「モ オモ オガ (Mo'omo'oga o lo'u Agaga)の歌詞の日本語歌詞 (4/7)」
                    「モ オモ オガ (Mo'omo'oga o lo'u Agaga)
                               「ポリネシアの歌

 

【はじめに】

 

サモアの モ オモ オガ (Mo'omo'oga o lo'u Agaga) は既に 前項 で見ましたように、三節の歌詞に一節の繰り返しが加わり、実質的には四節の長さの歌になっていますから、演目としては割合長く、やはり、どのようなことを歌っているのかが気になります。そこで、日本語ではどの様に解釈できるかを考え、(4/7) そして日本語歌詞を作ってみました。 なお、サモアの歌を生み出す母体となる サモア文化、その中心に有る「マタイ (matai) 」については「ロウ セイ オリアナ (Lo'u sei Oriana) 」の歌の をご覧ください。

 

 

 

【サモア語について】

 

流通される言語として、サモア語がどの様な位置づけに有るのかについては、意外と知りません。ポリネシアの言語と言えば、ハワイ語や タヒチ語がすぐに頭に浮かび、ハワイ語は ハワイ諸島に限られる傾向が有るのに対して、タヒチ語は フランス領ポリネシアの広い範囲に渡って話されている、流通範囲の広い言語であると考えます。対して、サモアの人口は サモア独立国と アメリカ領サモアにほぼ限られているだろうから、言語としての流通範囲も広くはないだろうと予想されます。

 

 

  【スパリゾート ハワイアンズ フラミュージアムの掲示物より抽出】

 

 

 

 

      【サモア独立国の主要な島嶼と米領サモア】

 

 

私もそう思ってきました。Wikipedia [1] より引用します。

 

 サモア語(Gagana Sāmoa)は、サモア諸島のサモア人が話す ポリネシア語です。

 行政上、島々は主権国サモアと米国領アメリカ領サモアに分割されています。どち

 らの管轄区域でも、英語と並んで公用語となっています。太平洋地域で広く話され

 ており、ニュージーランド、オーストラリア、米国でも広く話されています。ポリ

 ネシア語の中で、ネイティブスピーカーの数が最も多いのはサモア語です。

 サモア語は群島で約26万人が話しており、多くのサモア人が複数の国に移住して暮

 らしているため、2015年の全世界で話者総数は51万人と推定されています。ニュー

 ジーランドでは3番目に広く話されている言語で、2018年時点で人口の2.2%にあた

 る 101,900人がサモア語を話しています。

 

意外でした。また、「ロウ セイ オリアナ 」のところで、その作曲者である ジェローム  グレイが米国の カルフォルニアを拠点として活動を行っているとの記述があったのが、やっと腑に落ちました。どうも、そこには サモア語ネイティブの社会が形成されているようです。もう一つ腑に落ちたことは、サモア語の変化が激しい理由は、この様にサモア語ネイティブの人たちが多くの場所に分かれて住んでいることによるのだろうということです。タヒチ語ですと、使用されていた時代による差はありますが、大体は異なった辞書を見ても、あまり大きな変化はないように思いますし、タヒチ語の辞書にない場合でも、近隣の言語、例えば パウモトゥ語や マオリ語の辞書を調べると類似語が発見できることが多いです。対して、サモア語の場合には、辞書に見つからずに、 Wikipediaで発見したり、教会関係の資料に文章例があったり、同じ意味でも言葉が違う代名詞が沢山あったりと、バラバラという感じです。それは、サモア語が世界の色んな所で話されてきていることの反映なのでしょう。

 

 

 

【モ オモ オガの サモア語歌詞】

 

まず、ハワイアンズで歌われていると思われる原歌詞を再録します。

 

  Mo’omo’oga o lo’u agaga

 (These  lyrics are the Jerome Grey version)

 

1

 Mo’omo’oga o lo’u agaga
 ia liu ele’ele o lenei vasa
 Se’i ou alu atu ta te talatala
 Apa’au e o le tai taeao
 se’i o’u lele atu ai i luga o ao
 E leaga sole ua tuai mai o le manuao

 

2
 Ia la’u pele, 
 ia la’u pele
 ia la’u pele ia e manatua
 o le auala e vala lua
 a e savali aua ne’i e toe tepa i tua

 

3
 A iai dear/suga oni ou alofa’aga
 fa’amolemole pu’e mai sou ata
 Se’i fai lea ma vaila’au i lo’u agaga
 Pe e te kisi isi ou lima
 lia’i faalele mai lea i le matagi
 E leaga sole ua tuai mai o le ropati

 

これを 1  2  3  2  と歌っていると考えました。

 

 

 

【モ オモ オガ 歌詞の サモア語解析】

 

サモア語の歌詞の一行ごとに単語を調べ、日本語の解釈を考えていきます。以下、最初に サモア語歌詞、サモア語単語の意味、グーグル翻訳のサモア語から英語の翻訳、日本語の解釈の順番に示します。グーグル翻訳を利用する理由は、サモア語文に対する解釈の方向性を定めるためです。グーグル翻訳が提示する訳文はそれなりに意味が通るように思うのですが、根拠が不明なため、日本語訳の根拠とするにはあまりにも不確かです。また、グーグル翻訳で最初に英訳を考えるのは、外国語のほうが解析的に考え易いからです。初めから日本語文を提示されると、ちょっと身動きができなくなるように思います。(4/5  グーグル訳は日本語訳の材料としては使いません。)

 

解析に使用する辞書は、主に、辞書[2] と辞書[3] です。前者の場合には何も注記をしませんが、後者の場合には、「 (GBM) 」と記入します。日本語のみで説明が有るものは、特定の辞書に依らない一般的な事項です。

 

 

1節

 

 Mo‘omo‘oga o lo‘u agaga
   mo‘omo‘oga  (GBM) n. wish, desire(願い)

   o        所属を表す前置詞

   lo‘u      my(私の)
   agaga     thought; spirit(心)
 My soul's desire
 私の心からの願い

 

 ia liu ele‘ele o lenei vasa
   ia       (GBM) a precative particle before the imperative;
             used after the verb when an imperative.(要求のサイン)
   liu        v. to turn; to turn over; to change(変わる)
   ‘ele‘ele     s. earth, dirt, (GBM) ground(地面、陸地)

   o       この「 o 」は主格を表す「‘o」と考えられる

   lenei      pron. this(この)
   vasa       s. the ocean, especially of the spce between two
            distant points of a journey, or between two islands.

          (有る二つの事物の間に有る海)

 Let this ocean turn to dust
 この海に陸地に変われということ

 

解釈:この海とは、ウポル島と サバイイ島の間に広がる海と考えられる。

 

 Se‘i ou alu atu ta te talatala
   se‘i      a sign of the imperative mood, used precatively.

          (希望のサイン)

   o‘u      for me(私に)
   alu      go(行く)
   atu      direction from the speaker(話者から)
   tā         pron. dual. we two (Abbreviated from tāua)(私達二人)
   te         a particle used before verbs in the future;
            with oblique cases of pronoun(将来の分詞)
   talatala    v. (redup. of tala) to converse; to relate(お話する)
 Let me go and talk to you.
 私に向こうへ行かせて下さい、二人で話すため

 

解釈:「ta」を「そして」もしくは「しかし」と解釈しているように見える例文が辞書[2] に幾つかある。Google翻訳も、それに従っているようであるが、ここでは「tā」とし、主語の「二人」を表すとした。その結果、「ta」以降を不定詞の「〜のために」の意味合いで解釈した。また、辞書[3] によれば、「se‘i」が「let me(させて下さい)」の意味で使われるときには「‘ou」の代わりに「o‘u」が使われる。

 

 

 Apa‘au e o le tai taeao
   apa‘au    s. Malay, SAYAP, a wing. ‘O lona apa‘au(翼)
   e         a verbal particle indicating the present tense(現在の分詞)
   o         Malay, OMAI, v. pl. of alu and sau(「行く」の複数形)
   tai       s. sea(海)
   taeao       s. the morning; tomorrow(朝)
 Wings of the morning tide
 鳥達が朝の海を行きます

 

解釈:「翼」は単純に「鳥」とした。サモア語では単数には冠詞が付き、なければ複数の扱いになる。

 
 se‘i o‘u lele atu ai i luga o ao
   se‘i      a sign of the imperative mood, used precatively(希望)
   o‘u      for me(私に)
   lele      v. to fly(飛ぶ)
   ai         (関係詞)二行上で行きたいと述べた所  (4/7)
   luga       prep. upon, above(上を)
   ao       s. a cloud; day; daylight(雲)
 Let me fly above the clouds.
 私に雲の上を向こうに飛ばせて下さい。
 

 E leaga sole ua tuai mai o le manuao
   e        現在の動作や状態
   leaga      a. bad; common, of men(良くない)

   sole     s. friend ! (A call to a man.)(「友よ」呼びかけ)
   ‘ua      a verbal particle marking the present and perfect tenses

         (過去完了の分詞)
   tuai     v. to be a long time(時間がかかる)
   o      この「 o 」は主格を表す「‘o」と考えられる
   mānuao   s. the name of a bird (Ptilotis carunculata) which whistles
            at daybreak. Called also Iao.
 It's too bad the ship is late.
 それにしても友よ、あの鳥は遅いね

 
解釈:「leaga」をそのまま「良くない」とすると大仰になるので、「それにしても」と軽く表現した。「友よ」とは自分自身に話しかけているのであろう。「Mānuao」は辞書[2] には「Ptilotis carunculata」と書かれているが、正確には「 Foulehaio carunculatus」である。 eBird [5] によれば「ニクダレミツスイ」で サモアなどの中央ポリネシア固有の鳥。勿論、ここではあからさまに言っていないが、待っている「あの娘」のこと。島の間の海を鳥たちが飛んでいるのを見て、鳥を連想したのだろう。原歌詞では(多分)現地名の「Mānuao」と書くが、日本では「ミツスイ」と言ってもピンとこないので、「あの鳥」とした。
 
 
2節
 
 Ia la‘u pele,
   ia      (GBM) pron. he, she; Sometimes it is used instead of na,
          which usually comes before the verb, as Na te sau.(彼女)
   la‘u      pron. my(私の)
   pele     s. a beloved one, I se‘i e te‘a i ou pele.(愛する人)
 Well, my dear,
 あの娘は私の愛する人
 
解釈:ここで始めて「あの娘」に言及。
 
 ia la‘u pele
 my love
 あの娘は私の愛する人
 
 ia la‘u pele ia e manatua
   manatu   v. to think; to remember; pass. manatua(思い出す)
   manatua    passive form of manatu(その受動形)
 My dear, remember.
 あの娘は私の愛する人、忘れられない人
 
解釈:「ia la‘u pele」と「ia e manatua」の二つの文と考えた。後半は「彼女は思い出される」となるが、前半の文体に合わせて「忘れられない人」とした。
 
 o le auala e vala lua
   o      この「 o 」は主格を表す「‘o」と考えられる
   ‘auala     (GBM)n. roadway(道)
   vālalua      (GBM)v. (& adj.) divided in twos;(二つに分かれる)
          n. path- or road-fork; tree-fork
 the road forks
 道は二つに分かれます
 
解釈:当初は「道が枝分かれ」していると考えたが、「2方向に分かれる」と考えるほうが良いように思う。「右方向」と「左方向」、あるいは「行き」と「帰り」の2方向である。それなら次の行とのつながりもよい。
 
 a e savali aua ne‘i e toe tepa i tua
   ‘a       conj. but; if(しかし、もし)
   savali      v. to walk(歩く)
   ‘aua     v. impers. do not(否定)
   ‘aua ne‘i   Do not by any means(強い否定)
   toe       adv. again, Ona toe su‘esu‘e atu lea.(再び)
   tepa     (GBM) v. look (at), glance(見る)
   i tua     behind(後を)
 When you walk, don't look back.
 歩くなら、再び後を見てはいけません
 
解釈:「a e savali」を条件節とし、「aua ne‘i e toe tepa i tua」を主節とする。
 
 
3節
 
 A iai suga oni ou alofa‘aga
   ‘a      conj. but; if(しかし、もし)
   iai       (GBM) v. be; be present(ある)
   suga         (GBM) ij. term used for addressing a girl, my dear
         (「sole」に対応する女性への呼びかけ)
   oni      (何らかの集まり、これについては付録A 参照)
   ou      pron. pl. of Lou, your(あなたの)
   alofa‘aga   (GBM) n. Compassion, mercy(思いやり)
 If there is sugar, it is your love.
 ねえ貴方、貴方の優しい思いやりが沢山あるなら
 
解釈:「oni」は、幾つかの例文を見ると、後の言葉を修飾するようなので、前の「suga」とは無関係であると思われる。「suga」は基本的に呼びかけなので、動詞「iai」の主格になるのは無理がある。そこで、主文を「A iai oni ou alofa‘aga」、「suga」は挿入句とし、「もし『oni ou alofa‘aga』があるなら」、つまり「もし『貴方の思いやりの集まり』があるなら」となる。
 
 fa‘amolemole pu‘e mai sou ata
   fa‘amolemole (GBM) gph. please(どうぞ)
   pu‘e           (GBM) Pu‘e le ata, Take a photograph.
            (「pu‘e le ata」で「写真を撮る」)
   sou         pron. thy (your)(貴方の)
   ata      s. a shadow; a reflected image, as a photograph(写真)
 Please take a picture of yourself.
 どうぞ、あなたの姿を撮ってください
 
解釈:「写真を撮る」の「pu‘e le ata」に「mai(こちらへ)」と「sou(貴方の)」がついているので、上のように考えた。
 
 Se‘i fai lea ma vaila‘au i lo‘u agaga
   se‘i     a sign of the imperative mood, used precatively.
         (希望のサイン)
   fai       v. to do; to say; to get; to become(得る)
   lea      pron. that(それ)
   ma     for(のために)
   vaila‘au      s. medicine(薬)
   lo‘u      my(私の)
   agaga     thought; spirit(心)
 Let this be medicine for my soul.
 どうか、それを私の心の薬に下さい
 
解釈:動作を起こしてほしい相手は、今までの例では、「se‘i」の後に来ていたので、この文では、その相手は省略されているとした。従って、「lea」は動作の対象。
 
 Pe e te kisi isi ou lima
   pe     conj. or, whether(〜してもよいか)
   ‘e       you(あなた)
   kisi      (GBM) v. kiss(キス)
   isi     (GBM) num. (the) other; (the) next; another(その他)
   ou      pron. pl. of Lou, your(あなたの)
   lima     s. the hand; the arm(手)
 Do you kiss your other hand?
 貴方の手にキスしてもらえますか (4/5)
 
解釈 (4/5):付録 B で議論しているように、「isi」は再帰的な動作を表現するために使われているのであって、それの持つ意味合いは考えなくても良いように思います。
 
 lia‘i faalele mai lea i le matagi
   lia‘i    v. to whirl round; to swing round(振り回す)
   fa‘alele   v. to cause to fly(飛ばす)
   lea     (GBM) prn. definitive demonstrative, this; that, it; there
         (ここに)
   matagi   Malay, ANGIN. s. the wind(風)
 fly away from the wind
 風に乗せてここまで飛ばして下さい
 
解釈:サモア語では動詞が並んだ場合、後の動詞が前の動詞を修飾すると言われる。そうすると、飛ぶように振り回す動作が示されていることになる。方向は「mai」であるから、その方向はこちら側で、その目的地は「lea(ここ)」ということになる。何を飛ばすのか。どうも「キス」ではないか。
 
 E leaga sole ua tuai mai o le ropati
   leaga  a. bad; common, of men
   sole  s. friend ! (A call to a man.)
   tuai  v. to be a long time
   Ropati  there many samoans with Ropati in their names.
 It's too bad the robot is late.
 それにしても友よ、ロパティは遅いね
 
解釈:「Ropati」を名前に持つ サモア人は沢山居るようなので、ここの「Ropati」は「あの娘」の名前と考える。「Ropati」を「ロボット」と読むこともできるが、状況に合わない。(4/6  冠詞がつぃて「le ropati」なので、「あの鳥」の「mānuao」と同様に、「あの可愛い娘」を代表する名前であろう。例えば、古い例ですが、「私のひばりちゃん」や「私の聖子ちゃん」等の感じなのかも知れない。)
 
 
 
【日本語解釈のまとめ】
 
原歌詞と日本語解釈文の対応は以下のようになりました。
 
 

1節

 Mo‘omo‘oga o lo‘u agaga      私の心からの願い

 ia liu ele‘ele o lenei vasa         この海に陸地に変われということ

 Se‘i ou alu atu ta te talatala      私に向こうへ行かせて、二人で話すため

 Apa‘au e o le tai taeao          鳥達が朝の海を行きます

 se‘i o‘u lele atu ai i luga o ao     私に雲の上を向こうに飛ばせて下さい。

 E leaga sole ua tuai mai o le manuao それにしても友よ、あの鳥は遅いね

 

想定される状況は、サバイイ島か ウポル島の朝の フェリー乗り場で思い人の到着を待っている男の子、と言うことになります。両島の間の海を見て、陸地に変われば歩いて行ってお話できるのにと考えたり、鳥が飛び交っているのを見て、飛んでいきたいと考えたりして、じれて待っている様子です。

 

 
2節
 Ia la‘u pele,              あの娘は私の愛する人
 ia la‘u pele               あの娘は私の愛する人
 ia la‘u pele ia e manatua        あの娘は私の愛する人、忘れられない人
 o le auala e vala lua           道は二つに分かれます
 a e savali aua ne‘i e toe tepa i tua    歩くなら、再び後を見てはいけません
 
相手は自分の愛する人で、思いを定めたら、決して振り返らないと歌います。
 
 
3節
 A iai suga oni ou alofa‘aga        貴方、貴方の優しい思いやりが沢山あるなら
 fa‘amolemole pu‘e mai sou ata     どうぞ、あなたの姿を撮ってください
 Se‘i fai lea ma vaila‘au i lo‘u agaga  どうか、それを私の心の薬に下さい
 Pe e te kisi isi ou lima        (4/5)貴方の手にキスしてもらえますか
 lia‘i faalele mai lea i le matagi     風に乗せてここまで飛ばして下さい
 E leaga sole ua tuai mai o le ropati  それにしても友よ、ロパティは遅いね
 
この節では、相手の娘に、貴方の写真を下さいとか、風に乗せて投げキッスを下さいと思いを広げていきます。しかし、あの娘 ロパティはまだ到着せず、相変わらずじれて待っています。
 
全体を通して、思い入れの深い、素直そうな男の子が、まだ現れない思い人に想像をたくましくしながら思いを、一人、歌に載せて居ることが分かります。相手の娘がまだ現れていないだけに、男の子のいじらしい気持ちが微笑ましいです。
 
 
 
【 ( 4/7 ) 日本語歌詞の案】
 
上に書いたように、男の子の思いと、期待、望みを歌った曲であるようなので、言葉遣いも男の子らしくして、以下のような歌詞を考えてみました。
 
1節
 Mo‘omo‘oga o lo‘u agaga         僕の  心の  願いは  
 ia liu ele‘ele o lenei vasa        この海が地になる  こと
 Se‘i ou alu atu ta te talatala        僕を行かせて、  二人    話そう
 Apa‘au e o le tai tae-ao se‘i         鳥達が朝の海を行くよ  
 o‘u lele atu ai i luga o ao        僕も雲の上を向こうへ飛ぼう
 E leaga sole ua tuai mai o le manuao  だけど、ねえ、 まだ来ない  あの鳥は


2節
 Ia la‘u pele,               僕の思い人
 ia la‘u pele                僕の思い人
 ia la‘u pele ia e manatua         僕の思い人、忘られない人
 o le auala e vala lua            道は二つに分かれるよ
 a e savali aua ne‘i e toe tepa i tua     歩くなら、もう けして   振り返らない

3節
 A iai suga oni ou alofa‘aga         ねえ、君の優しさがいっぱいなら
 fa‘amolemole pu‘e mai sou ata      お願い、君の姿を撮ってください
 Se‘i fai lea ma vaila‘au i lo‘u agaga   それを 僕の 心の薬に  下さい
 Pe e te kisi isi ou lima         君の手にキスをしてくれますか
 lia‘i faalele mai lea i le matagi      ここに飛ばしてくれますか、風に乗せて
 E leaga sole ua tuai mai o le ropati   だけど、ねえ、まだ来ない ロパティは

第1節の五行目の頭にあった「se‘i」は四行目の終わりから連続的に歌われるので、四行目の末尾に持っていきました。
 
 
 
【おわりに】
 
「モ オモ オガ」の歌詞の内容を日本語で表してみました。大部分の解釈は グーグル翻訳の訳文と大きくは違わないので、間違いはあまりないかなと思います。この日本語の解釈を元に、日本語歌詞を案出したいところですが、歌のリズムが必ずしも捉えきれているとは言えず、まだ時間もかかると思えますので、取り敢えずはこの段階で一つのまとめとします。(4/7  日本語歌詞は付けました。)
 
 
 
 
 
【付録 A:「oni」】
 
「oni」は辞書に発見できなかったので、Glosbe 辞書 [6] から二つほど例文を取り出して、その意味を検討してみました。(4/5  この辞書で「oni」を検索してみますと、「oni」が含まれた サモア語例文が出てきます。)
 
まず、1つ目の例文。
 
 [サモア語]
  O nisi o i latou na fuafua faalilolilo agai i le Perofeta ma le Ekalesia oni tagata 
 tuai o le Ekalesia na liliuese.
 
 [英語]
 Some of those who were conspiring against the Prophet and the Church were 
 former members of the Church who had apostatized.

  nisi     a. some, any
  fuafua     v. to measure, to weigh; to ponder; tο take aim with the spear
  fa'ali'olio  v. to surround, to encircle
  agai      s. attendants on a chief
  tuai      a. former, olden
  liu     v. to turn; to go backwards and forwards; to turn over;
        to turn into, to change, redup. liliu
  'ese    adv. away from; different
 
比較すると、「oni tagata tuai」が「former members(以前のメンバー達)」に相当することが分かります。そうすると、「tagata」は「人」ですから、「 oni tagata」が「 メンバーたち」なら、「oni」は「何らかの集まり」を意味すると思われます。
 
次に2つ目の例文。
 
 [サモア語]
  I le iʻuga, ua tatou iloa a iua avea i tatou o nisi o le aiga tele faalekelope oni uo!
 
 [英語]
 Eventually, we find that we belong to a vast, global family of friends!
 
  i'uga     s. ending, determination or decision of a deliberation
  iloa       v. to see; to know
  i'u         v. to end; to finish; to fulfil; to come upon, pass. i'ua
  'ave      v. to take; to give; tο conduct; to become, in the pass.;
          to carry; to take away, in the pass., pass. 'avea
  tele      a. great, large; Many, plentiful
  faalekelope   global
  uō  s. a friend, a bosom companion
 
比較すると、「le aiga tele faalekelope oni uo」が「global family of friends」つまり「友人達のグローバルな家族」に相当することが分かるので、「 oni uo」が「友人達」つまり「友人の集まり」に相当することになり、やはり、「oni」は「何らかの集まり」を意味すると思われます。
 
以上の例でも分かるように、「oni」は教会関連の文章に使われているように思われるので、何らかの集団を表すために作られた教会用語なのでしょう。それが歌に現れることには何ら不思議はありません。この曲の作者である Iosefa Lale Peteruは元教師で牧師でもあるからです。この曲を発表したバンドの Punialava’a は家族で始めたもので、クリスチャン バンドが歌った歌の中に教会用語が混じりこんだという自然の流れであったのでしょう。ちなみに、「oni」は タヒチ語では「ミツバチ」を表しますから、あのミツバチの集団から「oni」を集団を表す言葉として、サモア教会が採用したものと思われます。(4/7  逆は考えづらいです。それなら、サモア語に「oni」が確立していたはずだからです。)
 
 
 
【 ( 4/5) 付録 B:「isi」】
 
第3節の四行目
 
 Pe e te kisi isi ou lima
 
の解釈、特に、「isi」の解釈について考えてみましたが、結局は分かりません。ただし、グーグル翻訳 を使用して遊んでみた結果、自分自身にキスをするという意味の文を書くのは難しいことが分かりました。グーグルでは
 
「Pe e te kisi  isi ou lima」→Google→「Do you kiss your other hand?」
 
ですが、このサモア文から「isi」を取ってみると、
 
「Pe e te kisi  ou lima」 →Google→「Do you kiss my hands?」
 
と解釈してしまいます。どうも、グーグルは上のサモア語文を自分の手にキスするとは理解してくれないようです。方向を表す「mai」と「atu」を使った「kiss mai」と「kiss atu」という言い方もありますが、これらは「キスしてもらう」か「キスしてあげる」のどちらかで、自分自身にキスするには使えません。
 
調べてみた結果、サモア語の「lava」が英語の「self」に対応する様なので、試してみます。すると、
 
「Pe e te kisi ou lava lima」→Google→「Do you kiss your own hands?」
 
と返してくれます。この様に、自分自身に再帰する意味の言葉を使わなければ、自分の手にキスをすることはできません。これは、多分、グーグルだけの問題ではなく、サモア語一般の(あるいは ポリネシア語属一般の)性格なのだと思います。そして、「isi」にしても「lava」にしても、古い辞書[2] には項目として採録されていませんから、個別の場合での言い方はあっても、自分自身に再帰する一般的な言い方は広く使われていなかったのかも知れません。「Kisi」は外来語ですから、自分の手にキスするような語彙まではまだ用意されていなかったかも知れません。そうすると、この詩の場合は、「kisi」と組み合わせるにあたって、「isi」と「lava」の中から前者を選んで使ってみたと言うほどに受け取って、「isi」本来の「もう一つの」とか「その他の」という意味は深く考えないのが良いかも知れません。
 
(4/7   この事は、ポリネシア文化では、文化的な解像度が「個人」のレベルまでだったことを表しているのかも知れません。専門的には知りませんが、一般的に考えて、江戸の頃の文化では個人の「手」、「脚」、「顔」などが文化的なレベルで区別・認識されていたように思います。これは、「個人の生き方や生活」が文化の対象として認識されていたからです。言葉で言えば、「町人文化」ということになりましょうか。ポリネシア文化が一般個人のレベルまで認識していなかったのは、それが本質的には貴族文化だったことが原因としてあるのだと思います。ですから、一般人に対しては、「彼が行う」か、「彼に行う」かの区別だけが重要で、「彼の中で何が起きる」かは考える必要がなく、だから、自分自身に対して起こす行動のための用語は需要が少なかったのだと思います。そうであるなら、例としてあげるなら、サモア語は文化の変貌に応じて今も大きく質的に変化しているのかも知れません。そうすると、この詩の第3節の後半は ネイティブの方でも分からないかも知れませんね。)
 

 

[1] Samoan language ,  Wikipedia.

 

[2] George Pratt, Grammar and Dictionary of the Samoan Language, with English 

  and Samoan Vocabulary. The London Missionary Society, 1893.

 

[3] G.B. Milner,  Samoan Dictionary, Samoan-English, Eglish-Samon. Government

  of Samoa, 1966.

 

[4] Samoan to English,  Google 翻訳.

 

[5] Foulehaio carunculatus,  eBird.

 

[6] Samoan to English,  Glosbe 辞書.