私達の質問にじつに淡々と答えた女性は、私達が食事を取る間に、どこかへ消えてしまった。

そして誰もいなくなった静まり返った食堂で、おいしく食事をいただいたが、食後、どこへ食器をさげてよいのかわからなかったので、テーブルの上をそのままにして出ていったら、約30分後には、それらがきれいに片付いていた。

トイレに行こうと再び食堂の前を通り過ぎ、そのピカピカに磨きあげられたテーブルを私は見たわけだが、なんだか、とても恐縮した。

食べた食器は自分で、といった習慣がしばらくの2人暮しでは当然だったからだ。


けれども、そもそも真希ちゃんと加護以外の信者と遭遇すること自体、朝の通例を除けば私達には稀で、建物内は常に、ちょっと神経質なくらい綺麗に掃除されていて、確実に、それも大人数の気配があるのに、どの部屋あるいはどの通路も、私と梨華が存在するかぎり、全くがらんとしていた。


これら顔のない群集といい、私達が毎朝早く起きようが遅く起きようがまるで監視でもしているように絶妙のタイミングでふすまを開ける日替わりの女性信者達といい、メディアでの報道のされ方や教祖自身のパブリックイメージに反して、随分規律だった組織のようだと私は思ったけれども、同時にこれまでの人生で全く馴染みのなかったカルトという特殊な集団を、改めて意識せずにはいられなかった。


そして他でもない後藤真希こそがこの集団の教祖だということも。


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