9.仰げば尊し
シーン1>
その店は、公園の敷地の片隅に沿うように、ひっそりと立っている。
いつもは横目で見ながら通り過ぎるが、
今日はウォーキングのコースを変えたため、偶然にその店の正面に出た。
ビニールで覆われたような怪しげな佇まい。
薄暗いカウンターを抜けると、
天井からの光のせいで、ひと際明るい不思議な空間が広がる。
形も色も違うチグハグな、寄せ集めたようなテーブルと椅子。
ノスタルジックなポスターや小物。
夢の続きを見ているようで、なんとも非日常的なのだけれど、
妙に落ち着き、居心地が良い。
ブランチを食べながら、ついニヤリとしてしまう。
み~つけた、秘密の隠れ家!
自宅の書斎を思わせる・・・ ホットサンドと目玉焼きが合体?!
シーン2>
今日は恵比寿にあるジャグリング教室の最後の日。
諸事情で、建物自体がなくなってしまうらしい・・・
少し早く着いた、ガランとした教室。
窓からまだ一分咲きの桜の木が見える。
たかが一年・・・。
されど一年・・・。
仰げば尊し。


