「過去旅」について書いています。

 

昨年連載した、2008年の「第1回目」の「パリ&ブリュッセル」に続く、「第2回目」(2010年)の旅行記です。

以下に、これまでの旅行記の「リスト」のページを貼っておきます。

 

http://ameblo.jp/daniel-b/themeentrylist-10097133133.html

 

6月19日土曜日。前回からの続きです。

 

上に載せた2つの映像は、ジャック・ブレル(1929-78)の1962年の作品で、そのものズバリ、「Bruxelles "ブリュッセル"」という曲です。

 

ブレルは、「私は、ここで、1900年のブリュッセルを描いた。私の子ども時代のブリュッセルでないのは、あまり好きになれなかったし、たいして語ることもないから。はっきり言うと、ブリュッセルでもボルドーでもどこでもよかったんだ」(永瀧達治訳。アナログ盤の「大全集」解説より)と話していました。

 

ブレルの「少年時代」というのは、まさに、当時の「ナチスドイツ」の侵攻が始まった頃で、2003年に「解禁」となった、最晩年(1977年)の作品「mai 40 "1940年5月"」にも、そのことが歌われています(他に、1966年の「mon enfance "子どもの頃"」などにも...)。

 

そういうこともあってか、この「Bruxelles "ブリュッセル"」という作品では、ブリュッセルが、最も「華やか」で、「輝いていた」頃。おじいさんや、おばあさん(祖父母)の「若かりし頃」が描かれているのです。最初の映像は、そのこともあって、選んでみました。また、2番目の動画は「合唱」で、ドイツとの国境に近い、フランスの街、「ヴィサンブール」(ドイツ名「ヴァイセンブルク」)の、「大修道院」での収録だということです(2012年6月)。

 

「ブリュッセル」という作品は、実はもう1つあり、「全詞集 Tout Brel」にも歌詞が掲載されていますが、「1953年以前」の「若書き」であり、「音源」は、存在しないのか、残念ながら見つかっていません。詞を見る限りでは、この頃の他の作品同様に、「抒情的」で、多分に「メランコリック」な印象も受けますが...。

 

とにかく、「ブリュッセル」、そして「ベルギー」と、「切っても切れない」関係とも言えるジャック・ブレル。ブリュッセル市内には、彼の名を冠した、「ユースホステル」もありますし(「評判」は良いようで、ガイドブックにも掲載されています。ブレルと、直接関係はなさそうですが、現在でも、6,000~8,000円程度で予約が出来るようです)、メトロ5号線(ブリュッセルでも、「メトロ」といいます)にも、そのものズバリ、「Jacques Brel(ジャック・ブレル)」という駅があります。残念ながら、まだ行けてはいないのですが、ターミナル駅の1つ、「西駅」の、「隣の駅」となります。「観光客向けの駅」とは、まったく言えないのですが、すぐ近くに、これも「Brel」の名を冠した「車体整備店」がありますし、他に、「大病院(サン=タンヌ・サン=レミ病院)」もあるようです。

 

さて、「前回の続き」です。

 

「グランプラス」に、「突然の雨」をもたらしたこの私は、「王の家(市立博物館)」に続いて、「ビール博物館」にも入館しました。

 

グランプラスの「南のグループ」に属し、「王の家」の正面にある、「市庁舎」のすぐ隣の区画に、この「ビール博物館」があります。あいにく、この館に関する映像は、動画サイトでは見つけることが出来ず、「入場券」らしきものも、手もとにはありません(なかった? 今回、「王の家」と、「ビール博物館」は、「現金払い」です...)。あるのは、オランダ語、フランス語、英語の、「3ヶ国語」で書かれたパンフレットのみです。入場料も、ガイドによってマチマチなので、はっきりとは言えませんが、「ビール1杯込みで6ユーロ」としてあるものが「正しい」かも知れません...。

 

この博物館は「地下」にあり、規模としては、とても「大きい」とは言えない、「小規模」なものです。主に、「スクリーン」による「映像解説」がほとんどだったと思います(「言葉」が分からないと、少し「厳しい」かも...)。

 

この見学が終わると、いよいよ「ビール」となるわけですが、確か、その、「酒場のおやじ(店主)」に「入場料」を払って、「見学が終わったらこちらへ」という感じでしたかね(違っていたらゴメンナサイ...)。何ぶん、「7年も前」の話なので、このあたりは、「記憶」もイマイチです...。

 

ただ、この場所で、「1つだけ」、記憶が「鮮明」な出来事がありました。それが、この「すぐ後」のことです。

 

「ダーク」だったか「アンバー」だったか...。

 

確か、「2種類」のビールから、どちらかを選んでオーダーするのですが、そうすると何と、店主が、直々にグラスに注いで、手渡してくれるのです!!(どちらを選んだかまではちょっと...)

 

そこで、「ベルギーのフランス語 PART2」!!

 

「酒場のおやじ(店主)」が、私に、グラスに注いだビールを差し出してひと言。

 

「s'il vous plait!!(さあ、どうぞ!!)」

 

これで「あれっ?」と思われた方は「鋭い」です。

そう、この「s'il vous plait!(スィル・ヴ・プレ)」って、普通は、こちらから言う、「お願いします」(英語の「please!」)のことですよね。

 

「どうぞ」にも、いろんな表現がありますが、「servez-vous, je vous en prie」などのように、普通は、「je vous en prie(ジュ・ヴ・ザン・プリ)」を使います。

 

この、物を差し出しながら言う、「s'il vous plait!」が、「ベルギーのフランス語」だと言えるのですが、これは、ある意味、「正しい」フランス語でもあります。「s'il vous plait」という言葉は、「決まり文句」として、すでに「定着」していますが、元の意味をたどれば、「あなたのお気に召すのなら良いのですが...」ということですから...。

 

あまりに「威勢よく」言われたので、こちらも言葉を失ってしまいました(こちらは、普通に「merci!」と言えば良いだけのことなんですけどね...)。「ベルギーではこう言う」ということは、あらかじめ、本で読んで知ってはいましたが、実際に言われると、ちょっと「驚いてしまう」ものです...。

 

ちなみに、「オランダ語」では、普通に、「alstublieft!(アルステュブリーフト)」(「s'il vous plait!」と同じ意味です)を、「お願いします」「どうぞ」の両方の意味で使います。ベルギーでの、「どうぞ」の「s'il vous plait」は、もしかすると、この「オランダ語」の用法に影響を受けているのかも知れません...。

 

さて、この後は、いよいよ、「editions Jacques Brel」へと向かうわけですが、ここで、ベルギーの、もう1人の「代表的歌手」、「Johan Verminnen(ヨハン・ヴァーミネン)」(1951-)の代表作、「Brussel」(1976)も紹介しておくことにしましょう。彼は、ブリュッセルの北西の郊外、ウェメル(Wemmel)の出身ですから、「オランダ語の話者、歌手」となります。

 

彼については、次の記事で採り上げていますので、興味のある方は、どうぞ、ご覧ください。

http://ameblo.jp/daniel-b/entry-12160995814.html

 

「グランプラス」を抜け、「小便小僧」のある角を左に曲がり、坂を登って行くと、「ヴィエイユ・アル・オー・ブレ」という、小さな「広場」に出ますが、この一角に、「editions Jacques Brel(ブレル記念館)」があります。ブレルの次女、フランスさん(1951-)が、1981年に立ち上げた財団、「Fondation Jacques Brel」による運営で、ブレルの「作品」、「生き方」を広く知ってもらうための「資料の収集」の他、「がんと闘う人々」や、「入院している子どもたち」への「支援」も行なっています。記念館の規模は、大きな「ミュージアム」ということではなく、「展示(エクスポジション)」だということですが、「ブレルファン」にとっては、まさに「聖地」そのものです。

(Googleマップ「ストリートビュー」を載せてみました...)

 

https://www.google.co.jp/maps/@50.8441318,4.3521495,3a,75y,339.45h,86.4t/data=!3m6!1e1!3m4!1sQ3jLaIA53Worjv_IhuhFfA!2e0!7i13312!8i6656

 

2008年、ブレルの「没後30周年」を機に、「展示替え」が行なわれ、「J'AIME LES BELGE!(私は、ベルギー人が好きだ!)」が、新しいテーマとなりました。同タイトルで発売されたDVDは、当館の監修であり、当館で聴ける、数々の「インタビュー」も、そのまま収録されている、言ってみれば、「音声版図録」そのものです。

 

この2010年に行ったときは、学生(?)の「団体さん」が来館されていた上に、音声も、「オーディオ・ガイド」でしか聴けなくなっていました(「団体さん」がいたからかどうかは分かりませんが、「プチ・リニューアル」は、したみたいです。私は、その「オーディオ・ガイド」を渡されませんでした...)。

 

前回は、「買い物」で失敗し、今回は「見学」で失敗かよ! と、「ツッこみ」たくもなりましたが、「クレーム」を言うのも何なので、そのまま、一通り見て、展示室を出ました。ですが、後でチケットの料金を確認してみたところ、通常の「8ユーロ」ではなく、本来ならば、「外国人」の私には、当然適用されるはずのない、「特別割引料金(学生/シニア/障がい者/団体)」の「5ユーロ」となっていたので、「良心」は感じました。「さすが」ですね...。

 

せっかくなので、この「展示」で聴ける、「超レア」な.作品、「le docteur "ドクター"」(1977年の「未発表作」。「ブリュッセルなまり」による、「モノローグ」2編のうちの1つです)も載せておくことにしましょう。この作品は、現在では、2013年(「没後35周年」)に発売された、最新版の大全集「suivre l'etoie」で聴くことが出来ますが、こちらも、あくまで「限定盤」となっています。

 

 

さて、今回はもう、「買い物」で失敗したくはありません...。

「WANT LIST」も、ちゃんと作って持って行きました...。

 

それでも、「100%」というわけにもいきません。当然、「販売リスト」には載っているものの、すでに「品切れ、販売終了」となったものもいくつかあります。その「代表」が、自作の映画、「Franz "フランツ"」(1971, バルバラとの共演でも話題となりました)と、「le Far-West "西部"」(1973, とにかく「風変わり」な作品で、「失敗作」とも言われますが、「音楽」は好きです。オープニングに、1968年の「最高傑作」、「j'arrive "孤独への道"」が使われている他、ジュリエット・グレコらも「カメオ出演」しています)の「シナリオ」でした...(残っていたら、「超貴重」もいいところだったのに...)。

 

私が購入できたのは、最初に採り上げた、シャンソン、「Bruxelles "ブリュッセル"」(1962)の、直筆の歌詞のコピーがまずひとつ。

ブレルの字は「乱雑」で分かりにくい、という話もありましたが、この字を見る限りでは、「普通」に思えます(「筆記体」には違いないですけどね...)。「修正」や、「書き直し」の跡はありますが、そんなに「見にくいもの」ではありません。

 

次に、ブレルの「切手」(ベルギー郵便の「実物」。「1988年10月22日」の「消印」付きです)が、「台紙付き」となったもので、「1枚」のものは、「フランス語」「オランダ語」の「2種類」あり、「限定各500」のうち、私が手にしたナンバーは、ともに「439」となっていました。

 

「切手2枚」のものは、表紙に、「1枚もの」と同じ、「ベルギー郵便」のものが貼られている他、フランス発行の切手も追加されており、こちらには、「1990年6月16日」の「消印」(フランス)が.押されています。また、こちらは「冊子状」となっていて、中面には、フランス語のみですが、「ブレルについて」と、「ブレル財団について」の記述もあり、その横に、「le moribond "瀕死のひと"」(1961)の、直筆の歌詞のコピーが載っています。裏面には、「財団」の住所も記載されていますが、こちらは、ここへ移転する前の旧住所(かつては、「植物園前」の通りにありました)となっています。

これらの「切手」は、同僚へのおみやげにも買いましたね。

 

他に「絵葉書」も2種類買いましたが、忘れてはならないのが、「ポスター」です。

 

ブレルの「ステージ写真」や「ジャケット写真」。有名な、「3大巨匠の会談」(RTL, 1969年1月8日)の「集合写真」も撮影した写真家、ジャン=ピエール・ルロワール(1931-2010)の作品で、ベルギーとの国境に近い、フランスの都市ルーベ(Roubaix)で行なわれた、「最後のコンサート」(1967年5月16日)からの「3枚の写真」を合わせた「ポスター」。これを、私は購入しました。どの写真も、「映像」で見るような、生き生きとした表情ばかりで、「臨場感」が感じられます(絵葉書の1枚も、同コンサートからの「別ショット」となります)。このポスターは、現在、「額」に入れて、「堂々」と部屋に飾っております...。

 

「あともう1つ」は、前回の初めにも書いた、ブレルの「聖地巡礼マップ(「in the footsteps of Brel in Brussels」...英語)」です。こちらは、けっこう「ディープ」な情報が載っていて、しかも「地図」ですから、「分かりやすく」、まさに、「マニア必携」のアイテムとなっています。これが入手できたのも、また嬉しかったですね...。

 

ここでの会計時刻は、「15時36分」。帰りの「Thalys(タリス)」は、「南駅」を17時37分発ですから、まあ、こんなものでしょう。また、これも「ありがちなこと」ですが、カード・リーダーが少し「不調」で、支払いが「通るかどうか」、ちょっと「不安」だったのですが、あの、「ジョシュア・ジャクソン似?」(米ドラマ「FRINGE」のピーター役)の、「イケメン」のお兄さん(前回の旅行記「その11」参照)ががんばってくれたおかげで、無事「通り」ました。ちょっと胸をなで下ろしました...。

 

「ポスター」や「切手」など、「紙類」の買い物が多かったので、本当に、「突然の雨」には気を揉みましたが、この頃にはすっかり止んでいて、これにも「ひと安心」、といったところでした。

 

先日、この「editions Jacques Brel」からメールが届き、思えば、「10年近く」も続いた、この「J'AIME LES BELGES!」の展示も、来年(2018年)の1月7日土曜日をもって、「終了」となるそうです。来年は、いよいよ、「没後40周年」の記念の年となります。いまだ、行ける目途が立たないのが「残念」ですが、次回の新しい「エクスポジション(展示)」でも、「音声版図録のDVD」が発売されることを期待したいと思っています。

 

大変長くなりました。続きは、また「次回」にしたいと思います。

それではまた...。

 

(daniel-b=フランス専門)

 

 

Suivre L’etoile Suivre L’etoile
 
Amazon