「こんな人にぼくはなりたい」
モノクロ実写。劇映画。50分。酒井修監督。
(あらすじ)
主人公の次郎が、中学校で宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を朗読する姿から始まる。
次郎は中学校を卒業後に、岩手から東京へ集団就職するのだ。
東京の小さな魚屋に住み込みで働きながら、魚屋一家と交流し成長して行く。
そんなある日、魚屋の近くに大手スーパー出店し、経営は危機に陥る。
一家は経営をあきらめかけるが、実直で懸命な次郎の姿からに感動し、一家で協力して危機を乗り切る。
(感想)
人情モノの娯楽作品として、なかなか楽しめました。
鑑賞後、どこか懐かしい感じがしたので何故なのか考えてみると、これって「がんばれロボコン」とか「怪物くん」と同じストーリー展開なんですね。
「別世界から来た少年が現実世界の平凡な家族と交流し、さまざまな困難を解決しながらお互いに成長する」
今でも「ケロロ軍曹」などで使われているフォーマット(王道、定番)の力強さを改めて確認しました。
それと、この作品はおそらく昭和30年代か、せいぜい昭和40年前半くらいに製作されているのですが、その頃から「大手が出店し、個人商店が崩壊する」という物語が説得力を持っていたのですね。
…いや、これは明治時代に三越呉服店が百貨店を作った時から始まっている、資本主義の構造に根ざした物語なのかもしれません。