1979年に初演されたロック・オペラ「starmania」は、フランス(&カナダ)の音楽史上に残る「金字塔」的な作品となりました。その「劇中歌」は単独で歌われることもしばしばです。
今回はその「starmania」(1988年のリメイク版。1989年上演)の第2回目。みなさんが、知らずに聴いていたかもしれない「あの曲」も出てきます。

前回は、「アンダーグラウンド・カフェ」のウェイトレス、マリー=ジャンヌが歌うナンバー「la complainte de la serveuse automate "(自動)ウェイトレスの嘆き"」(おおよそ23分ごろ)までを書いてきました。今回はその次の場面からです。

放送局「テレ・キャピタル」の人気番組「スターマニア」。その「人物像」にスポットを当てる、視聴者参加型のインタビュー番組のようですが、そのインタビュアーがクリスタル。テレ・キャピタルの「微笑み」と呼ばれています。(余談ながら、この場面は、当時のヨーロッパのバラエティー番組をうまく再現していると思います。実際の番組もこんな感じです)
今回のゲストは、大実業家であるゼロ・ジャンヴィエ。次期大統領候補です(いま思いましたが、まんまドナルド・トランプ氏です。その考え方も)。
クリスタルは、「成功したい」と願う若者たちへのメッセージを彼にききます。そして、有名で、裕福なビジネスマンとしての道を捨て、大統領選に臨むのはなぜか。彼はこの先どうしたいのかを問います。その答えがこの曲、「le blues du businessman "ビジネスマンのブルース"」です。

仕事でも成功したし、愛も満たされている。オフィスは塔の最上階、人生の半分は飛行機の中。いつも「ファースト・クラス」だ。

次々と自分の「成功」を述べるゼロでしたが、本当は...。

アーティストになりたかった。ロッテルダムやリオの滑走路で、自分が誰なのかを大声で叫べるように。なぜ自分が「存在して」いるのかを言葉にして言えるように...。

マリー=ジャンヌは、自分にはそんなつもりはないけれど、「スターマニア」に出たがっている人だったら知っている、と話します。それが彼、「ジギィ」でした。

ジギィ...、彼の名はジギィ。彼に夢中なの。他の人たちとは違うけれど、彼が好き。そんなの私のせいじゃない。たとえ、彼が私を愛してくれないとわかっていても...。

そう、彼は、「男の方が好き」だったのです...。それでも、彼女にとっては「唯一」の友人でした。

そこへその彼、ジギィが現われます。とても楽しそうに...(この曲「汚染の申し子」は、元々はジョニーのナンバーで、初演版では、この先の「ジョニーへのインタビュー」の場面で歌われました)。

「ジギィ、何やってたの? 待ってたわよ...」

ジギィは、「スターマニア」に出演するために、番組あての手紙を書いていたんだと説明します。そこには、マリー=ジャンヌにも話したことのない、「本当の自分」が書かれていました(ジギィの名は、デヴィッド・ボウイにあこがれて付けたんだとも歌っています)。

俺は、世界一の「ロック・ドラマー(他の版では、ダンサー、歌手など)」になってやる!!

マリー=ジャンヌがジギィにしびれる中、ジョニーとサディアがやってきます。

「次の"スターマニア"はお前じゃない。ジョニーだ!」

サディアは、直接テレ・キャピタル、クリスタルに交渉したのでした。

「そいつは"スクープ"だ! あんたがホントのことを話せばな!!」(ジギィ)

それから3日後...。
クリスタルがやって来たとき、ジョニーが彼女を見たとき...。
それは「運命」でした...。
(彼の心の中に)サディアはもう存在しなかったのでした...。(マリー=ジャンヌ)

ここまでで約42分(開始から)です。以下、次回に続きます。
(daniel-b=フランス専門)