「冬が似合う名曲特集」の一環として、そして、「命日」である「1月14日」に向けて、今回は、「最初期」に書いたこの記事を、「グレードアップ」してお届けいたします。

 

これまでの、ダニエル・バラボワーヌ(1952-86)がテーマの「記事一覧」です。

https://ameblo.jp/daniel-b/themeentrylist-10095491551.html

 

ダニエルは、「予言」めいた曲を、いくつも書いています。それも、「不吉」な予言です...。

 

すぐ思いつくものだけでも、「le chanteur "歌手"」(1978)、「le pied par terre "地に足をつけて"」(1978)、「ces petits riens "なんでもないこと(些細なこと)"」(1979)、「tous les cris les S.O.S. "すべての叫びはS.O.S."」(1985)、そして、この曲、「partir avant les miens "家族よりも先に"」(1983)と、これだけ出て来ます...。

 

これらの曲は、自らの「死生観」を歌ったもの、ととらえることも出来るのですが、それにしても、その「死」を「暗示」するような内容ばかりなのです。

 

「le chanteur "歌手"」(9月20日付けにて、歌詞対訳を掲載)では、

 

「すべてを許してもらうために、俺は不幸に死にたい

何も後悔しないために、俺は不幸に死にたい...」

 

「le pied par terre "地に足をつけて"」(昨年3月16日付けにて、歌詞対訳を掲載)では、

 

「死にたくはない、たとえ"立派"にであっても

苦しみのせいで、僕は"意地悪者"になっていたんだ...」

 

「ces petits riens "なんでもないこと(些細なこと)"」(昨年3月16日付けにて紹介)でも、

 

「僕は、その"始まり"も、"終わり"も、選ぶことはできない。
自分の人生の...自分の人生の...

運命を変えることは僕にはできない。
"終わり"を迎える前に(=「志半ば」で)死んでしまうのがあまりにも怖い...」

 

早過ぎる「最晩年」の作、「tous les cris les S.O.S. "すべての叫びはS.O.S."」(1月14日付けにて、歌詞対訳を掲載)では...、

 

「とにかく"生きていたい"

周りの人たちのざわめきに酔いしれていたい...」

 

と、こんな感じなのです。実際、これらの曲には「不吉なものを感じた」と、本国の方々もそう話していたようです。そして、「tous les cris les S.O.S. "すべての叫びはS.O.S."」と並んで、その「最たるもの」と言える曲が、今回ご紹介する、「partir avant les miens "家族よりも先に"」(1983)なのです。

 

この曲は、1983年10月に発表されたアルバム、「loin des yeux de l'occident "西洋の視点から遠く離れて"」からの作品です。

 

1983年の初め、ダニエルは、「パリ・ダカール・ラリー」に、「選手」として、初めて参戦していました。結果は「散々」なものでしたが、そのおかげで、アフリカの、「飢餓」「貧困」「干ばつ」といった「現状」を目の当たりにすることになり、「これではいけない!!」と、その「救済」に立ち上がることにもなったのです。

 

その直後に録音されたこのアルバムでは、まだ、それらのテーマは追いきれてはいないのですが(本格的に「アフリカの」、ということでは、1985年の「ラストアルバム」で、ということになります)、こちらの作品も、「硬派」なテーマで知られています。

 

アルバムタイトルの、「西洋の視点から遠く離れて」というのは、昨年2月9日付けで紹介している、このアルバムの「代表作」の1つ、「revolucion "革命"」の、歌詞の一節でもあります。このタイトル「revolucion」は、フランス語表記によらず、「スペイン語」の表記になっていますが、これは、当時の、南米アルゼンチンの軍事独裁政権による「迫害」をテーマにしているからなのです。

 

この曲の他にも、「pour la femme veuve qui s'eveille "目覚めし寡婦へ"」(昨年2月10日付け)、「frappe avec ta tete "君の頭で叩け"」(昨年2月12日付け)といった、「重々しい」曲が並びます。

 

ミシェル・ベルジェ(1947-92)も、当時、同じテーマで書いた曲、「Diego, libre dans sa tete "ディエゴ、頭の中では自由"」(1981-83)を歌って大ヒットさせています。この曲は、先日亡くなった、ジョニー・アリディ(1943-2017)も歌っていましたよね。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12334755479.html

 

そういった、「社会派」の曲が並ぶ中で、今回のこの曲、「partir avant les miens "家族よりも先に"」で歌われるのは、自身の「葬儀」の模様です。

 

「僕はしばしば望んだ。家族よりも先に逝くことを

彼らの"消えた炎"を受け継ぐことのないように...」

 

と、一種の「非難」めいたことも口にしてはいますが、ブレル(1929-78)やブラッサンス(1921-81)、バルバラ(1930-97)らが歌ったものとは違い、あくまでも「静か」な、「祈りの曲」といった趣きです。「教会音楽」的な雰囲気も感じられますので、あえて、今回、この時期に選んでみました。

 

最初に挙げている音源は、1984年9月、「最後」となってしまった、「お気に入り」のホール、「パレ・デ・スポール」でのライヴ録音です。

 

歌詞は、やや「難解」かも知れませんが、以下に載せておきましょう。

 

なお、映像を検索中に、このような素敵な「カバー」も発見いたしました。

 

それではまた...。

 

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partir avant les miens  家族よりも先に

 

petite foule danse

autour d'un corps s'endormant

douceur immense

pour le depart d'un parent

calmement

peint aux couleurs de l'artifice

des bleus lisses et roses et blancs

et lentement

visages tendres sur l'herbe glissent

se sourient en chuchotant

et sans le moindre tourment

ils fetent mon enterrement

 

小さな群れが踊る

眠っている体のまわりを

限りない優しさで

肉親の旅立ちのために

穏やかに

艶やかな青、バラ色、白で

巧みに彩られて

そしてゆっくりと

穏やかな顔が、草の上で

囁きながら微笑みあう

何の心配(苦しみ)もなく

彼らは、僕の「埋葬式」を祝ってくれる

 

cendres folles et s'envolent

sous les yeux pales et contents

et s'unissent aux lucioles

pour vivre un dernier instant

et a jamais

restent en suspens

 

蒼白くも、満足げなその瞳の下で

灰が乱れ飛ぶ

最後の瞬間を生きるため

蛍とひとつになる

そして永遠に

そのままの状態で...

 

et j'ai souvent souhaite

de partir avant les miens

pour ne pas heriter

de leur flamme qui s'eteint

et m'en aller

en gardant le sentiment

qu'ils vivront eternellement

et simplement

qu'ils fassent que la nuit soit claire

comme aux feux de la Saint-Jean

que leurs yeux soient grands ouverts

pour feter mon enterrement

 

僕はしばしば望んだ

家族よりも先に逝くことを

彼らの「消えた炎」を

受け継ぐことのないように

そして僕は逝く

こんな思いを胸に秘めながらも

彼らがいつまでも生きられるように

そして単純に

夜も明るくあるように

サン=ジャン(聖ヨハネ)の火(の祭)のように

眼も大きく開かれているように

僕の「埋葬式」を祝うために

 

pere et mere soeurs et freres

je vous aime puissamment

n'adresser aucune priere

ou que j'aille je vous attends

la poussiere

vit hors du temps

 

父さん、母さん、姉さんたちに兄さんたち

みんな、思いっきり愛してる

いかなる祈りも捧げることなく

僕はどこへ行こうと、みんなを待っている

ちりとなって

時を超越して生きる

 

il faut rester dans la lumiere

dansez buvez en me bercant

que je vous aime en m'endormant...

 

光の中にとどまらなくてはいけない

踊って(ほしい)、飲んで(ほしい)、僕を揺らしながら

眠りながらも、みんなを愛してる...

 

 

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(daniel-b=フランス専門)