政治と金と未公開株

　今日は久しぶりに未公開株のニュースが出ていたので紹介しよう（更新も久しぶり）。

「＜柴野元議員＞「当選したら２００倍」　未公開株も販売か　

７月の参院選で自民党から比例代表で立候補し落選した柴野多伊三（たいぞう）元衆院議員（５９）が社長を務めるバイオ燃料開発会社「日本中油」の架空増資事件で、柴野元議員が参院選前に開いた出版記念講演会で「私が当選した暁には日本中油の株が２００倍にもなる」と自社の未公開株を推奨していたことが分かった。２５日に日本中油などを家宅捜索した東京地検特捜部は、柴野元議員らが架空増資で投資家の信頼を得た上で未公開株を販売した疑いがあるとみて、詐欺などでの立件も視野に解明を進めるとみられる。

　柴野元議員の後援会関係者によると、柴野元議員は昨年１２月、バイオ燃料や地球温暖化問題を取り上げた著書「環境革命」を出版した。今年１月から全国各地で出版記念講演会を開いていた。５月２３日に広島市で開いた講演会では「私が参院議員に当選の暁には、日本中油株が（現在）１株１万とすれば、２０万円にも１００万円、２００万円にも跳ね上がる。私を政界に送ってほしい」と出席者に呼びかけていたという。

　別の後援会関係者によると、柴野元議員は周囲に「来年１月までにはシンガポール市場に上場する」などとも語っていたという。

　日本中油は０９年８月に資本金２０００万円で設立され、０９年１２月に１２億３０００万円増資したと登記したが、この増資は架空だった疑いがあり、特捜部は電磁的公正証書原本不実記録容疑などで家宅捜索した。中国最大の石油国営企業「中国石油天然ガス集団」（ＣＮＰＣ）グループを名乗りながら、ＣＮＰＣ側が否定していることも判明している。

　柴野元議員側は、増資や中国系大企業との関連、政界との関係などを誇示し「株が値上がりする」などと、未公開株購入やバイオ燃料事業への投資などを広く持ちかけたとみられる。日本中油関係者から株を購入した企業が払い戻しを求めてトラブルになっているケースも生じているとされ、特捜部は全容解明を進める模様だ。
以下省略」

以上毎日新聞より抜粋。

リンクはこちらはhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100826-00000006-mai-soci

ＹＡＨＯＯのトップニュースにも一時掲載されていたので、知っている方も多いだろう。

そう言えば、現議員が社外取締役を努めている未後悔株発行会社（Ｎ銀行）もあったが、相変わらずあまりそこの問題はニュースにはならないようだ。

ちなみに、未後悔株発行会社の資本金の数字はほぼ意味がない。

ざっくり説明すれば、

通常資本金を増資するには何らかの資産（現金など）が必要である。当然資本金＝現金であれば資本金の分だけ手元に現金があることになるが、資本金を増資もしくは会社設立時に資本金を計上するにあたり、資本金は現金以外でも計上出来る。

現金や預貯金以外の資産は場合により資産額が目減りする可能性があるので、単純に資本金＝会社の手持ちのお金とはならない。しかし、ある程度きちんと増資をしていれば、資本金とかけ離れて資産がないということはない。

しかし、未後悔株発行会社は資本金は数千万円や数億円と登記しているにも関わらず、「お金がない」などと言ったり、ある日突然消えて無くなってしまう。

単純に言えば、資本金と同じぐらい資産がないということである。もっと突っ込んで書けば、資本金として計上した資産（ほとんどがお金）をそのまま使ってしまっているということである。

「資本金ばっかりが多くてまったく会社の資産がない（お金がない）」というのが未後悔株発行会社である。

たんぽぽの会

たんぽぽの会

住所：東京都文京区千石4-44-8徳田ビル2F

TEL：03-6868-6966

何を目的としているかは不明であるが、表向きは未後悔株の被害を助ける会のようである。

その証拠に資料には

1.投資詐欺被害の被害者の会への連絡。

2.契約書の作成。（ちょっと省略）

3.前号に関連する交渉等の権限。

とある。

この会の代表者や会のなかに弁護士がいないとばっちり弁護士法に引っ掛かるところだが、中までは分からないのでそこは措いておこう。

さて、こちらの会やっていることは非常に立派であり、本当にこのような活動をしているのであれば、ぜひ頑張って欲しいところではあるのだが、残念ながら一点引っ掛かるところがある。

それは住所である。見覚えのある方も多いのではないだろうか。

この「文京区千石4-44-8徳田ビル2F」というのは、以前未後悔株で有名な「グローパートナー」も使っていた住所なのである。

グローパートナー社の記事http://ameblo.jp/dancemaster11/entry-10190078680.html

そしてそれだけならまだしも、こちらの住所はたんぽぽの会やグローパートナー以外でもかなりの金融詐欺の住所として使われているのだ。

気になる方はぜひ一度住所で検索してみて頂きたい。この住所は、おそらく「私書箱」的な形で使われているのだと考えられる。

正直言えば、この会がどのような目的で未後悔株の被害者に書類を送ってきているかは不明である。

買取業者とはちょっと違うようであるし、はたまたわざわざ名簿を作るために連絡してきているとも思えない（そもそも被害者の方にピンポイントで送ってきているということは、その手の名簿はもう持っている）。

今後なんらかの費用が発生する（手数料）パターンだとは思われるが、このような住所を使っている時点で被害者目線には立っていないことが明白である。

最後に、何度も書くが、この手の「取り戻します」や「買い取ります」といった業者（法人or会）で、お金が入ったという話は一度も聞いたことがない。

消えた未後悔株

　いよいよ世間ではお盆休みに入る。

　このお盆休みに入る前に、未後悔株発行会社随分と消えてしまった。

　例を上げれば

・オープンドリーム社

・イージーモダンワークス社

・インプロトホーム社

・アルトンマネージメント社

・フェイムジャパン社　などなど

　上げればキリがないのだろうが、どれもこれも1年前以上には「数ヶ月後には上場します」と言って売っていた銘柄である。現在残っている発行会社のほうがおそらく少ないだろう。

　当時勧誘で配っていたパンフの連絡先、または情報提供者様から頂いた情報によって連絡が取れない、もしくは現在の住所にいない、といった事を元に消えてしまったとしているのだが、もし上記に上げた企業もしくは他の企業でも現在の所在地や連絡先が分かる方はコメント欄に情報提供して頂けるとありがたい。

　また逆に現在、社債全盛期の真っ只中で、いまだに未後悔株を勧誘している企業もある。

・TAKE100社

・日本新燃料社

である。筆者はいまのところ未後悔株をいまだに売っている会社はこの2つしか知らない。こちらの企業も1年前以上から勧誘されているものであり、勧誘当時の言葉を信じればもうとっくに上場していてもおかしくないはずである。

　毎年この時期には同じことを書いているのだが、このお盆休みは非常に警戒したほうがよい。

　お盆休み後そのまま消えてしまう会社が多くなるからだ。

　またこの時期には負け組筆頭さま風にいうと「速攻型」（振り込んで直ぐいなくなるパターン）が増える時期でもある。

　十分ご注意を！

ザ・マッチポンプ ～一例～

　最近流行っている買取業者だが、今日はその一例を紹介しよう。

　こちらは情報提供者様から頂いたものを筆者のほうで少しアレンジしたものであり、ある意味で細かいところはフィクションである。（情報提供者様ありがとうございました。）

　ある日Aという会社から「転換社債を買いませんか？」と勧誘が来た。こちらは一口10万円としておこう。

　最初は断ったが、何度も何度もしつこく電話をかけてきては「年利は12％と高いです」「今年9月には上場が決まってます」「公募は50万円以上です」だのとお決まりの美味しい言葉を並べられ、とうとう2口だけ買ってしまった。

　社債を購入して数日後、aという会社から電話がかかってきた。このa社、実はA社の社債を買い取る前から電話がかかってきたのだが、その時は気にも止めていなかった。

　aの営業マンは色々言っていたが、詰まるところ「Aという社債を持っていませんか？」ということである。

　そしてこのaの営業マンが言うには、

「Aの社債を買いたいという人がいます。その方はAの大株主になりたいんです。そこで大株主になるには200口分転換社債が必要なんです。」、

「現在その方は195口持ってます。後5口で200口になるので5口売ってくれませんか？5口200万円で買い取ります」

と言ってきた。

　1口10万円で買ったものが、4倍で売れるわけである。そこは非常に美味しい話（？）である。しかし自身は2口しか持っていない。その旨をaの営業マンに話したところ、

　「2口では買い取る意味がないので買い取れません。しかし後3口Aから買えば、合計5口になるので買い取らせて頂きます」

と提案された。

　あと30万円足せば、数日後には200万円で買い取ってくれるとなれば、乗らない手はない（？）。

　早速社債発行会社のAに連絡をし、追加で3口分購入した。

　5口が揃ったところ都合よくaの営業マンから連絡が入る。

　「3口買えましたでしょうか？」

　3口買えて合計5口になったので、ぜひ買い取って欲しいと伝えたところ、aの営業マンは

　「ぜひ買い取らせていただきます。先方にすぐに連絡します。」

　と嬉しい（？）答えが返ってきた。

　翌日、aの営業マンから電話がくる。

　「先方様も喜んでいました。それでは1週間後の〇日にお金を持って先方様と伺います。」

と伝えられ、万事問題なくことが進むはずだった。

　しかし、楽しみにしていた〇日の2日前、aの営業マンから電話がくる。

　「とんでもないことが起ってしまいました。先方様が昨日入院されてしまいました。そんな訳で〇日行けなくなってしまいました。病状もかなり悪いようで、1ヶ月ぐらいは入院が必要なようです。買取の話も少し待って下さい。」

　これで5口分買い取ってくれる話が1ヶ月以上先になってしまった。

　話はここで終わらない。

　2口分はともかく3口分は買取の為に買ってしまったものである。1週間後には現金化出来ると思っていたのに非常に困ってしまった。

　そこに、渡りに船（？）エーという会社から「Aという社債持っていませんか？」電話がかかってきた。

　YESと答えると、

　エーの営業マンは

「今A社の社債を大量に集めてます。1口2口では買い取れませんが、10口以上お持ちであれば10口500万円で買い取ります。10口以上でお持ちでなければこの話は忘れて下さい。」と言ってきた。

　5口しか持っていないので、買い取ってくれない。さてどうする。こうなったら何がなんでも買い取ってもらいたいので、A社に電話してあと5口買うしかない（？）。

　翌日A社に電話してあと5口欲しい旨を伝えたところ、しぶしぶ（？）売ってくれた。

　10口揃ったところ、また都合よくエーの営業マンから連絡が入る。

「10口売って頂けますか？」

　YESと答えたところ、

「それでは〇日にお金を持って伺いたいのですが如何でしょうか？」

　と聞かれた。

　少し困った。先ほどお金を振り込んだばかりなだけに、まだ手元に社債券がない。

　エーの営業マンにはなんとかいい訳をしまた後で連絡すると伝えた。

　その後即A社に連絡し、〇日の前までに社債券が届くかどうか確認したところ問題ないとのことだったので、エーに連絡し、〇日の約束を取り付けた。

　しかし、〇日の前日なぜかA社から連絡が入る。

　A社曰く

　「郵送社のトラブルで〇日まで社債が届かないと連絡が入りました。でも×日（〇日の2日後）には届きますので安心して下さい。」

　すぐにエー社に連絡をし、〇日ではなく×日にして欲しいと伝えたところ

「〇日ではないと無理です。それでは契約破棄になります。そんなに日にちを変えるような方は信用なりません。」

　と取り付く島もなく断られてしまった。

　これで、10口分買い取ってもらう話も流れてしまった。

　きっちり×日にA社の社債券が届いたのは言うまでもないだろう。

　結局手元には、A社の社債10口分が残った。

　このA社の社債を買ってしまった投資家の方には、今でも

「A社の社債持っていませんか15口以上なら買い取ります」

「20口以上なら買い取ります」

と言った勧誘が続いている。　

買取業者 ～2パターン～

　最近は、この「買取業者」というのが非常に多いようである。

　買取業者については当ブログでも散々書いてきたおり、ただ一度も「買い取った」という話は聞かないというのも散々書いてきた。

　その買取業者は大きく別けて2パターンに別れると思う。そこで今日はその2パターンを書いていこうと思う。もしかすると買取業者については何度か書いているので内容が重複してしまうかもしれなが、そこはお許し願いたい。

パターン1：マッチポンプ

　これは昔からある買取業者の形態であり、いわゆるマッチポンプである。

　「○○の株を持っていたら高値で買い取りますよ」と、そこでお得感を出し、その対象で○○の株を買わせる感じである。

　ただ、最近はもっといい回しが複雑化しているようで、例えば

　「○○の社債を買ってくれたら、お手持ちの未後悔株を買い取ります」もしくは「お手持ちの未後悔株を買い取ってくれる方を紹介します」と買取の対象を他の銘柄にすり変える方法。

　こちらの変形で、先に「お手持ちの未後悔株買い取ります」と言って後から「○○の社債を買って下さい」と条件を出してくるパターンもある。

　また、買い増しパターンというのもある。

　「○○の株を5株以上でしたら買い取ります」と言って対象の株やら社債を買い増しさせるパターンもある。

　さらにこの手のマッチポンプを複雑化させているのが、1つの銘柄に対して数社の買取業者から電話がかかってくるということだ。

　どうも数社から「買い取ります」と言った勧誘がくるとどこかがこけても、どこかが買い取ってくれるだろうと勘違いする可能性があるようだ。また、少数だとは思うが、数社から電話がかかってくると「○○の株・社債はいいものなのではないか」「本当に上場するのではないか」と勘違いすることもあるようである。

　そしてさらに複雑化しているのが、電話番号がすべて違うというのもあげられるだろう。携帯電話などは論外としても、固定電話でも数回線用意しているようである。さらには、住所まで別のところを用意している業者もあるようだ（例えば販売業者：東京、買取業者：大阪）。

　本当に最近はただのマッチポンプでも相当手が込んできている。

　ちなみにだが、1つの銘柄に対して3社4社と買取業者から電話がかかってくるので、当然のことながら買取業者の電話は多くなるというわけだ。

　パターン2：手数料搾取

　こちらは単純に、手数料だけ取るパターンである。こちらはパターン1と違って決まった対象の銘柄は存在しなし、「変わりに○○を買ってくれ」といった事もない。

　「お手持ちの未後悔株買い取ります、つきましては手数料〇万円頂きます」と言った感じである。

　この手数料は例えば、そのまま「手数料」だったり、「紹介料」であったり、はたまた「交通費」「実費」といったり色々いい回しは変わったりする。

　こちらの場合は特に、その業者はすぐにいなくなる可能性があるので（パターン1の場合も結局はいなくなるので一緒だが）、振込詐欺にどちらかと言えば近い部類になる。

　1と2は表向き同じ「買取業者」だが中身はまったくの別物である。

　1の場合はある対象の銘柄の株（社債）を買ってもらうことが最終目的であり、2の場合にはストレートに手数料を振り込ませることを目的としている。

　こちらは何度も書いていると思うが、この手の買取業者の対応は簡単である。

　「先にお金をもらう」これだけである。別に全額でなくともよい、手付金として半額でも貰えばいいわけである。

　逆に言えば、買取業者から1銭でもお金を貰わない限りは、こちらから1銭も払わなければいいだけである（もしくは先に対象の銘柄を買わない）。

　これさえ守っておけば、買取業者の勧誘などに引っ掛かることはない。　

追記

最近、社債で「モンゴルマテリアル」「沖縄フロンティア」「アンゴラダイヤモンド」「ガンテックジャパン」というのが流行っているようである。

「モンゴルマテリアル」は前述したが、マッチポンプ会社が大阪にも存在しているようだ。

また「ガンテックジャパン」は旧ウィズ〇ムキャピ〇ルの残党が勧誘しているという情報を頂いた（夜様ありがとうございました）。

社債なので、細かいことは言わないが、間違いなく「スーパーハイリスク、ローリターン」の投資となるので、ご注意を！