ジョゼと虎と魚たち | 曽川沙也伽

曽川沙也伽

記憶と感情を創っては吐いてるだけ。



初めから結末の解っている物語を
わざとワクワクとしながら読む
否、もしかすると違う結末になるのではないか
と少しばかりの期待もしていた。

貴方がくれた
たくさんの初めてと
たくさんの歓びと
愛と傷を深く深く味わっては
諦め、という怖さと隣合わせにある
甘さを噛み締めてた
初めて信じみたかったの、温もりを。

信号は夜中に点滅していること
キラキラと光る海、トンネルのライト
魚はベッドからも見えた。
私の知らなかった所へと簡単に連れて行ってくれた。
あの小説のあの台詞の中みたいだ。
きっと貴方に言ったってわかりっこない。
ずっとずっと笑顔を私に向けてくれるなら
世界で一番エッチなことしてあげてもいいよ。
そう満たされればまた、不安がよぎって足掻いた


本当は”いつか”の別れが近いことも知っていた
ほらね、また一人ぼっちだ
あえてそんなこと言わなくたっていい。
惹かれ合ったあの時を、貴方を裏切りたくはない
だけど想い合う強さを知ったら、弱くなった。

だからこそ、もう二度と会うこともない。
たくさんの感情を知ってしまった私に
底辺まで落ちることはできない
また、どこかで思い出したりしてしまうから。

きっともう死ぬまで
虎は見ることはないでしょうけどね。

すがった温もりさえ
今は足に痛みが走るような感覚。








映画「ジョゼと虎と魚たち」