いつも夜型のぴのこは、朝の9時に起きて準備をした。
窓がないゲストハウスで、今日の天気もわからない。
太陽を見ないで、仕事の準備をする。
気分は、もぐら。
そこに厚化粧がより息つまりそうになる。
ビルの外に出ると、寒い。
どんよりとした空は灰色、ビルも灰色。
町は、臭くて、必死で地下鉄に乗ろうとする、ぴのこは、
まるで、どぶネズミのように思えた。
10時30分には店にいないといけない。
店も、地下だ。
店も、もぐら。
店に入る前に、近くのデリでサンドイッチを買って食べた。
NYに住むには、デリで安く食事するのがいいみたいだ。
更衣室は、異常な熱気とダンサーで溢れかえっていた。
着替える場所なんてない。
お店のオープンの時間、
全てのダンサーがステージに立つ。
DJが、ダンサー達の名前を言うのと同時にセンターに立つ。
そんな早い時間に客はいないけどね。
なんか、格好つけてやっている。
ぴのこは、思った。
モグラのショーの始まりだよ。
8時間必死で働いて、倒れそうな勢いで、
渋々、スタッフにチップを払って行った。
DJは一人のダンサーから15ドルもらう。
手には、チップの束がガッツリとある。
ぴのこは、あなたの方が、稼ぎいいねと言った。
慣れたら、もっと稼げるよ、と優しく言ってくれた。
戦争のような仕事が終わって、店を出るともう夜。
空を見上げ、NYの巨大なネオンを見上げるぴのこは、もぐら。
晩御飯は、朝と同じ、近所のデリ。
理由はチップを払わなくていいという。
ぐったりと食事をしている、ぴのこ達の近くで、
さっきまで一緒に働いていたロシアのダンサーもぐったりと食事をしていた。
みんな、同じ事してるんだなと思った。
同じ事、思って耐えてるんだろうなと。
暗闇にいすぎて、もぐらになってしまったよ。
もぐら~