今回も、今月6(5)日に肺がんのため急逝した、偉大な歌手ジョニー・アリディ(1943-2017)を偲んで、この作品について書いておきたいと思います。
今回ご紹介する曲は、今年、「没後25周年/生誕70周年」の「ダブル・アニヴァーサリー」であった、ミシェル・ベルジェ(1947-92)のプロデュースによる「コラボ」作品です。
1985年のジョニー・アリディのアルバム「rock'n'roll attitude "ロックな態度(姿勢)"」は、ミシェルが彼のすぐ近くで詞を書いていたと言われています。
テネシー・ウィリアムズ(1911-83)は、著名なアメリカの劇作家で、映画化もされた「A Streetcar Named Desire "欲望という名の電車"」(1947)などがとてもよく知られています。
この作品と並んで、「ピューリッツアー賞」を受賞した、「Cat On a Hot Tin Roof "熱いトタン屋根の猫"」(1955)という名作がありますが、ジョニーは、ちょうどこの作品を読んでいたところでした。そして、読み終わってからというもの、作者、テネシー・ウィリアムズに対する称賛の言葉が涸れることはなかったと言います。
このことがきっかけで、この曲、「quelque chose de Tennessee "テネシー・ウィリアムズの何か"」は生まれました。
テネシー・ウィリアムズは、仲の良かった姉が、「精神障がい」ということで、「ロボトミー手術」(大脳の「前頭葉白質」を切除するもので、現在では、「タブー」とされています)を受けさせられたことで両親を許せず、また、自身も、それを止められなかった「自責の念」に苦しめられました。
このことが、彼の作品に「大きな影響」を及ぼしたと言われ、その「登場人物」の設定は、しばしば、両親に対する「抗議」であったとも言われています。また、彼の書いたキャラクターの多くは、「自叙伝的」だとも言われます。
彼は、「同性愛者」であったことでも知られています。1979年には、5人の10代の少年から暴行を受け(「ヘイトクライム」だということです)、晩年は、死と孤独に対する恐怖から、アルコールや、ドラッグが手放せなかったと言います。
1983年、彼は、ニューヨークのホテルで、ボトルのキャップをのどに詰まらせて窒息死しましたが、彼の弟たちは、「他殺」だと主張しています。
この曲、「quelque chose de Tennessee "テネシー・ウィリアムズの何か"」は、このような「波瀾」に満ちた生涯を送った、彼への「オマージュ」として書かれたものです。
とても味わい深い曲ですが、このような「背景」を理解して聴くと、いっそうの「重み」も感じられます。
「イントロダクション」として、女性のナレーションが入りますが、これは、「熱いトタン屋根の猫」の終幕で、マギー(マーガレット。映画版では、エリザベス・テイラーが演じました)から、ブリック(同じく、ポール・ニューマンが演じました)へ向けてのセリフだということです。ここで最初に挙げている、ジョニー・アリディの公式録音・MVでは、女優のナタリー・バイ(1948-)がこれを担当しています。
この、公式のMVは、1985年度の「ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック」において、「優秀ビデオ・クリップ」にも選ばれています。
上掲の他の映像ですが、2番目の動画は、前回の「je ne suis pas un heros "俺はヒーローじゃない"」(1980)でも紹介した、1990年、パリ・ベルシーでのライヴからのものです。
3番目の動画は、ミシェルとの共演のもの。
4番目は、そのミシェルの、1986年4月のゼニット・ホール公演からのものです。妻フランス・ギャル(1947-)への曲、「si, maman, si "聞いてよママン(ねえ、ママ、ねえ)"」(1980)もあわせて紹介されています。このライヴの動画は、以下の記事にて紹介しています。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12176841942.html
5番目の動画は、そのフランス・ギャルとの共演のものです。
次いで、ZAZ(1980-)との共演ですが、ジョニーの「声量」がスゴ過ぎて、さすがのZAZもちょっと「押され気味」かも...。
こちらの動画は、ユトリロさんも挙げていた、ジュリアン・クレール(1947-)の、リヨンでの最新ライヴの映像からです。彼も、「追悼」として、この曲を歌っています。
それでは、以下に、歌詞も載せておくことにしましょう。
余談ですが、9月11日付けで紹介した、ミュージカル「RESISTE」の登場人物の名前は、ほぼ全員、ミシェル・ベルジェの曲の中に出て来るものです(「マティス」だけは、ちょっとピンと来ません...)。ですから、「テネシー」もちゃんといましたね。演じた方の名前が少し難しく、「グワンダール・マリムゥトゥ」と言うようですが、「アフロ」の、あの人です。劇中では、エロディ・マルトレ演じる、次女「マンドリーヌ」(こちらも、1983年の曲のタイトルから付けられています)と、めでたく結ばれました。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12309459572.html(ミュージカル「RESISTE」の記事)
それではまた...。
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"ah vous autres, hommes faibles et merveilleux
qui mettez tant de grace a vous retirer du jeu,
il faut qu'une main posee sur votre epaule
vous pousse vers la vie...cette main tendre et legere..."
"ああ、賭け事から身を引くことを大変ありがたく思っている
弱くも素晴らしいみなさん
あなた方の肩に置かれたひとつの手が
あなた方を、人生に向かって後押ししてくれることが必要です...
その、優しく、軽妙な手が..."
on a tous quelque chose en nous de Tennessee
cette volonte de prolonger la nuit
ce desir fou de vivre une autre vie
ce reve en nous avec ses mots a lui
quelque chose de Tennessee
私たちはみな、テネシーの持つ「何か」を自分の中に持っている
夜を延ばそうとするその望み
別の人生を生きたいという、その狂おしい願い
私たちのこの夢は、彼の言葉とともにある
テネシーの持つ「何か」
cette force qui nous pousse vers l'infini
y'a peu d'amour avec tellement d'envie
si peu d'amour avec tellement de bruit
quelque chose en nous de Tennessee
その力は、私たちを「無限」に向かって後押しする
わずかな「愛」が、たくさんの「欲求」とともにある
ほんのわずかな「愛」が、騒がしい中にもある
私たちの中にある、テネシーの持つ「何か」
ainsi vivait Tennessee
le coeur en fievre et le corps demoli
avec cette formidable envie de vie
ce reve en nous c'etait son cri a lui
quelque chose de Tennessee
このようにしてテネシーは生きていた
心は熱くとも、体はボロボロで
それでも、この驚くべき「生」への欲求を持って
私たちのこの夢は、彼自身の「叫び」だった
テネシーの持つ「何か」
comme une etoile qui s'eteint dans la nuit
a l'heure ou d'autres s'aiment a la folie
sans un eclat de voix et sans un bruit
sans un seul amour, sans un seul ami
ainsi disparut Tennessee
夜中に消えゆく1つの星のように
他の人たちが狂おしく愛し合う時間に
声も上げず、物音も立てず
ただ1つの愛もなく、ただ1人の友もなく
このようにして、テネシーは消えた
a certaines heures de la nuit
quand le coeur de la ville s'est endormi
il flotte un sentiment comme une envie
ce reve en nous, avec ses mots a lui
quelque chose de Tennessee
y'a quelque chose en nous de Tennessee...
夜中のある時間
街の中心部が寝静まった頃に
欲望にも似た感情が漂う
私たちのこの夢は、彼の言葉とともにある
テネシーの持つ「何か」
私たちの中には、テネシーの持つ「何か」がある...
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