かーちゃんの母は、すぐに来てくれた。
当然、娘達の世話も、食事作りもしてくれる。
が!!
ついでにかーちゃんも頑張ってしまう。
なぜだかわからないが、母には弱っている自分が見せられない。
母に気を遣っている?
いやいや、そんなものではない。
母とかーちゃんとの関係は、少々いびつだ。
どこの家庭にも大なり小なりある、親子感情の難しさだと思うが・・・。
そもそも、実家の居心地がよければ、とっくに帰省していただろうし、だいたいこんな遠くの地へ嫁になんか来ない。
母が家にいるのは何か息苦しいし、うっかりゴロ寝もしにくい。
たぶん母の目には、かーちゃんはそんなに深刻な状態には見えなかっただろう。
かーちゃんが寝込むこともなく、母と一緒になって家事をしたり、ウォーキングに出かける姿を見て、とーちゃんは、
「やっぱり実のお母さんに来てもらってよかったんだよ」
と一人満足していたが・・・
とんでもない!!
かーちゃんは、ただ無理やり元気なふりをして、ベッドから抜け出て起きていたし、一緒に台所に立つこともした。
ただそれだけだ。
エネルギーが激減しているうつ病患者のかーちゃんが、残りわずかなエネルギーを絞り出して、「自分の母親と、平然を装って過ごす」ということに、そのエネルギーを使い果たしてしまった。
母は2~3週間ほどで帰って行ったが、かーちゃんはホッとした。
そしておきまり、その後しばらく寝込んだ。
エネルギーがまた湧いてくるまで、しばし冬眠に入った穴グマだ。
実の母親が来たって、結局もとのもくあみ。
せっかく来てくれた母には申し訳なかったが、本人は疲れただけで終わった。
我が家のように、子供が小さくて、家庭の維持・継続が困難な場合、誰か近しい人に助けを求めるのはいいことだが、その人と患者の関係によっては、逆効果もありうる。
とーちゃんのように
「女性は実の母親に来てもらったら一番うれしい・頼れる・安心する」
と思い込んで行動すると、うつ病患者本人には、ただ苦痛なこともあるので、慎重にことを運びたい。
ちなみに、母が来たことでただ一つよかったことがあった。
それは、「ウォーキングに始まり、ダンスに再び参加するようになったこと」だ。
母に無理やり元気に振る舞っていたことが、「きっかけ」という浮力になったのかもしれない。
母が帰った後にブッ倒れたかーちゃんだったが、母が来てくれたことに、思わぬ副産物もあったようだ。