「冬の名曲特集」をお送りしています。今回も、シャンソン界の3大巨匠の1人、レオ・フェレ(1916-93)の名作をお届けいたします。
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https://ameblo.jp/daniel-b/themeentrylist-10097986170.html
今回ご紹介する曲は、1973年に発表されたアルバム、「il n'y a plus rien "もう何もない"」に収録された名作、「ne chantez pas la mort "死を歌わないで"」です。
この曲の詞は、レオ・フェレの長年の友人でもあった、ジャン=ロジェ・コシモン(1918-85)が書いています(曲は、レオ・フェレ自身の手によります)。彼が書いた作品ということでは、最初に採り上げた(昨年7月17日付け)、「comme a Ostende "オスタンド(で)のように"」(1959-60)が、まさにそれでした。
いかにも「詩人」といった風貌のジャン=ロジェ・コシモンですが、彼自身も、「歌手」としてステージに立ってもいます。彼が詞を書き、フェレが曲を付け、それを、お互いに歌い合う。
「私見」ではありますが、とても「素敵」な友人関係ですね。本当に、うらやましい限りだと思います。
その、ジャン=ロジェ・コシモンの「ライヴ音源」からもどうぞ。
さて、この曲ですが、ジョルジュ・ブラッサンス(1921-81)も言っていたように、「詩人の好きなテーマ」でもある、「死」に関する作品です。
詩人は、前置きとして、
「死を歌わないで それは不健全なテーマだ」
とちゃんと言っています。
しかしながら、「死」を表す言葉「la mort(ラ・モール)」と、「愛」を表す言葉「l'amour(ラムール)」の音が「似ている」ことをまず挙げ、それ以降は、「死」を半ば「擬人化」して書いています。こうしたところは、まさに、シューベルト(1797-1828)の、歌曲や、弦楽四重奏曲にもなった、マティアス・クラウディウスの詩、「死と乙女」を少し思い出させます。
そして、もう1つの重要なモチーフが「時」です。こうも書いています。
「死は知っている。"時"が、毎日、私たちから"何か"を盗んでいくことを」
また、
「"時"、それは、時計のおぞましい"チクタク"
"死"、それは、"永遠"の中の"無限"」
といったフレーズも出て来ますが、ここからは、当時の「死生観」も読み取れると思います。
それこそ、現在では、このような曲は「タブー視」されるのでしょうが、人間が「避けることの出来ない」死を、「哲学的」に語ったこの作品は、もっと見直されても良いはずだと私は思います。
ジャック・ブレル(1929-78)も、その「最晩年」の作品「vieillir "老いるということ"」(1977)で、
「死ぬこと、それは何でもない
死ぬこと、それは素晴らしいことだ
だが、"老いる"ことは...!! "老いる"ことは...!!」
と歌っていました。つまり、「死ぬ」ことよりも、「老いる」ことの方がずっと「難しい」ということです。
「哲学的」ということでは、この曲もそうです。
1971年の名作、「la solitude "孤独"」。
一見「難解」な歌詞ではありますが、当時の彼の心境を思うと、うなずける内容でもあります。来年(「没後25周年」です)にでも、また、あらためて採り上げてみたいと思います。
1972年のオランピア劇場公演は、盲目のピアニスト、ポール・カスタニエの伴奏です。
スタジオ録音は、ロック・グループ「ZOO」との共演です。
それでは、「ne chantez pas la mort "死を歌わないで"」の歌詞を載せておくことにしましょう。
上掲の、この曲の映像(音源)では、最初の、1972年11月の、オランピア劇場公演のものが「イチ押し」です。すでに書いているように、この公演のピアニストは、ポール・カスタニエです。
2番目は、1986年の映像。3番目が、「スタジオ録音」(1972年12月)の音源です。
それではまた...。
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ne chantez pas la mort 死を歌わないで
- ne chantez pas la Mort, c'est un sujet morbide
le mot seul jette un froid, aussitot qu'il est dit
les gens du "show-business" vous prediront le "bide"
c'est un sujet tabou... pour poete maudit
la Mort!
la Mort!
死を歌わないで それは「不健全」なテーマだ
口にされた途端 そのひと言が戦慄を巻き起こす
「ショー・ビジネス」の連中は、あなたの「失敗」を予言するだろう
それは「禁じられた」テーマ...呪われた詩人のための
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」
- je la chante et, des lors, miracle des voyelles
il semble que la Mort est la soeur de l'amour
la Mort qui nous attend, et l'amour qu'on appelle
et si lui ne vient pas, elle viendra toujours
la Mort!
la Mort!
私は「死」を歌う すると、「母音」の奇跡
「ラ・モール(死)」は、「ラムール(愛)」の姉妹のようだ
「死」は、私たちを待ち受け、私たちは「愛」を呼び寄せる
「愛」はやって来なくとも、「死」は必ずやって来る
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」
la mienne n'aura pas, comme dans le Larousse
un squelette, un linceul, dans la main une faux
mais, fille de vingt ans a chevelure rousse
en voile de mariee, elle aura ce qu'il faut
la Mort
la Mort...
私の死(神)には、「ラルース」の大事典にあるような
「骸骨」や、「経帷子(きょうかたびら)」や、手にした「鎌」はないだろう
でも、花嫁のヴェールに覆われた、赤毛の20歳の娘は
その運命に出合うことだろう
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」...
de grands yeux d'ocean, une voix d'ingenue
un sourire d'enfant sur des levres carmin
douce, elle apaisera sur sa poitrine nue
mes paupieres brulees, ma peau en parchemin
la Mort
la Mort...
「大海」のような大きな瞳、「無邪気」なその声
赤いくちびるに、子どもの微笑みを浮かべ
彼女(死)は優しく、その露わな胸に
焼けつくような私のまぶたを、干からびた私の肌を静めてくれるだろう
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」...
"Requiem"de Mozart et non "Danse macabre"
(pauvre valse musette au musee de Saint-Saens!)
la Mort c'est la beaute, c'est l'eclair vif du sabre
c'est le doux penthotal de l'esprit et des sens
la Mort
la Mort...
モーツァルトの「レクイエム」を 「死の舞踏」はごめんだ
サン・サーンス博物館の、庶民的なヴァルス・ミュゼットでもいい
死、それは「美」だ それは、強烈な剣の輝き
それは、精神と、感覚を麻痺させる、甘美な麻酔薬
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」...
et n'allez pas confondre et l'effet et la cause
la Mort est delivrance, elle sait que le Temps
quotidiennement nous vole quelque chose
la poignee de cheveux et l'ivoire des dents
la Mort
la Mort...
ただし、「結果」と「原因」を混同してはいけない
「死」とは「解放」なのだ 「死」は知っている
「時」が、毎日、私たちから「何か」を盗んでいくことを
一掴みの髪を 歯の象牙を
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」...
elle est Euthanasie, la supreme infirmiere
elle survient, a temps, pour arreter ce jeu
pres du soldat blesse dans la boue des rizieres
chez le vieillard glace dans la chambre sans feu
la Mort
la Mort...
死は「安楽」にして、最高の看護師
それは突然現れて、時間通りに、ゲームをやめさせる
水田のぬかるみで負傷した兵士のそばで
火のない部屋で凍えているお年寄りの家で
「ラ・モール(死)」
「ラ・モール(死)」...
le Temps, c'est le tic-tac monstrueux de la montre
la Mort, c'est l'infini dans son eternite
mais qu'advient-il de ceux qui vont a sa rencontre?
comme on gagne sa vie, nous, faut-il meriter
la Mort
la Mort
la Mort?...
「時」、それは、時計のおぞましい「チクタク」
「死」、それは、「永遠」の中の「無限」
それに出合う者たちには、いったい、何が起こるのだろう
生活費を稼ぐ私たちには、当然の報いなのだろうか
死が
死が
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(daniel-b=フランス専門)



