今回は介護療養型医療施設のメリットデメリットをお伝えするつもりでしたが、廃止される介護療養型医療施設の現状をお知らせすることにしました。

 

介護療養型医療施設とは、「療養病床」と「老人性認知症疾患療養病棟」があり長期の介護・医療のケアを必要とする方のための介護保険施設です。

「療養病床」は、主に療養上の医療を必要とする方のための施設。病状が安定期にあり、長期間にわたる療養や介護を行いながら、リハビリを続けており、特養や老健よりも寝たきりなどの介護度の高い人が多く利用しています。

 

「老人性認知症疾患療養病棟」は、認知症の症状を持つ方の精神的・身体的の療養を目的にした施設。グループホームとは異なり医療的なケアを必要とする認知症患者のための施設となっています。

 

介護療養型医療施設の医療体制・医師の役割は?

常時医療ケアが必要な方にも安心の体制

 

療養上必要とされる日常的な医療ケアの提供は、介護保険で給付される介護療養型医療施設ですが、利用者の多くが重介護であり、カテーテルや胃ろうなど常時医療管理が必要な方を対象としている施設であるため、医師の持つ役割は非常に大きなものとなっています。

介護療養型医療施設は、急性期ではないものの、医療処置の必要な入居者に対して適切な医療・看護ケアを行っているため、糖尿病などの慢性的な病気の方や認知症などによって徘徊症状のある方も入居ができるが、大きく他の介護保険サービスを提供する施設とは異なります。

医師が常駐しているだけでなく、多くの介護療養型医療施設が病院内に併設されていることからも分かる通り、家族や利用者本人にとっては安心できる環境です。

 

医師の役割は適切な療養管理指導と相談・助言業務

 

厚生労働省が発表する「介護サービス施設・事業所調査」の、2010年10月時点での介護療養型医療施設入所者の平均要介護度は4.36という数字からも分かる通り、比較的介護度の高い利用者が多い施設であることから、介護療養が大量施設に入所した人の多くが何らかの医療ケアを必要としています。

施設に配置されている医師は日常の医療ケアがきちんと行われているかを管理・指導するとともに、投薬や注射、検査、エックス線診断などの画像診断もその仕事のひとつです。医師による医療サービスであっても、手術や放射線治療などの医療行為を除いては、こうした医療サービスは介護保険で給付されることとなっている点が通常の病院とは大きく異なります。

 

療養病床への入所者は平均在所期間が1.3年となっており、特別養護老人ホームよりも短いものの、4割の入所者の退所理由が「死亡」によるものとなっています。

利用者の退所の3分の1が「医療機関」、4割が「死亡」であることからも分かる通り、介護療養型医療施設の医師にとって、入所者の看取りや容態が悪化した場合のスムーズな医療機関への移動をサポートすることは大切な役割です。

 

特に、看取りケアという観点からは療養病床の持つ役割はとても大きく高齢者の終末期を担う場所として適切なターミナルケアが行われるよう、医師が中心となり看護・介護スタッフ更には家族と話し合い、穏やかに最期の時を迎えられるようなケアをどう行っていくのかは大切なことです。

こうした施設も、国による「施設から在宅へ」という介護の流れを受けて一旦は廃止の方向で決まっていたために、ここ数年は新規開設の動きはなく減少傾向です。

介護療養型医療施設は実態として医療・看護ケアを必要としない入所者も多く、2018年3月末で廃止することが決まっています。廃止後は医療保険型の療養病床もしくは老健のなかでも医療ケアの充実した「新型老健」へ移ることが必要となりますから、今後はこうした廃止後のスムーズな移動を行うためのサポートも医師の担う大切な役割となってくるでしょう。

 

とはいえ、施設自体の運営が終了しているわけでは決してなく、入居が必要という判断のもとでは療養病床への入居も可能です。そのあたりの判断は、主治医やケアマネージャーとしっかり吟味してください。

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