妻からLINEが届く。
「割ってしまったー😭」
そしてサムネイルの写真が届く。
おっと。
家具に特別なこだわりがあるわけではないが、勧められて気に入って買ったルイスポールセンの傘の部分が破損している。
実はこの部分にはたまに頭をぶつける時がある。故にすぐに思ったことは、勢いよくぶつけてしまったのか、だとすると怪我がないか心配になった。
僕「大丈夫?怪我ない?」
妻「大丈夫です。ごめんね。」
??
どういうことだ、大丈夫なことは良かったのだか、その謝るなんて。そりゃ、2人で気に入って買ったが、事故のような破損ならしょうがない。
妻や子どもに怪我がない時わかったので、あとはフランクな感じで聞くことにした。
「よく割れたね、何か当たったの?」
まぁ、何かが当たり割れるのはしょうがない、野球ボールが窓に当たれば割れるわけであり、子どもが何か投げたか、何か棒のような物が当たったかで割れたのであろう。と、当たった固い何かがどのようなものかに興味が向いていたが、妻からは想定外の答えが返ってきた。
「私の投げた漢字ファイルがあたりました」
なにっ!?漢字ファイル?
しかも投げたのお前か。
ちなみに僕の家の食卓は妻と息子が隣同士、僕と娘が隣同士で、それが向かい合っているごく一般的なフォーメーションで、ルイスポールセンはその机の上に2つ吊っている。
今回割れたのはそのうちの1つであり、これは妻に近い方が割れた。
ちなみに今回妻がキレたのは息子らしい。僕は娘かと思っていた。何故なら妻からは漢字ファイルを投げやすい位置に座っており、娘に投げたら誤って少し上に行きルイスポールセンと衝突するかもしれない。
息子となると、前では隣なので、キレて前に投げたのではない。前というか上である。
ちなみに投げることはよくあるので、そこは驚きはしなかった。素直だが馬鹿な息子と、頭はいいが性格が歪んだ娘のコンビによく妻はキレる。そして教科書やらが宙を舞う。だからそれは驚かないが、ルイスポールセンが割れる位置に投げるとなると話は異なる。
ふざけんなって前に投げたのではなく、もう嫌だ!って言いながらちゃぶ台返しのように上に放り投げたのではないか。だとしたら漫画のような仕草である。
ただ、妻は珍しく落ち込んでいる。何て声をかけようかと思ったが、急に僕に浮かんだ光景は遠い昔の光景であった。敗れたふすまに、剥がれかけた壁紙、全て小さい頃に僕と姉がやった遊びの果てに、今となっては懐かしい思い出であるが、そんなノスタルジックな光景が蘇った。そして、同時に何故か格好をつけたい僕も出現した。
「良い思い出になるね」
数年後にこれはママがブチ切れて、漢字ファイルを上にぶちまけて割れたんだよ。懐かしい思い出だね。
いや、無理があるな。
やはり、ただ感情に任せてブチ切れ、あげくの果てに物損に繋がったB型妻の黒歴史でしかない。
そう思いながら僕は仕事に戻ったのである。