※結末に触れています!ご注意ください!
団子太郎も大好きなアキ・カウリスマキ監督
「ル・アーヴルの靴みがき」
を観ました。
北フランスの港町ル・アーヴルで靴みがきをして暮らしている老人マルセル。
彼は外国からやってきた妻アルレッティ(カウリスマキ映画といえばこの人、カティ・オウティネン!)とささやかながらも幸せに暮らしている。
そんな彼が、アフリカからの不法移民イドリッサと出会い、彼を匿うことに。
一方、妻アルレッティは病に倒れ、余命いくばくもないことを医者に知らされる。夫にはそのことを知らせず、すぐ治ると嘘をつくアルレッティ。
マルセルは、イドリッサが母親のいるイギリスに密入国するのを手助けすることを決意する。
カウリスマキ監督といえば、
小市民の暮らしを淡々と描く
作風ですよね。
役者は皆、無表情にさえ思えて、
わざと演技ヘタなように演出してるんじゃないか
と思うほどw
でも、それが不思議な味わいになっている。
音楽も、盛り場の雰囲気とか、食事シーンとかも、
ちょっとダサダサな感じさえする
でも、そこが何ともいいし、憧れる…というかやってみたくなるw
主人公はけっこう過酷な状況に陥ったりもするんですが
淡々と物語は進んでゆく
そして、堕ちてゆく主人公ですが、何かそれでも愛おしいというか、ダメだけどそれもいいんだよ、みたいな。なんか、ある部分では落語の世界みたいな味わいがあります。
さいきんの「敗者三部作」では、ちょっと希望が見出せる終わり方になってきていますが。
この映画でも、食事シーンはやっぱりいい。
近所のパン屋からタダで拝借した(でも店主も咎めたりもせず「後で払うから」「いつも払わないじゃない」とか言いつつ受け入れるw)パンにバターを塗りつけて食べる様子
食前酒として妻がお金をくれ、近所の酒場へ一杯飲みに行く
飲む様子も、
ピクルスをつまみにグラスワインを1杯だけ飲む
お金がないから(?)1杯だけ飲んだあと店主に「もう1杯いる?」と言われれば「いや、もういい」「おごりよ」「では、いただこう」
レストランへ行き「卵1個のオムレツと赤ワイン1杯」をオーダー。店側も「いつものことだ」って感じ。そこへ警察がやってきて、同席し何か高そうなワインを頼む。警察がそのワインを飲んだ瞬間のちょっと満足そうな顔
とか、何か語りたくなるというか、いいんですよね。
ただ、これまでのカウリスマキ映画とちょっと違うな~と思うのは、
出てくる人が何だかんだで皆、いい人
で、
奇跡的ともいえるほどのハッピーエンドで終わる
ということ。
パン屋の女店主、酒場の女店主、八百屋のオヤジ、果ては警察まで含めての皆の協力で、
イドリッサはとりあえずイギリス行きの船に乗れる
し、
アルレッティも奇跡的に病気が治る
し。
昔のカウリスマキ映画だったら、
イドリッサを船で逃す金を稼ぐために開いたロックコンサート(これがまたいい味わい!)の
売上金を持ち逃げされる
とかになってもおかしくなさそうだしw
少なくとも
ここまで登場人物がいい人ばっかりで、文句なしのハッピーエンドで終わる映画はなかった
んじゃないでしょうか?
主人公や主要登場人物が(イドリッサは子供、あと警察は中年だけど)
皆、老人
っていうのも珍しいんじゃないかな~?
ただ、
オープニングで靴をみがいたギャングが直後に撃ち殺されるシーン
と
エンディングで映る満開の桜
に、
はかなさ
のようなものを感じて。
それでも、それだからこそ
今のこの、奇跡的ともいえる幸せを精一杯楽しもう!
ってことかな?と解釈してみたりして。
まぁ満開の桜=儚いっていうのは、日本人的な感覚かな~?
でもカウリスマキ映画は、最高傑作「過去のない男」の劇中音楽でクレイジー・ケン・バンドの「ハワイの夜」を使って、違和感なし、というように日本人の(それも演歌的な?)感覚に妙にマッチするからな~
アキ・カウリスマキ監督の映画は、労働者三部作と敗者三部作、そしてこの映画ぐらいしか観てませんが、
不幸→ちょっと希望→底抜けのハッピー
と、
行きつくところまで行ってしまった
気もしますね~
次がどうなるか、非常に楽しみです!