シアター 第4部 第1節


最寄りのコンビニに於いてつい最近発売されるようになったこのヨーグルトは、とある牧場より直送とラベルにあり、初め、ピンクの小花柄といった愛らしいパッケージに思わず手を伸ばした梨華は一口食べ、思いのほかまろやかなその口当たりにすっかり夢中になってしまった。


今朝方、バイトが終わった後にコンビニまで彼女がわざわざ買いに行ったくだんのヨーグルトといくつかの調理パンを数時間後、昼過ぎに目覚めた私達は食べ、バイトまでの空いた時間をソファでだらだらと過ごすうちに私はまたもや眠くなった。


夢見が悪いから、あまり深く眠れないせいだ。
つけ放したTVの音が、ああまるで、子守唄のよう。‥。


居眠りから目覚めると梨華が覗き込んでいた。
「確かに気になるケドね。でも、そこまで夢に見る程?」
と、いうことはまた、私はうなされていた。ほんの少し微睡んだ、
こんな短い時間のあいだに。


数十分前、共に座っていた梨華の肩に凭れ掛かるようにして、うとうと眠りに落ちた私だけれども、目を開けた今、いつの間にか頭部を、彼女の膝の上に預け、両足を伸ばし横たわっている。
あ。膝枕されてる‥、やさしい‥。
嬉しさの為に少しだけ甘えたくもなったが、それをダイレクトに悟られるのは妙に恥ずかしい事とその時思い、私は敢えて眉を顰めた。


「自分でもわからない。どうしてこうまで、うなされるのか。でも可動式のホクロと、‥あの痣ッ!もう気になって気になって‥。」
とみこ、しっかり!私は心の中で自分を叱咤し、頭を左右に振った。更に気合いを入れるように、ピチャピチャと顔を両手で叩いた。


膝の上でおおいに暴れる私を梨華は目を丸くして、声を上げて笑うのだった。
「私達だって姉妹なんだから、別にいいじゃない。今さら身内が何人増えようと。関係ないんじゃなかったの?」
「うーむ‥。」
私は口籠った。納得して良いものか。


と、その時。時報とともに切り替わったTV画面に、一人の少女が映し出された。複数から同時に向けられるマイクと夥しいシャッターの罵声。
まるで乱国の兵のように一斉に押し寄せる記者達の中を、ほんの数名のスタッフに守られ、彼女は無言で進んで行く。たった今降りた灰色のヴァンから十数メートル歩いた彼女の、最後の数歩は駆け出すように、白く、目深に被った帽子は建物の奥へと消えて行った。


梨華の膝に頭をのせたまま、私はその映像をいまいましい思いで見つめていた。普段なら特に、ワイドショー等には興味のない私だけれど。


‥なぜならそれが真希ちゃんだからだ。彼女は今、叩かれている。


直後、しらじらしい程明るい曲が番組のタイトルとともに流れ、挨拶を終えた司会者が端から順に出演者を、ひとりひとり紹介してゆく。
一番隅に座った自称芸能評論家は、他の2人のゲストと比べて倍に近い時間を取り、熱く、不愉快な程且舌良く喋った。
                                    Part2へ