やっぱり怖いから、お風呂はやめておいた。浴槽につかることで体内のクスリが急激な変化を起こしたら嫌だし、それに万が一、入浴中に倒れちゃったりしたら、皆に迷惑をかけて、目も当てられないからだ。
心境としてはなにかと複雑なのだけれど、意外と冷静だった私は、静かに布団に横たわった。
(けっこう時間がかかるんだな‥。もっといきなり、くるもんだと思ってたけど‥。)
クスリが効いてくるまでの間、目を閉じ動かずにいると、やがて梨華が帰って来た。
けれど、私がずっと目を瞑ったままだったので、梨華も隣の布団に入って、何も言わずに眠ってしまった。
いろいろ近くで接するうちに、真希ちゃんの強さはすなわち痛覚の無さだと、私は考えるようになった。何度もはがしたかさぶたは、最期には痛みを感じなくなる。
たとえばそういう感じじゃないかと、私は思っていた。
高速で回転する惑星みたいにはずみのつきすぎた自転を、真希ちゃん自身、どうにもできないのかも知れない。と言うか、そういう事自体、真希ちゃんは気付かないんだろう。だからこそ、カリスマなんじゃないだろうか。
しばらくしてそれはやって来た。
ずっと見上げていた天井が、まず、波を打ち出した。
ズンドコズンドコと、なんかウーハーのきつい音楽みたいに、多分、私の鼓動に共鳴して揺れている天井の板の張り合わせの部分を、私はまるで波乗りでもしながらあみだくじをたどるように、面白く眺めていた。
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