あーあ。
そう言って再び振り返った保田さんの、先程までの凄まじい勢いはその表情から消え、妙に達観したような、言い換えれば醒めた視線に戻っていた。
「ま、そうよね。アナタ達未成年ですものね。そりゃお金ないわよ。だいたいこんな高いモン、私だって売ってるけど買えないわよ!」
「あーあー、もー仕事変わろっかなー。やーだーなー。」
手足をブラブラさせる保田さん。私が言った言葉は、すごく不用心だった気がする。
話が上手い具合に進んだから良かったようなものの、これからは控えるべきだ。
今回は保田さんが相手で良かったが、以後言わないように気をつけたい。
「お金なら、まあ、あるんですけど‥。」
「ナニ?」
保田さんの目は光った。
「お金があるんだったら、買えるじゃないよアンタ達!」
「でもやっぱり免許‥。教習所だって行けないし。」
「ばーかーねー!ナニいってんの?免許くらい、このアタシがなんとかするわよ!
ああこりゃ初めて売れるわ。危ない橋だって渡れる気がする!」
しごく興奮ぎみの保田さん。私達は信用しなかった。そんな事普通できないし、普通しないでしょう?
「ま、見てなさい。」
保田さんはケースを閉じ、念入りに確認する。
「書類関係をクリアすれば、買ってくれるのね!?サァ、買うんでしょッ!?」
「ええ‥まあ。」
絶対むり。
「OK。じゃあごきげんよう!近いウチにまた来るから!」
帰り支度に余念のない保田さんの隙をうかがい、私と梨華は顔を見合った。
「できるわけないじゃん。」
「ねー。」