急激な円高→乱高下へ
ルナージアインベストメント株式会社投資インストラクター 大岩川源太
3月11日に発生した東北・関東大地震(東日本巨大地震)では、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被害を受けられた方々の復旧をお祈りいたします。
さて、12日以降も余震が続いていますので更なる被害も予想される中なのですが、金融の世界というのは、こんなときでも投資が重要視されます。生き馬の目を射抜くような投資がなされる剥き出しの社会なのです。
その裏側には大きな資金がうごめいており、運用者が資金を動かすことを躊躇してしまえば、インフラの再整備どころか、今ある産業構造の骨組みを完全に破壊してしまうことも考えられるからです。
そこが理解できていないと、資本主義がただ単なる冷酷な経済哲学に基づくものだという誤解が生じます。
ディーリングの場では家族や親戚の命を失った人や親族と連絡が一切取れない人も多かったに違いません。しかし、彼等は戦っていました。テレビなどマスコミの浪花節的な応援もなければ、同じ会社でも遠い部署にいる同僚や後輩にまで「鬼だ」と軽蔑されながら。
だから、私のような立場の人間が少しでも正確なことを伝えなければならないでしょう。
この度は、地震による被害、津波による被害、さらに、原発やコンビナートなど副産物など、大きな生活インフラに関わる部分に大きな実損があります。
その中で、福島原発の被害対処など専門的な知識がなければ語れないところは私の役目ではないとして、道路や建物などのインフラから触れましょう。誌面も少ないので、即座に答えてしまうと、大規模の大口投資が始まる前に中規模の投資家の円資金が必要になると言うことです。つまり、国内空洞化によりBRICsなどに向いていた資金が東北に回るという構図です。「そんな中規模の投資家が‥‥」と現実味が得られなくても、あなたの回りにも沢山いるんですよ。外国に投資している人が。また、あなたの資金が外国に投資されているかも知れません。その多くは証券会社が勧める「新興国ファンド(投資信託)」であり、外資系などが進める「BRICsファンド(主にブラジル、ロシア、インド、中国などの株に投資する投資信託)」などがそれに該当するのです。まず皆さんは生活防衛のために、中長期投資用と思って購入などしていたそれらの投資信託では、投資信託の運用者であるファンドマネージャーが換金売り(投資家=あなたやあなたの周りにいる人も含む、が、投資信託を売りに出して円貨にする)に対して円を用意するために、外国株や外債を大量に裁き始めています(ファンドを構成している外貨建ての株や債権を売って円にする)。これが地震直後からなんです。
さらに、その動きに加えて道路や橋、ビル、その他諸々の国内設備投資に備えて日本の資金運用者が外国から資金を引き揚げ、円で投資を始めようとします。見えやすいところで言えば、建設機械投資などですね。
正直言って福島県はどうなるかわかりません。しかし、専門家を集め、この地域なら工場が作れる、と計画を立て三陸の被災者などを救助する意味でも産業用地を自治体と一緒に組んで調達し、大きな雇用を行えるかもしれないのです。
日本は港を破壊され、漁に出られなくなった同胞である漁師を放っておくと思いますか? 一部には、高齢のため再就職できないなどの悲惨な姿がテレビ画像に映し出されるかも知れません。しかし、日本は多くの何十万人という能力がある人たちに仕事をさせずに、餓死させるはずがないのです。
外資にしても当然です。新興国は人件費は非常に安いが、能力的な問題が山積で経費がかかるのだとすれば、計算の立つ東北の方がいいという意味で投資資金が向いてくる可能性も大きいでしょう。
これで1=ドル80円の枷があった部分が一挙に外れました。ここからが賭けなのです。つまり、この震災が不況からの脱出口になるなどと言うことはありません。今の先進国の構造的な不況は、そんなことで解決できる問題ではありません。
当面の問題として、資本があつまってきたところに公的資金を効率的に投下できるか、中央政府の問題点もありますが、あれだけ地方禅譲を主張してきた自治体に何が出来るのか、そこから震災後の日本の経済が見え出すでしょう。
しばらく外為市場は乱高下が続くでしょうが、ある程度落ち着いてきたとき、我々は「民主党が悪い」、「自民党じゃやっぱりだめだった」、などというこれまでの延長に縛られていない姿でいたいものです。(2011年3月18日掲載)