「11月24日」は、偉大な女性歌手バルバラ(1930-97, 本名モニック・セール)の「命日」となります。それも、今年は、「没後20周年」の「記念の年」に当たります。ですので、今月は、可能な限り、このバルバラの名作を紹介していきたいと思っています。

 

テーマが「バルバラ」となっている記事の一覧を貼っておきます(実際には、他のテーマでも紹介している曲が何曲かあります)。

https://ameblo.jp/daniel-b/themeentrylist-10097047678.html

 

今回ご紹介する2曲は、バルバラが、初めて日本に紹介された曲そのものでもあります。

このことに関しては、永田文夫先生(1927-2016)の尽力によるところが大きく、以下の記事にて紹介しております。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12161883486.html

 

この、フィリップスへ移籍後初のアルバムとなる、「BARBARA CHANTE BARBARA」(別名「バラのアルバム」)は、1964年9月に発表されました(日本発売は翌年のことで、「私自身のためのシャンソン」というタイトルが付けられています)。

 

翌1965年には、ACC(アカデミー・シャルル・クロ)ディスク大賞を受賞した「名盤」でもあり、これが、「真のスタートとなった作品」と言っても、過言ではないでしょう。

 

また、このレコードは、私たち「日本人」にとっても、「大きな意味」を持つものだとも言うことが出来ます。この、「日本での成功」があったからこそ、その後の、度々の「来日」にもつながったのです(「バルバラの人気は、まずは日本から始まった」)。

 

このアルバムは、全12曲で構成されていますが、このうち数曲は、「最後」のシャトレ劇場公演(1993年)までも歌われています。まさに、「基本中の基本」だと言えます。今回採り上げた2曲は、その「代表」とも言える曲です。

 

まず、最初の曲は、「Pierre "ピエール"」です。その「神秘的」な雰囲気からか、「穏やか」ながら、根強い人気のある曲です。バルバラは、ステージに登場する際、大抵、この曲の「イントロ」に乗って現われました。

 

また、この曲は、世界的なバレエ・ダンサー、ミハイル・バリシニコフ(1948-)に献呈されてもいます。彼は、バルバラの熱心なファンだと言い、1986年の、自身のニューヨーク公演にバルバラを招待し、この曲と、「le mal de vivre "孤独のスケッチ"」(1965年発表。数日中に「紹介予定」です)を、ステージで踊ってみせました。他にも、「あまり知られていない曲」まで、シンセサイザーで弾いてみせるなど、バルバラを、大変「驚かせた」というエピソードが伝えられています。

 

今回採り上げた音源は、最初のものが、1987年のシャトレ劇場公演から。2番目のものが、1981年のパンタン公演からのものです。

3番目のものは、とても「貴重」な録音のようで、アルバム発売の3週間後、「9月23日」収録の、「ラジオ放送用音源」(10月1日放送)だということです。

4番目のものが、オリジナルの「スタジオ録音」です。

 

続いての作品は、「au bois de Saint-Amand "サンタマンの森で"」という曲です。

童謡風のメロディを持つ、この親しみやすい一編は、オリジナル録音でも、「1分30秒」と、大変短いものですが、バルバラは、ほぼ「毎回」、ライヴのプログラムに入れていました。もちろん、「最後」のシャトレ劇場公演(1993年)でも歌われています(1974年「ヴァリエテ座」公演は、アナログ、CDともに収録はありませんが、実際のステージでは、歌われたようです)。

 

1987年、シャトレ劇場公演からの映像です。

 

大変「貴重」な録音です。「1965年9月19日」、ボビノ劇場にて、初めて「真打ち」となった公演からの音源だということです。次回紹介する曲、「ma plus belle histoire d'amour "わが麗しき恋物語"」(1966-67)は、この時の「感動」をもとに作られた曲です。

 

以下、アルバム全曲(約32分)も、参考までに...。

 

アルバムの全曲名は以下の通りです。

1.a mourir pour mourir 死にあこがれて(死ぬために死ぬのなら)
2.Pierre ピエール
3.le bel age ル・ベル・アージュ(彼はほとんど20歳のようだった...)
4.au bois de Saint-Amand サンタマンの森で
5.je ne sais pas dire... 私は言葉を知らない
6.gare de Lyon リヨン駅
7.Nantes ナントに雨が降る
8.chapeau bas 脱帽
9.Paris, 15 aout パリ、8月15日
10.bref 要するに
11.sans bagages あなたが帰る日(荷物もなしに)
12.ni belle ni bonne 私は美しくもなく、優しくもないけれど

 

トップナンバーであるこの曲も、「定番曲」でした。

 

それでは、以下に、「Pierre "ピエール"」「au bois de Saint-Amand "サンタマンの森で"」の歌詞を載せておきましょう。

 

さて、この「特集」も、いよいよ「終盤戦」です。11月いっぱいは、このテーマで行こうと考えていますが、この先は、ライヴでも、「終盤」の定番曲を揃えてみました。

 

次回は、ファンへの「答礼の曲」としても有名な、「ma plus belle histoire d'amour "わが麗しき恋物語"」(1966-67)を採り上げてみたいと思います。

 

それではまた...。

 

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Pierre  ピエール

 

tilala...lalala...

il pleut

hum...hum...tilala...

il pleut

sur les jardins alanguis

sur les roses de la nuit

il pleut des larmes de pluie

il pleut

et j'entends le clapotis

du bassin qui se remplit

oh mon Dieu que c'est joli

la pluie...

 

ティララ...ラララ...

雨だわ

ム...ム...ティララ...

雨ね

物憂げな庭に

夜のバラの上に

涙のような雨が降る

雨だわ

あふれる泉の

水の音が聴こえる

ああ、なんて素敵なの

雨は...

 

quand(des que) Pierre rentrera

tiens, il faut que je lui dise

que le toit de la remise

a fui

il faut qu'il rentre du bois

car il commence a faire froid

ici...

 

ピエールが帰って来たら(すぐ)

そう、彼に言わなくちゃ

納屋の屋根が

雨漏りするって

彼ももう、森から帰って来るでしょう

寒くなり始めたもの

こっちでも...

 

hum...hum...tilala...

oh Pierre...

hum...hum...tilala...

mon Pierre

sur la campagne endormie

le silence et puis un cri

c'est rien, un oiseau de nuit

qui fuit

que c'est beau cette penombre

le ciel, le feu et l'ombre

qui se glisse jusqu'a moi

sans bruit...

 

ム...ム...ティララ...

ああ、ピエール

ム...ム...ティララ...

私のピエール

眠り込んだ田園のしじまに

突然の叫び声

何でもない

夜の鳥が飛び立っただけ

なんて美しい この薄暗がり

空、明かりと

私のもとへ滑り込んでくる影

音もなく...

 

hum...hum...tilala...

une odeur de foin coupe

monte de la terre mouillee

une auto descend l'allee,

c'est lui...

 

ム...ム...ティララ...

刈り取った干し草の匂いが

湿った地面から立ちのぼってくる

車が一台、小道を下って来る

彼だわ...

 

tilala...lalala...

oh Pierre...

hum...hum...

 

ティララ...ラララ...

ああ、ピエール...

ム...ム...

 

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au bois de Saint-Amand  サンタマンの森で

 

y a un arbre, je m'y colle,

dans le petit bois de Saint-Amand

je t'attrape, tu t'y colles,

je me cache, a toi maintenant

 

1本の樹があって、そこに顔を伏せて「もういいかい」って

サンタマンの小さな森で

「見いつけた」 今度はあなたが「鬼」ね

私は隠れるわ さあ数えて

 

y a un arbre, pigeon vole

dans le petit bois de Saint-Amand

ou tournaient nos rondes folles

pigeon vole, vole, vole au vent

 

1本の樹があって、鳩が飛ぶ

サンタマンの小さな森で

私たちは、夢中になってロンドを踊っていて

鳩は飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ、風に乗って

 

dessus l'arbre l'oiseau vole

et s'envole, voila le printemps

y a nos quinze ans qui s'affolent

dans le petit bois de Saint-Amand

 

樹の上を、鳥が飛び

そして飛び去っていく もう春なのね

私たちの、「狂乱の15歳」が、ここにはある

サンタマンの小さな森に

 

et sous l'arbre, sans paroles,

tu me berces amoureusement

et dans l'herbe, jupon vole,

et s'envolent nos reves d'enfants

 

樹の下で、何も言わず

あなたは、優しく私を包み込んでくれた

草の上をスカートが舞い

私たちの「幼い夢」も飛んで行った

 

mais un beau jour, tete folle

loin du petit bois de Saint-Amand

et loin du temps de l'ecole,

je suis partie, vole, vole au vent

 

けれどある日、浮かれた頭で

サンタマンの小さな森からは遠く離れて

学校生活からも遠く離れて

私は去った 風に、風に吹かれて

 

bonjour l'arbre, mon bel arbre,

je reviens, j'ai le coeur content

sous tes branches, qui se penchent

je retrouve mes reves d'enfant

 

ただいま 私の美しい樹よ

帰って来たわ 満たされた心で

垂れ下がったあなたの枝の下に

私の子どもの頃の夢を見つけたわ

 

y'a un arbre, si je meurs

je veux qu'on m'y couche doucement

qu'il soit ma derniere demeure

dans le petit bois de Saint-Amand

qu'il soit ma derniere demeure

dans le petit bois de Saint-A...

 

1本の樹があって...もし、私が死んだら

そこにそっと横たえてほしい

そここそ、私の「終の住処」

サンタマンの小さな森の中で

そここそ、私の「終の住処」

小さな森の中で...

 

y a un arbre, pigeon vole,

mon coeur vole,

pigeon vole et s'envole,

y a un arbre, pigeon vole...

 

1本の樹があって、鳩が飛ぶ

私の心も飛ぶ

鳩が飛び、飛び去っていく

1本の樹があって、鳩が飛んで...

 

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(daniel-b=フランス専門)