七合目の決断・・・857 | GO風呂

七合目の決断・・・857


日本一の頂きに立ち、何を思うのだろうか・・・?


そこから見る御来光に、何を願うのだろうか・・・?


それを目指す人のほとんどが、思い描く「富士登山」への憧れ・・・


かくゆう、僕もその一人であった。



日本の誇るその山の頂きに


いつかは登りたいと思ってはいたが、


この頃、やたらと知人から


「富士登山」の話を聞く機会があり、


更に、「誕生日に御来光が見たい」と言う


同行者の願いがキッカケとなった。



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経験や知識は無かったが、


知人の体験談から


天候、体力、高山病・・・


様々な理由で、登頂を成し遂げる事は、


予想以上に大変だと聞いていた。


・・・が、


何とかなるだろうと、妙な自信を持ち、


途中で断念する事など、考えてもいなかった。



炎天下でも無く、雨でも無く、


登山するには程良い気候のなか、5合目を出発。


高山病を避けるため、


ペースと呼吸に注意を払いながらも、


快適な登山を味わっていた。



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・・・だが、


8合目に向う途中、


事態は急変・・・


同行者の足の不調で、


登頂が不可能になった。



・・・そして、


この予期せぬ出来ごとに


僕自身、無念のリタイアを決断せざるを得ず、


止むなく、7合目にある宿へ引き返す事となる。



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山小屋「七合目トモエ館」は、


そんな我々を、励ます訳でもなく、労る訳でもなく


何事も無かったかの様に迎え入れ、対応してくれた。


それが返って心地良かった。


宿の前の長椅子は、登山者たちの


格好の休み処となる。


その光景を見ているだけでも楽しかった。


夕食のカレーも、夜食に食べたラーメンも、


夜明けのコーヒーも、素朴で美味しかった。



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登る辛さは無かった。


・・・だから余計、諦める事が辛かった。


以外にも、快適なベットの中で、


夢うつつに、様々な考えが浮かんでは消える・・・。


それを目指す殆どが、叶えられる登頂に対し、


リタイアするものは一割に満たないだろう・・・


・・・だが、


考えてみれば、一割になる事の方が、


辛く難しい・・・。


・・・そして、


その「諦める決断」をした事で得た、


山小屋での優しい時間と、貴重な体験。


「これも悪くない・・・むしろ楽しいではないか・・・」



・・・宿の主人が言った、


「頂上でも、七合目でも、御来光は同じように綺麗だよ・・・」


・・・太陽は平等に登る・・・


大切なのは、何処で迎えるかではなく、


どういう思いで迎えるのか・・・?



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コーヒーを片手に、


宿の前の一番眺めの良い所に立つ・・・


前日の決断を称えるかのように、


見事な御来光が、


新しい朝を照らし始めた。



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