さて、1日遅れましたが、この話題についても書いておきたいと思います。
将棋の羽生善治棋聖(1970-)が、5日、鹿児島県指宿市で行なわれた、「第30期竜王戦」7番勝負の第5局において、渡辺明竜王(1984-)を、先手番87手までで破り、対戦成績4勝1敗で、実に、「15期ぶり」となる「竜王」を獲得しました。
最近では、相次ぐ「失冠」により、「棋聖」の1冠のみに「後退」はしていましたが、「ここぞ」という勝負強さを見せ、見事、「竜王」の座を奪還してみせました。
この結果、「竜王」位獲得が、通算で「7期目」となり、「永世竜王」の称号を得たのと同時に、現在、「永世称号制度」のある7タイトルの「すべて」(「竜王」「名人」「王位」「王座」「棋王」「王将」「棋聖」)を手にするという、「史上初」の、「永世7冠」の快挙を成し遂げました!!
思えば、「同じ年」である羽生さんの活躍は、いつの時代も、すごい「励み」となっていました。
「羽生マジック」とも呼ばれるその「指し手」は、その名の通り、常に、「勝利」を呼び寄せる「魔術」のようなもので、あっと驚く妙手で、「奇跡の大逆転」をも起こしてしまうものでした。
1996年には、これも「史上初」となる、「全7冠独占」という「偉業」まで達成してしまいました。
しかしながら、この「全タイトル」を「守り切る」ということは容易なことではありません。その「重圧」もさることながら、そのタイトル戦は、一部日程が重なったりすることもあるからです。連続する対局の中で、勝ち続けることがいかに「大変」か。羽生さんは、身をもって分かっているわけです。それでも、ごく最近までは、「4冠」を維持していたのですから、それもまた、「スゴイ」ことだと思います。
先に「永世竜王」の称号を得ている、今回の相手、渡辺明棋王(前竜王)は、羽生さんの前に立ちふさがった、「若い世代の壁」の「筆頭」のような人でした。現に、渡辺さんは、ともに、「初」となる「永世竜王」の資格を、「第21期竜王戦」(2008年)の「直接対決」において「勝利」し、「連続5期」達成という「圧倒的な強さ」で、あっさりと手に入れてしまいました。「通算7期」での獲得を狙っていた羽生さんは、この時、惜しくも敗れ、今回の、「リベンジ」での達成までに、実に、「9年」もかかることになってしまったのです。
「竜王」とは、「名人」と並んで、将棋界の「頂点」とも言えるタイトルです。その前身である「十段戦」「九段戦」から数えると、最も「長い」歴史を持つタイトルだとも言えます。この、「竜王」、「名人」は、プロ将棋界を代表する、「顔」のような、「存在」、「地位」です(まさに、大相撲で言う「横綱」ですね)。
「竜王」と聞くと、私は、藤井猛九段(1970-)も思い出しますね。上掲4番目の動画でも、「大盤解説」をしていらっしゃいますが、羽生さんとは、誕生日がたったの「2日違い」です(羽生さんが9月27日、藤井さんが29日です)。
藤井さんも、「竜王」として、最強の「藤井システム」を誇った人ですから、記憶によく残っています。現在のような「若手」が台頭してくるまでは、「この世代」の方々が本当に「強く」、かなり長い間、将棋界を牽引してきた印象があります。
さすがに、羽生さんを含めた彼の世代が、以前のような「強さ」を発揮出来ることは、もう「ない」のかとも思っていましたが、「永世7冠」が掛かった今回の対局は、まったく「異次元の強さ」だったのではないかと思いました。
羽生さんは、「盤上はテクノロジーの世界。日進月歩で進み、過去の実績は意味がない」と言っています。「新しいアイディアの中には、ごくまれに、元々の大前提をひっくり返すものがある」とも述べています。この、「経験」だけにとらわれない姿勢であるからこそ、日々進化し、勝利を積み上げられるものなのでしょう。本当に「敬服」いたします。
というわけで、簡単ではありますが、あらためて、羽生善治さんの、「史上初」となる「永世7冠」達成という「偉業」を祝して、「結び」としたいと思います。
それではまた...。
(daniel-b=フランス専門)