「もしキミ」レポ


戦う写植屋のブログ


前から六番目の席だったが、ちょうど客席が階段状になるところで、前の座席が気にならない位置で最高だった。


舞台の方は原作も知らないし、みぃちゃん初舞台ということで期待もせず、予備知識も無いまま舞台を見にいってしまった。


no3bのイベントでも、たかみなや本人のブログでも時折触れていたこの舞台。
昨日は、たかみな・ともちんがゲネプロ(本番さながらの通し稽古)に来て涙していたようだ。




一人の女子高生の死から始まるこのドラマ。


単にありがちな白血病とか事故とかを思い描いた。


しかし、HIVとわかったときの驚きは、同時にAKBが時代を切り取ったアイドルということを改めて実感した。


今では古くなってしまったこのテーマは、今だからこそ若い世代には新たな警鐘と、深い理解が必要なのかもしれない。いや、既に理解されていることが前提のような設定であった。


過去に三回も演じられているということは、その都度新しい感動を人々に与えているに違いない。
そして今回は、ドラマ設定に最も近い世代のAKBのメンバーを起用することで、また新たな息吹を与えたと思う。




さて、ドラマの方は幼馴染の優基と麻樹が付き合い始めたところから始まる。


劇中では「Q10」「野菜シスターズ」などのパロディが随所に散りばめられ、笑いとともに進行する。客席後方まで使って演技する二人。僕の直ぐ脇をみぃちやんが通り過ぎることが四回くらいあっただろうか。



ある日水族館でデートする二人。


ここで二人ははぐれてしまうが、そこには終盤で涙を誘うフロックが隠されている。


そして、倒れてしまう麻樹。

HIVだと告白され戸惑う優基。



発症するまで高校生活を充実して生きる二人に、やがて時は残酷な現実を突きつける。


ここで場内の雰囲気は一変する。



リーディングドラマという新しい試みが、朗読劇という枠を超えてこんなスタイルになるとは想像すらしていなかった。


演出も素晴らしかった。


例えば、涙を今誘ったばかりなのに、効果音や音楽で観客の気持ちをはぐらかす。

これはいやらしい意味では無く、返ってそのあと繰り返される涙の演出をより深いものにする。



実際、隣の席の若者は嗚咽に近い声を出して泣いていた。


僕も声は出さなかったが、涙は溢れていた。
途中タオルを出して拭ったほどだ。
誰もいなければ、号泣していただろう。


そして、初舞台のみぃちやんが、こんなにも落ち着いていて表情豊かに演ずるとも思わなかった。


淡々と朗読したかと思えば、余命幾ばくの少女を演じた。
少し太り気味な健康そうな体からは、想像が出来ないような掠れた声を出し、本当に体が小さくなったかと感じた。


原作は凛の代表作「もしもキミが。」。
そして「今でもキミを。」「これからもキミも。」と続編がある。


オリジナルの演出は堤幸彦。「フラゲ」のPV監督だ。


そして舞台演出は葛木英という女性監督。忽那汐里が初主演した「七万人探偵ニトベ」の脚本を担当していたそうだ。このドラマ、欠かさず見たのでよく覚えている。最近の忽那は、毛利蘭を演じている。


つい先日も書いたが、芝居や映画は監督のものだ。演者は演出のまま演技する。
みぃちゃんの新しい才能を引き出してくれたこの監督に感謝したい。




言葉足らずの自分がこの舞台を語ってはいけないような気がしてこれで筆を置く。


最後に、冒頭と最尾に二人で語るこの言葉を記したい。


例えば、優ちゃんが笑顔になる。それならわたしも笑顔になる。

例えば、麻樹が元気じゃなくなる。それなら僕は元気を出させる。

例えば、優ちゃんが幸せになる。それならわたしも幸せなんだ。

僕たちふたりの生き方は繋がっていることに今さら気づいたんだ。