「なによりそれを見られたくなかったんだ‥。まあね‥、どうもありがとう‥。」
真希ちゃんはモゴモゴ呟き、そのとてもシャイな仕種に私もちょっと吹き出してしまった。
「ねえ、どうして表紙の色、こんなに派手なの?教典なのに‥、いいの?」
少し気の毒になってそう話をそらすと、
「あたしの襲名記念だから‥。好きな色にさせてもらった‥。」
両腕の陰から真希ちゃんは上目づかいで、そして耳が少し、赤いの。
そんな真希ちゃんを尻目にひとりページをめくったり、また前後したりして、ずいぶん気ままだったひとみちゃんはやがて、
「おッ!!」
って叫んで、視線を固定させました。新たな標的を発見したみたいで、隅に載っている中くらいの写真を指差し、恐る恐る口を開きます。
「コレって‥、保田さんでしょ‥?もしかして。」
真希ちゃんは顔を上げて、指の先を覗き込んだ。
「ん、そうそう。」
さっきまでの動揺はどこかに消えてしまったみたい。確かめるように2、3度、懐かしそうに頷いています。
「そっか、本当にG教だったんだね‥、保田さん。」
「そ。努力家でさ‥。偉かったんだよ。チカラあったし。」
感心する私達に、真希ちゃんは言いました。目を細めて、とても穏やかな表情。うってかわって急に大人っぽくなった真希ちゃんの笑顔を見たら、私はなんとなく、父と母と3人で暮らしていた日々の事を思い出したりしました。
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