「ポリネシアの歌」
「「ドゥ ザ フラ 」: 日本語で歌うための拍についての考察」
「ドゥ ザ フラ (Do the Hula) : 訂正版 (10/15)」
「ドゥ ザ フラ (Do the Hula) の日本語歌詞」
「ドゥ ザ フラ (Do the Hula)(2/12 版)」
【はじめに】
ポリネシアの歌に対して日本語歌詞をつけるのも、動画の歌に合わせて字幕を目で追って、良い感じで意味が取れるところ迄で良いのであれば、簡単ではないとは言え、極端に難しいことではありません。しかし、実際に歌ってみると日本語としてのリズムにそぐわなかったり、ハンドモーションとズレてしまったりします。それで、歌うのであれば、日本語としての正しさをある程度犠牲にする所が出ます。それでも、静かな曲であれば、辻褄を合わせることはできましょうが、アップ テンポで、発声のリズムが意図的に動かされているような歌、つまり、「ドゥ ザ フラ」の場合、原曲を歌うことさえ難しいのに加えて、踊りと矛盾しないように、かつ、原曲のリズムと齟齬が生じないようにするのは、難しいです。ですから、この曲の日本語歌詞は、リズム感覚の鋭い方なら少々手直しして歌えるでしょう、という程度で止めていました。それでも、テンポに合わせて目で追う字幕としてみるのであれば問題はありません。しかし、後ほど改めてご説明するように、「日本語で歌うポリネシアン」を進めるのであれば、最低要求水準は「この素人カメラマンが声を出して歌える」という所になります。それで、表題の歌を歌うために、原曲「 Do the Hula 」のリズムから調べ、それに合わせて今までの日本語歌詞を調整してみました。以下は、その記録です。
【「 Do the Hula 」のリズム解析】
ここで考えるのは、導入部と終結部とを省き、更に繰り返しを省いた以下の部分です。議論の都合上、行番号で参照します。
01 Do the hula if there's anything you'd like to say
02 It's the only way
03 You'll find that a trip around the island is fun
04 when you`ve once begun
05 Tell of the moon above so high
06 The humuhumunukunuku go swimming by
07 Talk about the boys all hurrying back
08 To the little brown gal in the little grass shack
09 Do the hula if you`d like to whisper I love you
10 It's the thing to do
11 Picking flowers gets them everytime
12 In a tropic clime
13 When you walk on the silvery sands
14 You'll never have to talk simply use your hands
15 Do the hula Go into your dance
歌詞データベース HUAPALAに出ている形としては、「01-04」が第一節、「05-08」が第二節、「09-12」が第三節、「13-14」 が第四節となります。ただし、記号「a-b」は「 a行目から b行目」という意味で使わせていただきます。
しかし、歌の流れから考えると、以下のように解釈できます。以下で解析するように、この区切りは歌のリズムも示唆しているように思います。
01 ~ 04 フラを始めれば、島が楽しくなる
05 ~ 10 島が伝えて来るように愛を囁くなら、やることはフラです
09 ~ 15 何時でもフラ、それが貴方のダンス
この曲では、導入部が終わったところからドラムが拍を刻み始めます。このドラムの打ち込みを「❍」で表せば、拍と歌詞の関係は以下のようになります。
❍ ❍ ❍ ❍ ❍ ❍
01 Do the hula if there's anything you'd like to say
❍ ❍ ❍
02 It's the only way
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
03 You'll find that a trip around the island is fun
❍ ❍ ❍
04 when you`ve once begun
❍ ❍ ❍ ❍
05 Tell of the moon above so high
❍ ❍ ❍ ❍
06 The humuhumu-nukunuku go swimming by
❍ ❍ ❍ ❍
07 Talk about the boys all hurrying back
❍ ❍ ❍ ❍
08 To the little brown gal in the little grass shack
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
09 Do the hula if you`d like to whisper I love you
❍ ❍ ❍
10 It's the thing to do
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
11 Picking flowers gets them every--time
❍ ❍ ❍
12 In a tropic clime
❍ ❍ ❍ ❍
13 When you walk on the silvery sands
❍ ❍ ❍ ❍
14 You'll never have to talk simply use your hands
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
15 Do the hula Go into your dance
拍「❍」をみると、タイミング的に近い行同士「07-08」, 「08-09」, 「14-15」と、空の拍に挟まれたタイミング的に孤立した行「02」, 「04」, 「10」が分かります。「07-08」の近さは 8行目の歌詞の都合ですので、これを除けば、「08-09」と「14-15」の二つのところで密接な関係にあることが分かります。
・・・
08 To the little brown gal in the little grass shack
09 Do the hula if you`d like to whisper I love you
「魚たちは小さな草葺小屋の茶色の可愛い娘と所へ急いでいる男の子たちの様だよ。
だからフラしよう、もし愛してるって囁きたいなら。」
・・・
14 You'll never have to talk simply use your hands
15 Do the hula Go into your dance
「銀色の砂の上を歩いている時、(大変だから) 声を出す必要はないよ。手を使えば良いよ。だからフラしよう。さあ、貴方のダンスを。」
どちらも、上の行迄の内容を受けて「だから、フラをしよう (do the hula)」という意味になります。他方で、孤立した行は
02 It's the only way 「それしか無いよ」
04 when you`ve once begun 「一度始めてしまえばね」
10 It's the thing to do 「それがやることだよ」
どちらかと言えば、結論的な主張です。以上から、意味の上では
01 ~ 04 フラを始めれば、島が楽しくなる
05 ~ 10 島が伝えるように愛を囁くなら、やることはフラです
09 ~ 15 何時でもフラ、それが貴方のダンス
の様に、一部重なった分け方になります。ここでの最後の行「15」が先に述べた孤立した形となっていませんが、この行の後は長い空白になりますから、当然結論です。
以上から分かるように、この歌は詩の形の上の行ブループと、意味から見た行グループが微妙に違って重なり合った、結構複雑な構成をしていて歌いにくいです。それは変則的な拍位置の移動にも表われています。日本語歌詞には、いろんな条件がかけられて自由度があまりないので、拍による行の間の関係の表現は利用できると期待しました。
【リズムに基づいた日本語歌詞の考察】
ここでは、「ドゥ ザ フラ (Do the Hula) : 訂正版」(10/18) の【日本語歌詞の案】のところから抜き出した主要部を出発点とします。これらは、少なくとも目で追ったときには、原語の歌と拍が合うように作ってあります。
01 フラしよう、何か 言いたい なら ね
02 それ だけよ
03 分かるわ、島 巡りは 楽しいって こと
04 踊り 始めたら
05 お月さんは 上に そう高く
06 フムフム ヌクヌク 泳ぎ 行き
07 まるで 男の子たち 急ぎ 戻る
08 そう 茶色の 可愛い娘(かわいこ) 小さな草小屋へ
09 フラしよう、 貴方 囁くなら 愛してる って
10 それが やること
11 花は 摘むほど 花が 咲く いつも ね
12 そんな トロピカルな とこ
13 銀色の 砂浜を 歩く とき
14 言葉は いらない ただ 手を 使う
15 フラしよう、さあ 貴方の ダンス
最初の「1-4」を考えてみましょう。原語のリズムは以下のとおりです。
❍ ❍ ❍ ❍ ❍ ❍
01 Do the hula if there's anything you'd like to say
❍ ❍ ❍
02 It's the only way
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
03 You'll find that a trip around the island is fun
❍ ❍ ❍
04 when you`ve once begun
これに対して、日本語歌詞案は以下のとおりです。
01 フラしよう、何か 言いたい なら ね
02 それ だけよ
03 分かるわ、島 巡りは 楽しいって こと
04 踊り 始めたら
この部分日本語歌詞には発声上問題が出そうな所はありませんから、以下のように簡単に拍との対応が書けます。
❍ ❍ ❍ ❍ ❍ ❍
01 フラ しよう、 何か 言いたい なら ね
❍ ❍ ❍
02 それ だけよ
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
03 分かるわ、 島 巡りが 楽しいっ てさ
❍ ❍ ❍
04 踊り 始めたら
ここで、三行目では、「巡りは」を「巡りが」、「て こと」を「 てさ」に変え、「分かるわ」と言っているのが、「分かって来ますよ」という意味であることを表すようにしました。
次に、「05-10」を考えてみましょう。原歌詞は以下のとおりです。
❍ ❍ ❍ ❍
05 Tell of the moon above so high
❍ ❍ ❍ ❍
06 The humuhumu-nukunuku go swimming by
❍ ❍ ❍ ❍
07 Talk about the boys all hurrying back
❍ ❍ ❍ ❍
08 To the little brown gal in the little grass shack
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
09 Do the hula if you`d like to whisper I love you
❍ ❍ ❍
10 It's the thing to do
これに対して、日本語歌詞案は以下のとおりです。
05 お月さんは 上に そう高く
06 フムフム ヌクヌク 泳ぎ 行き
07 まるで 男の子たち 急ぎ 戻る
08 そう 茶色の 可愛い娘(かわいこ) 小さな草小屋へ
09 フラしよう、 貴方 囁くなら 愛してる って
10 それが やること
拍は以下のように割り振れます。
❍ ❍ ❍ ❍
05 お月さんは 上に そう 高く
❍ ❍ ❍ ❍
06 フムフム ヌクヌク 泳ぎ 行く
❍ ❍ ❍ ❍
07 まるで 男の子たち 急ぎ 戻る
❍ ❍ ❍ ❍
08 そう 茶色の 可愛い娘 小さな草 小屋へ
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
09 フラしよう、 貴方 囁くなら 愛してる って
❍ ❍ ❍
10 それが やること
見かけ上は原歌詞と対応しているようですが、7, 8行目はどうしてもうまくリズムに乗せて歌えません。この二つの行は、魚の群れが、「小さな草葺小屋の茶色の可愛い娘の下へ急ぐ男の子たちの様」であると記述している所です。しかし、説明言語の英語とちがって、日本語ではそこまで正確に書けません。それで、かなり文法を外して書いているのですが、まず 7行目からして、発話しきれません。一拍で「男の子たち」を言い切るのは無理です。言えても、聞く方に違和感があるでしょう。次の 8行目のも同様な事情ですが、前半の最初の「そう」は原歌詞で「To the」を発声しているのに合わせて入れたもので、これをなくすと、いきなり「茶色の」から始まるのでおかしいと思います。後半も同様に発話しきれません。そこで、次のようにしました。
❍ ❍ ❍ ❍
07 [まるで] 男の 子 [みな] 急いで る
❍ ❍ ❍ ❍
08 [そう] 茶色の 可愛い娘 [小さな] 草葺 小屋
ここで、「 [かざり] 」の様に書いた所は、「かざり」という言葉を装飾的に付ける装飾的挿入句を表します。例えば、
部屋を [かざり] つける
は「部屋を つける」を二拍で「部屋を」+ 「 つける」と発声するとした時に、二拍目の「つける」の前に「かざり」を短く装飾的に付加するように発声します。ですから、歌詞のリズムとしては
❍ ❍ ❍ ❍
07 男の 子 急いで る
❍ ❍ ❍ ❍
08 茶色の 可愛い娘 草葺 小屋
ですが、 7行目の「男」の前に修飾的に、つまり拍の位置を変えないで「まるで」を発声し、「急いで」の前に修飾的に「みな」を発声するのです。次の 8行目も同様です。当然、これらの修飾語の前の語は文字列としてできるだけ短くし、文字列として短くできない場合には発声を短くします。つまり、「可愛い娘 (かわいこ) 」は発声の最後の所を短めにします。同じく 8行目で最後の所を、せめて、「小屋へ」としたかったのですが、次にすぐに「フラしよう」が続くので、文字列として短くしました。なお、8行目、最初は拍の関係で「草葺小屋」とは発声しきれないと考えて「草小屋」としていた所を、元の「草葺小屋」に戻しました。(早い話が、装飾的挿入句は、自分で入れる「合いの手」だと理解してくだされば良いと思います。)
以上より、「05-10」は以下のようになります。
❍ ❍ ❍ ❍
05 お月さんは 上に そう 高く
❍ ❍ ❍ ❍
06 フムフム ヌクヌク 泳ぎ 行く
❍ ❍ ❍ ❍
07 [まるで] 男の 子 [みな] 急いで る
❍ ❍ ❍ ❍
08 [そう] 茶色の 可愛い娘 [小さな] 草葺 小屋
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
09 フラしよう、 貴方 囁くなら 愛してる って
❍ ❍ ❍
10 それが やること
最後の「11-15」の原歌詞は以下のとおりです。
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
11 Picking flowers gets them every--time
❍ ❍ ❍
12 In a tropic clime
❍ ❍ ❍ ❍
13 When you walk on the silvery sands
❍ ❍ ❍ ❍
14 You'll never have to talk simply use your hands
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
15 Do the hula Go into your dance
対して、日本語歌詞案では
11 花は 摘むほど 花が 咲く いつも ね
12 そんな トロピカルな とこ
13 銀色の 砂浜を 歩く とき
14 言葉は いらない ただ 手を 使う
15 フラしよう、さあ 貴方の ダンス
この部分では、歌詞案に発声上の問題は感じられなかったので、拍も容易に以下のように割り振れます。
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
11 花は 摘むほど 花が 咲く いつも ね
❍ ❍ ❍
12 そんな トロピカルな とこ
❍ ❍ ❍ ❍
13 銀色の 砂浜を 歩く とき
❍ ❍ ❍ ❍
14 言葉は いらない ただ 手を 使う
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
15 フラ しよう、 さあ 貴方の ダンス
以上をまとめて、次のような日本語歌詞が得られました。
❍ ❍ ❍ ❍ ❍ ❍
01 フラ しよう、 何か 言いたい なら ね
❍ ❍ ❍
02 それ だけよ
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
03 分かるわ、 島 巡りが 楽しいっ てさ
❍ ❍ ❍
04 踊り 始めたら
❍ ❍ ❍ ❍
05 お月さんは 上に そう 高く
❍ ❍ ❍ ❍
06 フムフム ヌクヌク 泳ぎ 行く
❍ ❍ ❍ ❍
07 [まるで] 男の 子 [みな] 急いで る
❍ ❍ ❍ ❍
08 [そう] 茶色の 可愛い娘 [小さな] 草葺 小屋
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
09 フラしよう、 貴方 囁くなら 愛してる って
❍ ❍ ❍
10 それが やること
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
11 花は 摘むほど 花が 咲く いつも ね
❍ ❍ ❍
12 そんな トロピカルな とこ
❍ ❍ ❍ ❍
13 銀色の 砂浜を 歩く とき
❍ ❍ ❍ ❍
14 言葉は いらない ただ 手を 使う
❍ ❍ ❍ ❍ ❍
15 フラ しよう、 さあ 貴方の ダンス
【おわりに」
元々が理論解析屋なので、うまく行かなければ、本項のように解析を繰り返しながら、進むことになります。一種の職業病ですので、笑ってお付き合いください。メロディがなんとか出せるようになりましたら、他の歌、「私の愛の歌声」と「ウイラニ私のレイ」と合わせて、歌った (?) ものをお示しする予定です。それで、日本語歌詞を案出した時のイメージを分かって歌っていただけると思います。
こんな調子ですので、踊ってみようと思える音源をお示しできるまでの道のりは長いです。そこからは普通に踊っていただけるかには、まだ問題があります。それは、歌える日本語にするために省略した原歌詞の部分が踊りの ハンド モーションとして入っていた場合です。日本語歌詞を修正して対応できればよいですが、そうでなければどうするか。歌詞を仕上げるためには踊り手さんの助力も必要になるでしょう。
まともに出港できるのかと危ぶまれる「日本語で歌うポリネシアン」ですが、私にできる範囲でやり切るのが、この素人カメラマンのあの方の踊りへの愛の証と考えています。彼にはできずとも、将来に対する何らかのきっかけになれば、これに比する幸いはありません。この辺のことは、別項でご説明したいと思います。
