しばらくして梨華も起きたが、勝手の知らない場所で私達は、とりあえず何をして良いかわからなかった。障子を閉めた私は再び布団の上へと移動し、昨夜用意されてあった木綿のパジャマを着たまま、梨華と2人何をするでもなく、手持ち無沙汰にしていた。
すると、突然ドアがノックされて、こちら側のふすまが開いた。
「朝食の用意ができています。それともシャワーを、お使いになりますか。」
突如として出現した中年のふくよかな女性は白い上下を着ていた。その生地のガサガサとした具合が、なんとなく医者の術衣を連想させた。
ああここは、真希ちゃんと加護以外にも人がすんでいるんだな‥。と、私が妙に納得していると、梨華が遠慮がちに口を開く。
「あの‥。」
敷き居の向こうに座ったまま女性は静かに頷いた。
「お風呂は、昨日いただいたので、今は、けっこうです‥。でもちょっと、身だしなみを整えたいので、できればドライヤーなんかを‥、お借り出来ないでしょうか‥。」
「では先に、洗面所のほうへご案内します。」
中年の女性はいかにも善良らしく、前歯を見せず微笑んだ。
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