あるいはある程度どこからか監視されていたのかも知れないが、私と梨華はほぼ自由に施設内を動くことができた。もちろん特別に施錠された部屋もあるから、完全にフリーというわけではないけれども。
しかし私達はそれら教団の秘密のようなものに全く関心がなかったし、且つ敢えて距離を置いた。
大量の少年少女を末端の信者として有し、そして真希ちゃんを最高位に据えた集団だとしても、やはり好んで踏み入れたくはなかった。
真希ちゃんと加護は朝から不在だった。私達は朝食後、あてがわれた和室でしばらく過ごしたが、やがて昼間の和室がもつ独特の閉息感に耐えきれなくなり、携帯を持って階段を上った。昨晩感じた通り、最上階はパノラマ壁紙の部屋でほとんどの面積が閉められていた。
広大な部屋に2人きりは確かに心細かったけれど、思えばこの二日間、私達は開放に飢えていた。サッシに寄って日射しを浴びると、少し生き返った気がした。
平行四辺形に切り取られた日光が、広さにしておよそたたみ3畳半くらい。2人して寝そべってなお高い空を見つめると、輝きのなかで私は全てを忘れそうになった。
私達は何も言わずしばらくそうしていた。やがて梨華は起き上がって光の帯から外れた。
「ダメ、焼けちゃう。」
そう言って立ち上がった梨華は、日陰でまた大の字になった。
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