1978年2月のオランピア劇場公演のライヴ録音は、「最も好きな録音」の1つです。この曲においても、その「表現」には、いっそうの「厚み」が感じられます。
1987年9月から10月のシャトレ劇場公演は、「1980年代以降のバルバラ」を強く印象付けるものだと思います。私も、この公演以降は、「リアルタイム」での「付き合い」となりました。
作品発表間もない頃の映像だと思われます。「オリジナル録音」は1968年で、この列の最後に挙げてあります。
1974年3月9日、テレビ出演の映像からということです。当時、バルバラは、「ギャラリー・ラファイエット」(パリ最大級のデパート)にほど近い「ヴァリエテ劇場」にて、「1ヶ月」におよぶ公演の「真っ最中」でした。最終公演は「3月12日」でしたので、まさに、その「大詰め」のタイミングでのテレビ出演です。
前回記事(「il automne "秋になります"」)でも紹介している映像ですが、おそらく、「1981年前後」のものと思われます。
こちらが「オリジナル録音」です。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12417404307.html?frm=theme(前回の記事)
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(これまでの記事)
「11月24日」は、偉大な女性歌手バルバラ(1930-97, 本名モニック・セール)の「命日」でした。昨年は、「没後20周年」ということで、「特集」も組ませていただきました。
今回紹介する曲は、「冬が似合う」とも言えるかも知れませんが、バルバラらしく「重い」曲でもありますので、あらかじめご了承お願いいたします。
バルバラの創作における、1つの「頂点」とも言うべきアルバム「le soleil noir "黒い太陽"」は、1968年の夏から秋にかけて録音され、同年10月に発売となりました。
このアルバムからは、「全11曲」中、これまでに何と、「5(+1)曲」の紹介(「du bout des levres "くちびるの端に(口先だけで)"」は、「非公式」の紹介)となっており、バルバラの全アルバム中でも「最多」です。このことでも、当時のバルバラの「充実ぶり」がうかがえると思いますが、今回紹介する「mon enfance "私の幼いころ"」も、その中で「燦然」と輝く、「大傑作」と言える作品です。
さて、バルバラは日本で大変人気のあった歌手ですが、実は、その「経歴」は、正しく伝えられてきたとは「言い難い」面もあります。と言うのは、蘆原英了先生(あしはらえいりょう, 1907-81)が、日本発売のアルバムの「ライナーノーツ」(1972年発売、アルバム「la fleur d'amour "愛の華"」より。後に、エッセイ集「シャンソンの手帖」にも収録)にも書かれているように、「バルバラは、自身の過去を訊かれるのが大嫌いで、過去の"不明な部分"を訊くも、たちまちに色をなして、"私は過去を知らない、今があるだけだ"と言った」(要約)ということです。
このことから、ある「誤解」が生まれました。
バルバラと言えば、すぐ、「ナチスの迫害から逃れるために各地を転々とした」という、「幼少期」のエピソードが思い浮かぶことでしょう。当然のことながら、バルバラも、さすがに「最小限」のことは口にしなくてはならない状況だったと言います。
しかし、このエピソードは、そのうちに、今回のこの曲、「mon enfance "私の幼いころ"」の内容(真意)を、「誤って伝える」ことにもなってしまったのでした。
「古く」からのファンの方ですと、「バルバラ最愛の母は、ナチスの犠牲に...」という解説を読まれたことが、少なからずあると思います。「詞」そのものが、「そのように読み取れる」ことも確かで、「紛らわしい」点が無きにしもあらずなのですが、現在公表されている「バイオグラフィー」によれば、これは「事実」ではありません。
バルバラは、1943年から45年までは、家族とともにローヌ=アルプ地方の「サン・マルスラン」(グルノーブルから約50km)に住んでいました。もちろん、「ナチス」から逃れるためでしたが、ここで「家族が亡くなった」という記載はどこにもありません。
この曲「mon enfance "私の幼いころ"」で歌われているのは、「子ども時代」を過ごした、「想い出」のこの街へ戻って来て「感じた」ことではありますが、バルバラの母(ウクライナ・オデーサの出身)が亡くなったのは、この曲の発表の1年前、「1967年11月6日」のことなのです。
それは、「イタリア公演」のさなかのことでした。当時「同居」していた母の「訃報」を聞き、公演は「中断(中止)」となったようです。そして、程なくその家を離れることになったようですが、そのことが歌われているのが、1972年の名作、「Remusat "レミュザ"」(旧題「les saisons "季節"」)です。
こちらも、1987年秋の、シャトレ劇場公演からの映像です。「レミュザ」は、パリ16区、ミラボー橋近くにある通りの名で、そこに、母と一緒に住んでいたということです。
1970年の名作、「quand ceux qui vont "行く人は何時"」でも、「母の死」について語られています。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12267375011.html?frm=theme(この曲についての記事)
こちらの曲「chanson pour une absente "居ない女(ひと)のために"」(1973)には、母親の「命日」である、「le 6 novembre "11月6日"」の「副題」が付いています。バルバラの「モノローグ」から始まる、言ってみれば、「歌詞のない歌」です。
これらの例からも分かるように、バルバラにとって、「母親」は、「最愛」の存在でした。「幼少期」の思い出を歌った曲の中に、亡くなったばかりの「母」への「想い」が、「溢れるように」反映されているのは、これはもう、「仕方のないこと」でしょう。だからこそ、この曲は、「悲しい響き」を持っているのです。
こうしたバルバラの心情を、「正しく」表現できる数少ない歌手の1人として、私は、このアンジェリナ・ヴィームを推薦いたしましょう。昨年の「特集」でも、何度も採り上げさせていただきました。彼女は、オーディション番組「The Voice」(2013年/2ndシーズン)の出身で、このように、この曲で、見事、4人の審査員(コーチ)「全員」を振り向かせてみせました。
「ライヴ」の映像からです。
「スタジオ録音盤」も「ナイス」です。
以下に、この曲「mon enfance "私の幼いころ"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。
次回は、この流れで、ジャック・ブレル(1929-78)の「同名」の曲、「mon enfance "子どもの頃"」(1966-67)について書いてみたいと思います。こちらも「名曲」ですので、どうぞご期待ください。
それではまた...。
映画「バルバラ~セーヌの黒いバラ~」も「公開」となりました。
http://barbara-movie.com/(映画公式サイト)
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mon enfance 私の幼いころ
j'ai eu tort, je suis revenue
dans cette ville, au loin, perdue
ou j'avais passe mon enfance
j'ai eu tort, j'ai voulu revoir
le coteau ou glissait le soir
bleu et gris, ombre de silence
et j'ai retrouve comme avant
longtemps apres,
le coteau, l'arbre se dressant
comme au passe
j'ai marche, les tempes brulantes,
croyant etouffer sous mes pas
les voix du passe qui nous hantent
et reviennent sonner le glas
et je me suis couchee sous l'arbre
et c'etait les memes odeurs
et j'ai laisse couler mes pleurs,
mes pleurs
戻って来たのは間違いだった
ずっと昔に失われてしまったこの街
私が子ども時代を過ごしたこの街へ
もう一度見たいと思ったのは間違いだった
夕暮れに、青色や灰色
静寂の影が忍び寄るあの丘を
ずっと後になって
私は昔のままのものを見つけた
丘も木も
昔のまま...
私はこめかみを熱くして歩いた
足もとに、過去の声が近づいて
弔いの鐘を鳴らしに来るのを
感じながら
そして私は木の下に横になった
それは「同じ匂い」だった
そして涙がとめどなく流れた
涙が...
j'ai mis mon dos nu a l'ecorce
l'arbre m'a redonne des forces
tout comme au temps de mon enfance
et longtemps, j'ai ferme les yeux
je crois que j'ai prie un peu
je retrouvais mon innocence
avant que le soir ne se pose
j'ai voulu voir
la maison fleurie sous les roses,
j'ai voulu voir
le jardin ou nos cris d'enfants
jaillissaient comme sources claires
Jean, Claude et Regine et puis Jean
tout redevenait comme hier
le parfum lourd des sauges rouges,
les dahlias fauves dans l'allee,
le puits, tout, j'ai tout retrouve
helas
私は、裸の背を木に押し当てた
木は、私にまた力を与えてくれた
子ども時代と同じように
そしてしばらくの間、私は目を閉じた
少しお祈りしていたかも
私は、無邪気な頃に戻っていた
夜にならないうちに
私は見たいと思った
バラに囲まれた家を
私は見たいと思った
その庭に、幼い私たちの叫び声が
泉のように湧いてくるのを
ジャン、クロード、レジーヌ、そしてジャン
みんな昨日のようによみがえる
赤いサルビアの濃い香り
小道に咲くダリア
そして井戸、みんな、みんな見つけた
それなのに...
la guerre nous avait jetes la
d'autres furent moins heureux, je crois,
au temps joli de leur enfance
la guerre nous avait jetes la
nous vivions comme hors-la-loi
et j'aimais cela, quand j'y pense
oh mes printemps, oh mes soleils,
oh mes folles annees perdues,
oh mes quinze ans, oh mes merveilles,
que j'ai mal d'etre revenue
oh les noix fraiches de septembre
et l'odeur des mures ecrasees
c'est fou, tout, j'ai tout retrouve
helas
戦争がすべてを変えてしまった
もっと不幸な人もいたはず
子ども時代は楽しかっただろうに
戦争がすべてを変えてしまった
私たちは、「無法者」のように生きていた
でも、それを思うのがまた好きだった
ああ、私の青春、私の太陽
ああ、失われた情熱の日々よ
ああ、私の15歳、素晴らしかった日々
ここへ戻って来て、とてもつらい
新鮮な9月のクルミ
つぶれた木いちごの匂い
なんてこと...みんな、みんな見つけた
それなのに...
il ne faut jamais revenir
au temps cache des souvenirs
du temps beni de son enfance
car parmi tous les souvenirs
ceux de l'enfance sont les pires,
ceux de l'enfance nous dechirent
vous, ma tres cherie, o ma mere,
ou etes-vous donc, aujourd'hui
vous dormez au chaud de la terre
et moi, je suis venue ici
pour y retrouver votre rire
vos coleres et votre jeunesse
mais je suis seule avec ma detresse
helas
決して戻ってはいけない
思い出に隠された時代
楽しかった子ども時代へは
なぜなら、思い出の中で
子ども時代の思い出は最もつらく
私たちを引き裂いてしまうから...
あなた 私の最愛の お母さん
あなたは今どこにいるのか
あなたは温かい土の中で眠り
そして私は、ここにやって来た
あなたの笑い声にまた出会うため
あなたの怒りに、あなたの若さに
私はただ一人、悲嘆に暮れて
それなのに...
pourquoi suis-je donc revenue
et seule, au detour de ces rues,
j'ai froid, j'ai peur, le soir se penche
pourquoi suis-je venue ici
ou mon passe me crucifie
elle dort a jamais mon enfance...
なぜ私は戻って来たのか
ひとり、まわり道をして
寒い、恐い、夜が来る
なぜ私は戻って来たのか
過去が私を苦しめる場所へ
私の子ども時代は、永遠の眠りの中...
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(daniel-b=フランス専門)


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