今日にも市川猿之助さんが逮捕される見込みとの報道が出ました。
順風満帆に見えた芸能生活に何があったのかは、本人のみぞ知るというところでしょうか。
今回の逮捕に関して、元刑事の感覚で感じたところをお伝えいたします。
今回の逮捕容疑は、母親の自殺を手助けしたとする「自殺ほう助罪」です。これは、殺人事件容疑での捜査過程において時折、犯人が「私は殺していません。自殺を手助けしただけです」という主張の際に議論になる罪名ですね。
自殺ほう助罪の罰条は、7年以下の懲役又は禁錮であるのに対し、殺人は死刑、無期若しくは5年以上の懲役・禁錮で相当罪の重さに差があるわけです。
では、なぜ警察は猿之助さんを殺人ではなく自殺ほう助で逮捕することとしたのでしょうか。
そこには現場の証跡から殺人を裏付けるものが得られなかったことを意味します。
母親と父親の死因は向精神薬中毒によるものでした。つまりは睡眠薬等の過剰摂取によるものです。
事実、猿之助さんは病院から睡眠薬を処方されていました。この睡眠薬により中毒死させるには相当数の睡眠薬を服用しなければならず、もし、母親が拒絶をしているにもかかわらず、薬を無理やり口から摂取することは不可能です。
口に詰め込むことはできても飲み込ませるのは難しいですしね。
大量の錠剤をミキサーなどで粉砕して飲み込ませるにことは、可能だったとしても身体に皮下出血や口腔内に傷が残りますし、周辺にも嘔吐の跡など何らかの証拠が残ります。
そこで警察は、母親に対する殺人罪の適用を見送り、自殺ほう助での逮捕となったわけです。
ここで、一つの疑問が生じました。自殺ほう助であれば在宅捜査も可能だったのではとの思いです。
容疑者は著名人ですし現在までも任意の取り調べに応じていますので、逃走の恐れは全くありません。
ただ、証拠隠滅の恐れは拭えません。それは服用した薬の空ケースが発見されなかったということです。父と母が服用した錠剤の数を考えれば、家の中から大量の空容器が発見されなければ不自然です。空容器が発見されないということは、事件よりもかなり前に錠剤をケースから取り出して、錠剤だけをまとめていたことになります。そして、それを誰がやったかです。
父親の段四郎さんは介護が必要な状態で、ほぼ寝たきりだったと報じられています。そうすると、実際に準備ができた人間は母親か猿之助さんに限定されます。
(家政婦も可能性はゼロではありませんが、現時点まで警察でも徹底的に取調べをしたでしょうし、その結果、逮捕もされていないのせ、この際、家政婦の可能性はないとしておきます。)
この錠剤をケースから取り出してまとめておいたということは、自殺や殺人が以前から計画されていたことの証拠となります。
母親は、すでに亡くなっているので供述を引き出すことはできず、やはりキーマンは猿之助さんということとなり、この点が解明されなかったことから、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕に踏み切ったものと思います。
そして、在宅ではなく逮捕に踏み切った理由として考えられるのが、今回、母親の自殺ほう助での捜査がある程度終わった段階で、父親への殺人容疑での再逮捕を警察は考えているのではないかという点です。
母親への自殺ほう助については、猿之助さんも認めていますので大きな問題はなく捜査は終結へと向かいますが、その捜査過程で父親への殺人容疑での捜査が行われるのではと思います。
というのも、母親の身体機能には問題なかったので、自分から薬を大量に服用することはできたでしょう。
ただ、寝たきり状態ですし認知機能にも問題があるとされた段四郎さんはどうでしょうか。
自ら死を選ぶ認知機能を有し、自分で薬を大量に服用できるだけの身体機能はあったのでしょうか。
この点を考えると、段四郎さんに関しては自殺ほう助ではなく殺人を視野にいれた捜査がこれからすすんでいくのではないかと思われます。
