鉄筋コンクリートでできた巨大かつ高層なる建築物の中に、なかばむりやり和の空間をしつらえようとする時、有機と無機が混ざり合って部屋は特有の化学臭をもつ。
「ここに居ていいよ?」
と、ひとなつこく後藤真希が言って、直後加護亜依により通されたのは、同じ建物の階下にある、そういったこぎれいな和室だった。広くはないが狭くもない。きれいな畳と新しい床の間。私達が入った時、既にやわらかそうな布団が2組、きちんと揃って敷かれていた。
翌朝、慣れない布団の清潔な違和感に薄く目を開くと、梨華はまだ隣の布団で健やかな寝息を立てていた。午前特有の硬い日ざしが窓の障子を通過して、青い透明なシートになって、私達を静粛に包んでいる。
(ここは‥、)
くだんの人工的な匂いのせいか。正体のわからない昂揚を覚えて、私はとりあえず身を起こした。
(そうだ、G教だ‥。ああ、G教なのかな、ココ。それとも、真希ちゃん個人の家かしら。)
衝動的に立ち上がって、理由もないまま障子をあけると、腐った湾と埋め立て地が、眼下に清々しく広がった。
「う‥、ん。」
と、背後で小さく呻いたのは、物憂げに眉をひそめた梨華。差し込む太陽を嫌がって、たった今ひそかに寝返りをうった。いまさらこんなの随分見慣れていたけれどいかんせん環境が新鮮だったので、私は普段よりもときめいてしまった。
これから何が起こるんだろうか。
真希ちゃんと仲良くなれるかな。
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