最上階の広大な部屋のとなりは、意外なことに、まるで新築のマンションのようなスペースが設けてありました。壁紙の部屋を出て、ピカピカの木の廊下を歩くと、ベージュに塗られた鉄の扉が。真希ちゃんについて中に入ると、また別な素材の廊下が伸びて、奥には、洋風と和風を足して割ったような居間。そしてきれいなキッチン。
「へえー‥。」
と驚いて、私達が感心していたら、
「へへ。いいでしょ。」
と、真希ちゃんは楽しそうに笑いました。
「頼んで作ってもらったんだ。自分で料理つくって、よくココで食べるよ。私。ま、メンドクサイ時は下の人に作ってもらうけど。でもたいがいココに運んでもらうなー。あいぼんがいる時は一緒に食べるし、いない時はひとりで食べる。落ち着くのよ~。」


置いてあるインテリアの類い、その全てがとても高価であると私はすぐに気付きました。真希ちゃんの為に用意されたスペース。ある程度は予想できたはずなのに、それはあまりにも豪華で、嫌味なく上品で。
何気なく壁にかけられた絵も、空間を仕切る柱も、出された座布団と湯呑み、全てがそう、完璧で本物。その完全な、主張し過ぎない調和。


けれど、これら最高峰の調和の中において、最も高級で、最も完成された存在は、真希ちゃん自身でした。腕に注射痕がいくつもある事に、私だって気付いてた筈なのに、私はそう直感しました。
真希ちゃんこそが、王女。


王女がそうめんを茹でてるんだわ。



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