こちらは、1965年11月11日(75歳!!)の映像です。伴奏は、あのレイモン・ルフェーヴル(1929-2008)だということです。「フランス語字幕付き」でどうぞ。

こちらは「1975年」(85歳)の映像だということです。スゴイ!!

「歌の内容」にもかかわらず、ご本人は「長生き」でした。

こちらには、収録年の記載がありませんが、時期的にはそう変わりはないはずで、相当の「高齢」になってからの映像だと思います。こちらも「フランス語字幕付き」でどうぞ。

1934年の「オリジナル録音」がこちらです。

さて今回は、この「忘・新年会シーズン」にピッタリの、「究極の名人芸」とも言える楽しいシャンソンをご紹介いたしましょう。

 

発表されたのが、何と、今から「84年前」(1934年)という、大変「古い」曲ではありますが、その後も本人によって歌われ続け、映画「on connait la chanson "恋するシャンソン"」(1997年/アラン・レネ監督)でも使われたこともあって、意外と(?)、「現在」にまで残っている「名曲(「迷曲?」)」です。

 

歌っているのは、ガストン・ウヴラール(1890-1981)。「ACI(シンガー・ソング・ライター)」かつ、「俳優」と、実に「多才」なアーティストですが、その「芸達者ぶり」は、上掲の動画でもご覧いただけます。

 

「フレンチ・ユーモアの偉大なる古典」とも呼ばれているこの曲、「je ne suis pas bien portant "体の弱い僕"」(1934)は、まさに彼の「代表作」と言えるものですが、これは、彼が、父エロワ・ウヴラール(1855-1938)から受け継いだ、「兵隊コミックソング」というジャンルの作品であり、当時、この他にも、多くの「流行歌」を世に送り出しています。

 

「第一次世界大戦」(1914-18)に出征し、「負傷」した経験も持つ、このガストン・ウヴラール。しかし、それを「笑い飛ばす」かのようなこの曲です。

 

まず、1932年にステージで歌われたというこの曲は、その2年後の1934年に、レコードが発売されました。曲は、ジョゼフィン・ベーカー(1906-75)の「j'ai deux amour "2つの愛"」(1930-1931)など、戦前戦後を通じて大ヒットを飛ばし続けた人気作曲家、ヴァンサン・スコット(1874-1952)が書き、詞は、ウヴラール本人と、ジェオ・コジェ(1894-1975)の「共作」です。

 

参考:こちらは、ジョゼフィン・ベーカーの歌で大ヒットした、「j'ai deux amours "2つの愛"」です。

音はイマイチですが、当時の街の様子がよく分かる映像です。

この曲が、先述の映画、「on connait la chanson "恋するシャンソン"」で使われるとこのように...(驚異の「口パク映画」です)。

こちらは、映画の「冒頭」のシーンです。ヒトラー総統(1889-1945)から、「パリを今すぐ破壊せよ」との電話を受けたディートリヒ・フォン・コルテッツ将軍(1894-1966)が、その命令に「背く」場面です。これは「史実」であり、彼のおかげで、パリは救われました。

 

「je ne suis pas bien portant "体の弱い僕"」は、マルセル・アモン(1929-)など、多くの歌手によっても「カバー」されていますが、やはり、「本人」による「味のある名人芸」にはかないません(と、思います)。ちょっと日本の「べらんめえ調(江戸言葉)」をも思わせますね。なかなか、「彼の様には歌えない」ということでも「話題」となっているようです(「速い」上に、「長い」。「語彙が難しい」)。

 

先述のように、この曲も、映画「on connait la chanson "恋するシャンソン"」で使われているのですが(私も、この映画でこの曲を知ることになりました)、残念ながら、該当のシーンは、動画サイトでは、見つけることが叶いませんでした。

 

ちなみに、どのようなシーンかと言いますと、日頃から「体調不良」を訴えている二コラ(ジャン=ピエール・バクリ)が、医師の診察を受ける際に、その「不調」を「表現」するのにこの曲が当てられているというものです。

 

医師を変えての2度目の診察シーンでは、加えて、セルジュ・ラマ(1943-)の名曲、「je suis malade "灰色の途"」(1973-74)も歌われ(先の映画、「ダリダ」でも歌われていましたね...)、医師から聞かされた「深刻」な言葉が、ことさら「衝撃的」だったことを表現しています。

 

またまた医師を変えての3度目のシーンでは、直前まで話していた不動産会社の社員シモン(アンドレ・デュソリエ)には、「いたって快調さ」と言っておきながら、診察室に入った途端、「ああ何てこった、具合が悪い」と歌われています。

 

これらのシーンには、すべて、「オリジナルのレコード録音」が使われ、俳優は、それに合わせての「口パク」という「驚き」の映画なのですが、「うつ病」という「深刻な病気」がテーマながら、それを「吹き飛ばしてしまう」ような、「奇妙な明るさ」も感じられます。実際に見てみると、必ず、「笑い」をも誘われることでしょう。

 

この、「奇想天外」とも言える映画を生み出したのが、そのジャン=ピエール・バクリ(1951-)と、「妻」で、「映画監督」でもあるアニエス・ジャウイ(1964-)(「美人」です)という、「主演」の2人です。監督はアラン・レネ(1922-2014)が務めましたが、脚本や選曲は、彼らが務めたということです。まさに、「フランスのエスプリ」を感じますね!!

 

以下に、この「je ne suis pas bien portant "体の弱い僕"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

今回の「歌詞対訳」は、日本で発売された「サントラ盤CD」のもの(窪内博訳)をお借りしています(「語彙が難しい」ですからね...笑)。

 

それではまた...。

 

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je ne suis pas bien portant  体の弱い僕

 

depuis que je suis militaire

c'est pas rigolo entre nous

je suis d'une sante precaire

et je me fait un mauvais sang fou

j'ai beau vouloir me remonter

je souffre de tous les cotes

 

兵隊になってからというもの

どうもうまくいかねえ

体はがたがた

気がもめる

元気になろうったって

どうにもいかねえ

 

(refrain 1)

j'ai la rate qui s'dilate

j'ai le foie qu'est pas droit

j'ai le ventre qui se rentre

j'ai le pilor qui s'colore

j'ai le gosier anemie

l'estomac bien trop bas

et les cotes bien trop hautes

j'ai les hanches qui se demanchent

l'epigastre qui s'encastre

l'abdomen qui s'demene

j'ai le thorax qui s'desaxe

la poitrine qui s'debine

les epaules qui se frolent

j'ai les reins bien trop fins

les boyaux bien trop gros

j'ai le sternum qui se degomme

et le sacrum c'est tout comme

j'ai le nombril tout en vrille

et le coccyx qui devisse

 

(ルフラン1)

脾臓は ぱんぱん

肝臓は しくしく

腹は ぐうぐう

髪は ぼさぼさ

声は がらがら

胃は きりきり

肋骨は すけすけ

股関節は ぎしぎし

みぞおちは きりきり

胸郭は ぐちゃぐちゃ

肺は くろぐろ

両腕は ぶらぶら

腰は がくがく

腸は ぼろぼろ

胸骨は ばらばら

仙骨も 同じで

へそは ねじれて

尾てい骨は がたがた

 

ah! mon Dien que c'est embetant

d'etre toujours patraque

ah! mon Dieu que c'est embetant

j'suis pas bien portant

 

ああ、ちくしょう うんざりだ

いつだって こんな調子

ああ、ちくしょう うんざりだ

おいらはふらふら

 

afin de guerir au plus vite

un matin tout dernierement

je suis alle a la visite

voir le major du regiment

d'ou souffrez-vous, qui m'a demande

c'est bien simple que j'y ai replique

 

一刻も早く治そうと

ついこの前の朝

診てもらいに行ったのさ

そしたら医者のやつ

「どこがお悪いんですか?」なんて訊きやがる

だから 言ってやったのさ

 

j'ai la rate qui s'dilate

j'ai le foie qu'est pas droit

et puis j'ai ajoute

voyez-vous, ce n'est pas tout...

 

脾臓は ぱんぱん

肝臓は しくしく

それから こう付け足した

これだけじゃないんです

 

(refrain 2)

j'ai les genoux qui sont mous

j'ai le femur qu'est trop dur

j'ai les cuisses qui se raidissent

les qui bolles qui flagollent

j'ai les chevilles qui se tortillent

les rotules qui ondulent

les tibias rapla plas

les mollets trop epais

les orteils pas pareils

j'ai le coeur en largeur

les poumons tout en long

l'occiput qui chahute

j'ai les coudes qui se desoudent

j'ai les seins sous le bassin

et le bassin qu'est pas sain

 

(ルフラン2)

ひざは へなへな

大腿骨は ぎしぎし

腿は がちがち

足は よたよた

くるぶしは ぐらぐら

膝蓋骨は べこべこ

向こう脛は ぐにゃぐにゃ

ふくらはぎは ぱんぱん

足の裏は がさがさ 

心臓は どきどき

胸は ずきずき

頭は がんがん

ひじは ごつごつ

乳房は すきすき

お尻も すきすき

 

ah! mon Dieu que c'est embetant

d'etre toujours patraque

ah! mon Dieu que c'est embetant

je suis pas bien portant

 

ああ、ちくしょう うんざりだ

いつだって こんな調子

ああ、ちくしょう うんざりだ

おいらはふらふら

 

avec une charmante demoiselle

je devais me marier par amour

mais un soir comme j'etais pres d'elle

en train de lui faire la cour

me voyant trouble, elle me dit: "qu'avez-vous?"

moi j'lui repondis:

(au refrain 1)

 

かわいいあの娘と 恋におちて

結婚するはずだったのに

だけどある晩

言い寄ろうと どきどきしてるおいらに

その娘は言ったのさ 「まあ、どこか具合がお悪いの?」

それで 言っちまったんだ

(ルフラン1へ)

 

et puis j'ai ajoute

voyez-vous c'est pas tout...

(au refrain 2)

 

それから こう付け足した

これだけじゃないんです

(ルフラン2へ)

 

en plus d'ca

je vous l'cache pas

j'ai aussi quel soucis...

la lurette trop fluette

l'oesophage qui surnage

les gencives qui derivent

j'ai le palet qu'est pas laid

mais les dents c'est navrant

j'ai les petites qui s'irritent

et les grosses qui se dechaussent

les canines elles se ratatinent

les molaires se font la terre

dans les yeux c'est pas mieux

j'ai le droit qu'est pas droit

et le gauche qu'est bien moche

les cils qui se defilent

les sourcils qui s'epilent

j'ai le menton qu'est trop long

les arteres trop peperes

j'ai le nez tout bouche

le trou du cou qui se decoud

 

それだけじゃない

正直言うと

まだまだあるんだ

指は ひょろひょろ

食道は ぎりぎり

歯ぐきは ぼろぼろ

入れ歯は ぴかぴか

けど歯は あらあら!

前歯は うずうず

奥歯は ずきずき

犬歯は ぐらぐら

臼歯は ぐずぐず

両眼は それぞれ

右眼は しょぼしょぼ

左眼は さえざえ

まつ毛は ちょろちょろ

眉毛は ちょぼちょぼ

あごは ロングロング

動脈は どくどく

鼻は ぐずぐず

喉は いがいが

 

et du coup, voyez-vous

j'suis gene pour parler

c'est vexant

car maintenant, j'suis force d'm'arreter

 

そうなのさ だから

おいらは口を開くのも億劫なのさ

ああ 骨が折れるぜ

今度は 口をつぐまなきゃなんない

 

ah! mon Dieu que c'est embetant

d'etre toujours patraque

ah! mon Dieu que c'est embetant

j'suis pas bien portant

 

ああ、ちくしょう うんざりだ

いつだって こんな調子

ああ、ちくしょう うんざりだ

おいらはふらふら

 

 

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(daniel-b=フランス専門)