スパリゾートハワイアンズの60周年を記念して打ち出された、ポリネシアン・グランドステージ の新シリーズ「Emau~100年へ、つなぐ笑顔~」の舞台を二度拝見して、思うことがあり、短文をあげさせて頂きます。
舞台冒頭の、カヒコから「常磐炭坑節」へ、そして「ドゥ ザ フラ」への流れには、いわきの歴史を感じながらも、歴史の暗い澱ではなく新しい軽快さを感じさせるものがあり、カヒコが何を言っているのかがわからないのはさておいて、とても好感を持ちました。舞台前半を「川の流れのように」の踊りで締めたのはとても印象的で、後半を期待させるものです。
後半は アオテアロアの「ポイエ」から始まります。アオテアロアの アクション ソングは退屈になりがちなのですが、この「ポイエ」はとても締まった振り付けだと思います。そして、ファイヤー ダンスから、軽快な「モ オモ オガ (Mo'omo'oga o lo'u Agaga) 」に繋がり、気分が変わったところで、タヒチの部の冒頭の「フェヌア モア」です。この曲はとても印象的で、舞台の緊張感を一気に高め、サバトの様な怪しげな雰囲気のオテア「オテア タマホウ」に自然に繋がります。このオテアから「タネ イ ムア」への繋がりはとても自然です。しかし、ここからがとても不満です。
ハワイアンズ訪問を始める前から、YouTube で ポリネシアン ショウの動画はいくつも拝見しておりました。その中で、「タネ イ ムア」には、倒れ込むバージョンとそうでないものがあることは承知していましたし、前者は ハワイアンズ初期の歴史的なものであることも承知していました。しかし、私はこの倒れ込むバージョンがとても嫌いでした。ハワイアンズ開館に漕ぎ着けるまでの苦労が、この倒れ込む所で表されているのは分かります。しかし、この倒れ込みはとても危険だと思います。
【倒れ込み(2025年 2月 18日の動画より)】
身体的な修練を積んだ、ハワイアンズの ソリストだから大した事故もなくできるのであって、一般の踊り手さんたちが真似するものではないと思います。このバージョンが倒れ込みのない最近のバージョンの「タネ イ ムア」に変わったのはとても良かったと思っていました。踊りとしても、完成されてきたと思います。それが、新シリーズで復活したのには、ショックを覚えました。倒れ込みは踊りではなく、単なる パフォーマンスだと思います。ちっとも美しくありませんし、起き上がってから(つまり、復活してから)の動きには踊りとしての意味合いが感じられません。新シリーズになってから、なかなか ウアケアさんの踊りを拝見する機会がなく、ましてや、あの方のソロはまだ拝見していません。ですから、ソロを拝見したいとは思うのですが、この倒れ込みは、大切なあの方にはやって欲しくない気持ちも強くあります。あの方の倒れ込みは見たくないし、復活してからの意味のない右往左往も見たくありません。単純に、危ないし、美しくないからです。
倒れ込みのある「タネ イ ムア」に戻したのは、60周年を意識したからでしょう。しかし、「常磐炭坑節」から始まって、また過去の「タネ イ ムア」に戻る必然性があるのでしょうか。つまり、倒れ込みが危ないし、美しくないのとは別に、新シリーズの ストーリーには納得できないものがあります。「タネ イ ムア」から「オテア」への流れの中で、舞台の熱はどんどんと高まってきたのに、「フラガール ~ 虹を ~ 」を素朴な感じで歌って熱を冷まし、出演者の紹介が始まり、これでおしまいの気分になります。しかし、その後で「フラガール ~ 虹を ~ 」の歌わなかった出だしの部分を歌い、「フラガール」の雄叫びをあげて舞台の緊張感が再び高まりながら、スパ リゾート ハワイアンズのテーマソングが始まり、これで再び トーンダウンして、お別れの雰囲気になります。そして、静かに終わります。何となく、何かに似ているなと思っていました。そうなのです。古いアルバムを見て、昔を懐かしんだような感じなのです。外資に買収されて子会社になり、これで静かにお別れなのでしょうか。シリーズ タイトルの「Emau~100年へ、つなぐ笑顔~」を見事に裏切っていると思います。センチュリー(100年)の夢のためには、それだけのエネルギーを感じさせながら終わらなければならないのではないでしょうか。60周年のお祭り気分が覚める前に、部分的手直しが必要だと思います。
