自作小説「あの夏の日の向日葵」 -3ページ目

自作小説「あの夏の日の向日葵」

この物語はフィクションです。
が、自分自身の願望があるような気がします。
あの日、あの時に戻れたら・・・。
そんな思いは誰にでもあると思います。
その思いも胸にしつつ読んでもらえたらなぁと思います
^^

 次の日の朝、彩は出勤の為車で病院へと向かっていた。
― なぜ私は彼の夢に入ったのだろう・・・。
彩は昨夜の自分の行動に、いくら考えても理由が見当たらず、
自問自答を繰り返していた。
自分の使命に対しても、少しずつ疑問と嫌悪感が膨らんでい
く。
そして何よりも、使命を果たす事を第一としながらも、心のどこ
かで圭介が記憶の封印を解く事を望んでいる自分がいた。
― 自分の事よりも相手の事を考えてる私は、彼の言う人を好
きになるという事にあてはまっている・・・。という事は、私は彼
が好きって事なの・・・?
そんな馬鹿なといくら自分でかき消しても、その想いが湧いてく
る。
彩は自分の気持ちに気付き始めていた。
それを認める訳ではないが、否定もできなくなっていた。
それは、今病院に向かっているこの時も、彼に会うのが楽しみ
な気持ちになっている彼女自身が証明している。
しかし、圭介が記憶を取り戻すという事は、彩には何かしらの
呪いが降りかかるという事・・・。
何があるのかは判らないが、彩はその現実を受け止める覚悟
はまだ出来ていなかったようで、自分の圭介を想う気持ちを、
完全には受け入れられていなかったのだ。
どうすればいいのか・・・。
初めての感情だけに、彩には何も答えが出せないまま、車は病
院に到着した。





場所は変わって圭介の病室・・・。
昨夜の夢の事など全く覚えていない圭介は、いつも通りに目覚
めて、いつも通りに朝食を食べていた。
「おはよう圭介君。」
「おはよう彩さん。あれ?どうかしたの?顔が何か赤いよ?」
「え?」
鏡で自分の顔を見た彩は、確かに自分の顔が赤くなっている事
に気付いて驚いた。
しかしそれを悟られまいと、必死に取り繕う。
「何でもないわwちょっと風邪気味なのよ。」
「看護婦さんが風邪ひいてたらダメじゃんw気をつけなきゃw」
「そ・そうねwとりあえずお薬飲んでくるわね。じゃあまた。」
そう言って彩は病室を出て行った。
「今日は血圧と体温はいいのかな・・・?」
後に残された圭介は、何がなにやら解らないままポカンと病室
のドアを見つめていた・・・。