「『死にたい』、と衝動的に思ったら、この薬を飲みなさい」
と言って、クルクルパーマ先生から処方された薬がある。
薬の名前は伏せておくが(みなさん依存したら困るので)、
かなりの効果で感心したことを覚えている。
かーちゃんは、以前にもお話したとおり、
何かショックを受けると、大抵外に飛び出し、そこがマンションの2階で、飛び降りるには高さが足りなかったおかげで、何度も命拾いをしている↓
しかしたびたび自殺行為を行うものだから、クルクルパーマ先生から、隠し玉のような薬を処方された。
そんなわけで、次に自殺行為に走ろうとしたとき、かーちゃんは外に飛び出す前に理性を働かせ、この薬を飲んでみた。
この薬の素晴らしさを訴えたいわけではないので、飲んだ後の状態を詳細には述べないが、確かにこの薬は効いた、すさまじく効いた。
自殺しようなんて思いはどっかへ吹っ飛ぶ。
というより、そんな気力がなくなってしまった。
でもかーちゃんは、この薬にハマり込むことはなかった。
「飲んだところで、自殺行為に走る自分がいることには変わらない」
ということを、本能でわかっていたのかもしれない。
自殺行為に走る瞬間を止めるだけの薬、というだけであり、自殺願望を抱く自分を改善してくれる薬なんかではない。
この薬のすごさと虚しさの両方を知ってから、かーちゃんは独自に「自殺行為解決法」を編み出した。
そんなすごいものじゃない。
ただ、布団にもぐって穴グマ化すればいいのだ。
つまり、ふて寝!!
これは別に、かーちゃんが自分で気づいたわけではない。
クルクルパーマ先生が言ったのだ。
「ふうん。死にたくなったの?で、どうした?」
かーちゃん
「とりあえず布団にもぐってふて寝しました」
「実にいいねぇ。それでいいんですよ~」
クルクルパーマ先生、目を細めてそう言った。
当初は「???」と思ったかーちゃんだが、今思えば、それでいいのだ。
医者が「理想的」といった自殺回避を、かーちゃんは自然とやっていたわけだ。
全てを受け入れる容量がなくなって、受け入れきれない負の情報や、扱いきれない負の感情のやり場がなくなって、究極の回避法「自殺」に走るくらいなら、
せめて物理的に「無」の状態でいられる布団の中へ、そして意識をなくせる「眠り」の世界へ行ってしまえばいい。
だからつまり「ふて寝」。
これができるようになればいいのだ。
ただし、好不調をくり返すうつ病のこと。
一度これができるようになったからといって、次回からこれがずっとできるわけではない。
「ふて寝」では済まない日も必ず繰り返す。
その「ふて寝では済まない日」の発生頻度が減っていく、という治り方をして行く。