この「美しい曲」が発表されたのは、1978年2月のオランピア劇場公演でのことでした。

こちらは、詳しいデータはありませんが、「1981年前後」の映像と思われます。

1987年9月から10月にかけての、「シャトレ劇場」での公演からです。

こちらは、1980年の終わりに録音され、翌年2月に発売された、「8年ぶり」のスタジオ盤アルバム「seule」(日本盤のタイトルは、「孤独と夜の中で」)に収録された録音です。全体的に「冬」を思わせるアルバムのため、この曲も、イメージとしては、もはや「冬」といった感じがします。バルバラは、この後、公式には、1996年に発表された「ラストアルバム」まで、「スタジオ録音」のアルバムを発売しませんでした(昨年発売された新しい全集には、1985年に録音された、「Lily Passion」の「未発表スタジオ・バージョン」が収録されています)。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(これまでの記事)

 

来たる「11月24日」は、偉大な女性歌手バルバラ(1930-97)の「命日」です。昨年は、「没後20周年」ということで、「特集」も組ませていただきました。

 

今回紹介する曲は、まさに、今の季節に「ピッタリ」の曲です。

その名も、「il automne "秋になります"」。

この曲について書いてみたいと思います。

 

この曲「il automne "秋になります"」は、1978年、2月6日から26日まで行なわれた、パリ、オランピア劇場での公演で発表された「新曲」です(季節はもう、「冬真っただ中」でしたが...)。

 

歌われているのは、「11月半ば」、「晩秋」のパリの様子です。最初に挙げているオランピア劇場公演の録音では、張りのある「美しい声」で、「抒情的」に歌い上げていますが、その「3年後」に発表された「スタジオ録音」では、言い方は悪いですが、何とも「寒々」とした印象の曲となってしまいました(そこが逆に「味わい深い」のではありますが...)。これが、「声の不調による一時的なもの」だったのかどうかは、今となっては、確かめる「すべ」もありません...。

 

「伝説の大歌手」シャルル・トレネ(1913-2001)が作り、ジュリエット・グレコ(1927-)も歌った「coin de rue "街角"」(1954)のように、表向きの「華やかな面」ばかりではない「街の様子」が歌われています。そのトレネの曲でも、「生花店」は、「恋人たち」のためだけではなく、「葬儀用」の花も「売っている」と歌われており、ただ「美しい」だけにとどまらず、「現実」をも映し出しているところが、まさに、「シャンソンの伝統」なのだと言えます(だからこそ、「庶民」に愛されるのです)。

 

こちらの曲は、「coin de rue "街角"」。ジュリエット・グレコの「オリジナル録音」(1954)です。参考までに...。

 

また、発表当時、「ブレルの"老夫婦(「les vieux」)"を思わせる」と評した方もいらっしゃったようです。その「観察力の鋭さ」を言っているのでしょう。「なるほど」と思います。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12402805049.html?frm=theme(参考:ブレル「老夫婦」の記事)

 

この曲のタイトル「il automne」は、「破格的語法」だと言うことが出来ます。

 

フランス語には、「形式上の主語 il(元々は「彼は」を示します)」を使った、「非人称」という表現方法があり(英語では、普通「it」を使います)、「il fait beau」(「天気が良い」)などのように使われますが、この場合、「il」に続く「fait(faireの活用形)」は「動詞」です。「automne(秋)」は「名詞」ですから、通常ならば「あり得ない」用法なのですが、この語を「動詞」のように見立てて、「秋になります」と表現しているのです(動詞の形にするならば、「automner」のようになります)。

 

バルバラは「秋が似合う」アーティストだと言えます。「秋」をテーマにした「名曲」が本当に「多い」です。

昨年の「特集」でも紹介していますが、ここに、もう一度、載せておくことにしましょう。

 

「gueule de nuit "夜の顔"」は、大変「充実」していた、「1968年」の作品です。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12325598009.html?frm=theme(この曲の記事)

 

「初期の名作」、「dis, quand reviendras-tu? "いつ帰って来るの?"」(1962-63)は、「次回公演」を願う、ファンの「惜別の歌」としても有名となりました。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12333404524.html?frm=theme(この曲の記事)

 

この曲、「Precy-jardin "プレシー・ジャルダン"」(1981)も、「秋」を思わせる曲ですので載せておきましょう。この「プレシー・ジャルダン」とは、パリの東約30km、モー(Meaux)の近郊にある「プレシー=シュル=マルヌ」の「自宅」の「庭」のことです。大変美しい、「幻想的」な曲です。

 

「バルバラ」と言えば、16日より、こちらの「映画」が公開されます。上演館は「数少ない」ですが、「ぜひ見たい」です。「メトロ劇場」さん、お願いいたします!!

http://barbara-movie.com/(映画公式サイト)

https://ameblo.jp/utrillo-714/entry-12415883117.html(この映画についての「ユトリロさん」の記事)

 

以下に、「il automne "秋になります"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

今回の訳詞は、若干の「アレンジ」はありますが、1981年発売の「国内盤」アルバム、「seule "孤独と夜の中で"」に掲載された鳥取絹子さんのものをお借りしました(同じく、鳥取さんが訳詞を担当された、1978年の「オランピアライヴ」のものも参考にしています)。

 

それではまた...。

 

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il automne  秋になります

 

il automne a pas furtifs

il automne a pas feutres

il automne a pas craquants

sous un ciel pourpre et dore

sur les jardins denudes

se refletent, en transparence

les brumes d'automne rouillees

rouillees

dans la foret de tes cheveux

aux senteurs de poivres meles

et sur nos nuits de mi-novembre

il automne miraculeux

il automne miraculeux

il automne, il automne...

 

秋が忍び足でやって来る

抜き足、差し足

カサカサ、音を立て

緋色と金色の空の下

サビ色の秋

透けるような霧が立ち込めて

まわり一面サビ色

あなたの髪は森

混ざった胡椒の香りに

11月半ばの夜

秋が、奇跡のようにやって来る

秋が、奇跡のようにやって来る

秋が、秋が来る...

 

il automne des chrysanthemes

sur leurs deux coeurs endeuilles

il automne des sanglots longs

sous un ciel gris delave

et de la gare au cimetiere

ou ils reviennent chaque annee

de bancs de bois en bancs de pierre

et jusqu'a la derniere allee

on les voit d'escale en escale

qui n'en peuvent plus d'etre vieux

sur ce chemin de leur calvaire

qu'ils refont depuis tant d'annees

il automne desespere

il automne desespere

il automne, il automne...

 

喪に服した2人が手にする

菊の花にも、秋

色の落ちた灰色の空

いつまでも続くすすり泣き

彼らが毎年やって来る

墓地のある駅(駅から墓地への道)にも、秋

木のベンチから石のベンチへ

最後の小道まで

波止場から波止場へ

十字架へと続く道を

老いることなく

もう何年も、何年も

秋が、絶望したようにやって来る

秋が、絶望したようにやって来る

秋が、秋が来る...

 

il automne des pommes rouges

sur des cahiers d'ecoliers

il automne des chataignes

aux poches de leurs tabliers

regarde (un peu) les mesanges

en haut du grand marronnier

il y a des rouges-gorges

au jardin de(s) Batignolles

et les enfants de novembre

croient que sont venus du ciel

ces petits oiseaux de plumes

echappes d'un arc-en-ciel

pour les enfants de novembre

qui ramenent, emerveilles

un peu de l'automne rousse

au fond de leur tablier

il automne le paradis

bien plus beau que le paradis

(qu')il autome, (qu')il automne...

 

小学生たちのノートの上

赤いリンゴにも、秋

エプロンのポケットに入った

栗の実にも秋

(ちょっと)ご覧なさい 大きなマロニエの木の上に

シジュウカラ

バティニョール公園の

コマドリたち

そして11月の子どもたちは

この小鳥たちが

虹からすべり落ち

空から来たと信じている

エプロンの奥に

また見つけたこげ茶色の秋を

隠して喜ぶ

11月の子どもたち

彼らの秋は天国

天国よりも素敵な秋

秋が、秋が来る...

 

il automne a pas furtifs

a pas feutres

a pas craquants

et sur nos nuits de mi-novembre

il automne miraculeux

miraculeux

mon amour...

 

秋が忍び足でやって来る

抜き足、差し足

カサカサ、音を立て

11月半ばの夜に

秋が、奇跡のようにやって来る

奇跡のように

私の恋人...

 

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(daniel-b=フランス専門)