。
参考までに、「ne me quitte pas "行かないで"」(1959年の「オリジナル録音」)もどうぞ...。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12200998388.html?frm=theme(参考:「行かないで」の記事)
この「ne me quitte pas "行かないで"」にも決して劣ることのない、「悲恋の名曲」と言える今回の「je ne sais pas "私は知らない"」ですが、探してみれば、いろいろな歌手が「カバー」していました。
まずは、シモーヌ・ラングロワ(1932-)。「初期」のブレルを語る上では、この人の名前も欠かせません。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12195508471.html?frm=theme(参考:「広場で」の記事)
イザベル・オーブレ(1938-)も、ブレル作品の「重要」な歌い手。このアレンジはとても「素敵」ですね。大変「耳なじみの良い」バージョンだと思います。「お気に入り」です!!
ああ、そしてやっぱりモラーヌ(1960-2018)!!
ブレルと「同郷」のモラーヌは、「スターマニア」だけではなく、「ブレル歌い」としても「有名」でした。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12375547881.html(参考:「モラーヌ逝去」の記事)
そして、何と「スティング」(1951-)!!
そう、あの「ポリス」の「スティング」です。この映像は、「1991年か92年のもの(らしい)」だということですが、彼は、「フランス語」で、この曲を歌ってみせました。そして、何と...、「初期」のブレルの「ピアニスト」であり、後に、「編曲・指揮者」としてその名を残した、フランソワ・ローベール(1933-2003)が、「直々」に、そのピアノを弾いています!!
それでは、以下に、その「je ne sais pas "私は知らない"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。
この作品は、詞・曲ともにブレル自身の手によります。また、当時(1958年)の「編曲」は、「過渡期」にあった頃と言えますが、この作品は、フランソワ・ローベールが担当し、彼自身のオーケストラによって録音されています。旧フィリップス社では、この後、1960年、61年にも「再録音」されていますが、現在、「一般に聴ける録音」としては、やはり、「1958年4月1日」のテイクということになります。また、同じくフランソワ・ローベールが編曲・オケを担当した1972年6月の「再録音盤」も、1970年代から80年代にかけて「ベスト盤」にも収録されたことから、むしろ、こちらの録音で、日本のファンには知られているようです。
詞・曲とも、「冬」、それも、「寒い、夜や早朝」といったイメージがあります。また、詞の点で注目されるべきは、ここでもすでに「顔」を出している、「アムステルダム」という「地名」です。ブレルにとって「アムステルダム」というのは、「特別な街」ということが、ここからもうかがえるようです。また、この「最終節」では、「当然」のことながら、歌い手が「女性」の場合、「そのカップルの"女"の方は私のはずだった」などのように、それぞれで「アレンジ」されているようです。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12408179908.html?frm=theme(参考:「アムステルダム」の記事)
「第2節」と「第3節」の間には、「ボツ」となった歌詞も見受けられます。「全詞集」にはそのまま印刷されており、「注釈」もありますが、これを「カット」せずに歌っているのがバルバラです。その意味でも、この録音は「とても貴重」だと言えるでしょう。
それではまた...。
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je ne sais pas 私は知らない
je ne sais pas pourquoi la pluie
quitte la-haut ses oripeaux
que sont les lourds nuages gris
pour se coucher sur nos coteaux
je ne sais pas pourquoi le vent
s'amuse dans les matins clairs
a colporter les rires d'enfants
carillons freles de l'hiver
je ne sais rien de tout cela
mais je sais que je t'aime encore
私は知らない どうして雨が
灰色の重い雲の
空高くから降って来て
(ぶどう畑の)丘を濡らすのか
私は知らない どうして風が
晴れた朝に
子どもの笑い声や
冬の弱々しい鐘の音を戯れに運び回るのか
私はそんなことは何も知らない
だが君をまだ愛しているのは分かっている
je ne sais pas pourquoi la route
qui me pousse vers la cite
a l'odeur fade des deroutes
de peuplier en peuplier
je ne sais pas pourquoi le voile
du brouillard glace qui m'escorte
me fait penser aux cathedrales
ou l'on prie pour les amours mortes
je ne sais rien de tout cela
mais je sais que je t'aime encore
私は知らない どうして道が
私を街に向けて
敗走のいやなにおいのする
ポプラの木からポプラの木へと追いやるのか
私は知らない どうして
私にまとう凍った霧の帆が
亡くなった恋人たちに祈りを捧げる
大聖堂のことを思い出させるのか
私はそんなことは何も知らない
だが君をまだ愛しているのは分かっている
*(je ne sais pas pourquoi la ville
s'ouvre ses remparts de faubourgs
pour me laisser glisser fragile
sous la pluie parmi ses amours
je ne sais pas pourquoi ces gens
pour mieux celebrer ma defaite
pour mieux suivre l'enterrement
ont le nez colle aux fenetres
je ne sais rien de tout cela
mais je sais que je t'aime encore)
*(私は知らない どうして都会が
その大通り沿いに開けていき
雨の中 その恋の中で
私を「弱者」に陥れようとするのか
私は知らない どうしてこの人たちが
私の「敗北」を「祝う」ために
私の「葬儀」について行くために
窓に鼻を貼りつけているのか
私はそんなことは何も知らない
だが君をまだ愛しているのは分かっている)
je ne sais pas pourquoi ces rues
s'ouvrent devant moi une a une
vierges et froides froides et nues
rien que mes pas et pas de lune
je ne sais pas pourquoi la nuit
jouant de moi comme guitare
m'a force a venir ici
pour pleurer devant cette gare
je ne sais rien de tout cela
mais je sais que je t'aime encore
私は知らない どうして
私の前にひとつひとつ現われる通りが
未開で冷え切った 冷え切った何もない道なのか
私の足音と月の歩み以外には何もない
私は知らない どうして夜が
私をギターのようにかき鳴らし
ここに私をやって来させたのか
この駅の前で泣かせるために
私はそんなことは何も知らない
だが君をまだ愛しているのは分かっている
je ne sais pas a quelle heure part
ce triste train pour Amsterdam
qu'un couple doit prendre ce soir
un couple dont tu es la femme
et je ne sais pas pour quel port
part d'Amsterdam ce grand navire
qui brise mon coeur et mon corps
notre amour et mon avenir
je ne sais rien de tout cela
mais je sais que je t'aime encore
mais je sais que je t'aime encore...
私は知らない 何時に出るのか
この悲しいアムステルダム行きの列車が
今夜 この列車には一組のカップルが乗るはずだった
カップル 君がその「女」のはずだった
そして私は知らない アムステルダムから
どの港に向けて この大きな船が旅立つのか
私の心と身体を打ち砕くこの船
私の恋と未来でさえも
私はそんなことは何も知らない
だが君をまだ愛しているのは分かっている
だが君をまだ愛しているのは分かっている...
*()の歌詞は、ブレル自身は、録音の際「削除」しました。バルバラは、この部分の歌詞も省略せず歌っています。
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(daniel-b=フランス専門)








