さて、何やら、いろいろと「まわり道」をしているような気もしますが、引き続き、「冬に聴きたい名曲特集」をお送りしたいと思います。

 

今回は、名曲、「ou que tu ailles... "あなたが何処へ行こうと..."」(1989)他、リュシッド・ボーソンジュ(1954-)の名作をいくつかご紹介したいと思います。

 

リュシッド・ボーソンジュは、「地中海両岸の家系」を持つと、ウィキペディアでは紹介されています。ベルギーとの国境に近い、フランス北部の都市ルーベ(ジャック・ブレルが、1967年5月16日、「最後のライヴ」を行なったことでも有名です)の出身です。

 

彼女は、他のフランスの女性歌手に比べると、日本では、あまり広く知られているとは言えません。販路が「限定的」(当時の新星堂、「オーマガトキ」レーベルでの発売)だったこともありますが、ジャンルとしても、従来の「シャンソン」と「フレンチポップ」の「中間」くらいに位置するアーティストで(メジャーな方では、エルザ・ルンギーニといったアーティストもいます)、「クラシック」から「ミュージカル」のナンバーまでをも「レパートリー」としている、とても「ユニーク」な存在だと言える方です。

 

「少女時代」には、かなり「奔放」な生活を送っていたようで、ボブ・ディラン(1941-)などに傾倒していたと言います。

 

転機が訪れたのは、1976年、カナダ・ケベック出身のアーティストたちと出会ってからのことでした。彼女は、英語で作詞をするのをやめ、フランス語の曲を作ることを決意します。

 

ライヴ活動を続けながら、1978年には、初のアルバム「la casse tete "頭痛の種"」が、ベルギーで録音、発表されましたが、このアルバムがジャン=ルイ・フルキエ(1943-2013)のラジオ番組で紹介されたことにより、1980年以降、彼女も、急速に名が知られるようになりました。

 

初めてのヒット曲と言えるのが、この、「lettre a un reveur "夢想家への手紙"」(1981)でしょう。アルバム「africaine "アフリカ女"」の収録曲である他、シングルでも発売されました。こちらは、1995年の「再録音」バージョンです。

 

1983年、トランペット奏者で、以降、公私ともに「重要」なパートナーとなった、ハレド・マルキとの、初の共作、「l'oiseau "鳥"」です。大変「哲学的」な曲で、「あまりにも早く来た成功に結び付けられた不安が反映した暗い作品」と解説されています。

 

こちらは、2008年11月22日、パリでのライヴからのものです。

 

さて、今回、「メイン」で紹介させていただく曲が、最初に挙げた、「ou que tu ailles... "あなたが何処へ行こうと..."」(1989)です。

 

1986年、リュシッドは、ハレド・マルキとの3枚目のアルバム「pas deranger "入ってこないで"」を完成させますが、その同じ年に、彼と「死別」してしまうことになってしまいました。

 

悲しみに沈んだ彼女でしたが、その後再起します。

アルバム「pas deranger "入ってこないで"」の収録曲、「les solitaires "孤独な人たち"」のシングルカットを皮切りに、1988年には、「ピアノ弾き語り」で、ライヴ活動に復帰しました。

 

こちらがその曲、「les solitaires "孤独な人たち"」です(音はあまり良くありませんが...)。

 

そして、1989年12月に発売されたのが、最初に載せた名曲「ou que tu ailles... "あなたが何処へ行こうと..."」を含む、同名のアルバムなのです(「les solitaires "孤独な人たち"」は、こちらにも収録されています)。

 

亡くなったハレド・マルキに対する「オマージュ」として作られたこのアルバムは、翌年の「ACC(アカデミー・シャルル・クロ)ディスク大賞」の、「ピアフ賞」を受賞しました。

 

以下に、その、「ou que tu ailles... "あなたが何処へ行こうと..."」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。亡くなったハレドに対する「熱い想い」が、きっと、伝わってくるはずだと思います。

 

なお、今回採り上げた映像は、最初のものが、2009年10月31日、ルーマニアでのライヴから、ということです(「生中継」でテレビ放送されたようです)。

2番目のものは、オリジナルの「スタジオ録音」ですが、続けて、アルバムの「次の曲」、「ne me dites plus jamais "もう言わないで"」も収録されています。

 

今回は、リュシッド・ボーソンジュの「名曲」をご紹介しました。

それではまた...。

 

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ou que tu ailles...  あなたが何処へ行こうと...

 

ou que tu sois ou que tu ailles

je serais comme une maison

a la hauteur de l'horizon

pour que de chez toi tu me voies

je serais toujours avec toi

comme le vent dans tes cheveux

un baiser pose sur tes yeux

baiser d'amour dev'nu vital

 

あなたが何処にいようと、何処へ行こうと

私は「家」になりましょう

地平線の高さで

あなたの家から、私が見えるように

私はいつもあなたと一緒にいましょう

あなたの髪に吹く風のように

あなたの目に押し当てるキスのように

愛のキスは、「生きる力」となる

 

je sais qu'un jour mes yeux se rouvriront sur toi

le Dieu du Ciel me menera jusque-la

et tant pis pour ceux qui n'ont pas compris pourquoi

le Dieu du Ciel m'a menee jusqu'a toi

 

いつの日か、私の眼は、あなたに向けて再び開かれることでしょう

天の神様が、私をそこまで連れて行ってくれる

なぜだかわからない人は残念だわ

天の神様は、私を、あなたのもとへ連れて来てくれたの

 

c'est pas qu'tu sois parti trop vite

mais que tu sois parti sans moi

me laisse desormais sans chez moi

il n'y a nulle part ou j'habite

je ne suis plus qu'une demi sphere

vivant au Sud perdue au Nord

unis a jamais pour la Vie

et c'est la mort qui nous rassemble

 

あなたが、あまりに早く逝ってしまったからじゃないけれど

私を連れずに逝ってしまったから

家もなく、私を取り残して

私は、どこにも住む所がないの

私は、「南」では生き生きとしていて、「北」では途方に暮れている

私たちは永遠に結ばれていて

また私たちを会わせてくれるものは、「死」なの

 

je sais qu'un jour mes yeux se rouvriront sur toi

le Dieu du Ciel me menera jusque-la

et tant pis pour ceux qui n'ont pas compris pourquoi

le Dieu du Ciel m'a menee jusqu'a toi

 

いつの日か、私の眼は、あなたに向けて再び開かれることでしょう

天の神様が、私をそこまで連れて行ってくれる

なぜだかわからない人は残念だわ

天の神様は、私を、あなたのもとへ連れて来てくれたの

 

et tous les cris tous les pardons

tous les desirs toutes les questions

toutes nos vies en suspension

rempliront nos trous de memoire

elle est le sens de notre histoire

elle n'est pas venue par hasard

 

すべての叫び、すべての許し

すべての欲望、すべての疑問

私たちの、「中断」したこの人生のすべてが

私たちの、記憶の空白を埋めてくれることでしょう

記憶は、私たちの物語の「意味」

偶然にやって来たわけではないのだから

 

je sais qu'un jour mes yeux se rouvriront sur toi

le Dieu du Ciel me menera jusque-la

et tant pis pour ceux qui n'ont pas compris pourquoi

le Dieu du Ciel m'a menee jusqu'a toi

 

ou que tu sois ou que tu ailles...

 

いつの日か、私の眼は、あなたに向けて再び開かれることでしょう

天の神様が、私をそこまで連れて行ってくれる

なぜだかわからない人は残念だわ

天の神様は、私を、あなたのもとへ連れて来てくれたの

 

あなたが何処にいようと、何処へ行こうと...

 

 

 

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(daniel-b=フランス専門)