大変なご時世ですが、芸術文化に日々携わっている者のとして、この状況の中何が出来るかを日々考え取り組んでいます。

 
 
まず、3/28 安倍首相の会見をリアルタイムで観ていました。
 
東京封鎖のロックダウンは、今の時点ではないと言うけれど、瀬戸際であり、自粛要請の日々は長期化すると、で具体的なものは・・・。
 
そして芸術文化に対して。
「こういう時だから人々の心を癒す、文化や芸術、スポーツの力が必要です。
困難にあっても、文化の火は、絶対に絶やしてはなりません。
ただ、どうしても感染拡大防止が最優先となるのが現状あり、この難曲乗り切った対策をします。」
 
という短い内容。
やっぱり、「ただ」という一言のあとが本心。
 
そしてそのあとの記者との質疑応答で
「要請に伴うイベントの損失。文化・芸術は大切だが税金での保障は難しいと・・」と首相のお言葉
 
 
 
また 28日文化庁長官からメッセージ
 
宮田長官はイベント開催を見送った事業者などに対し感謝の意を表明。イベント中止という選択について、
「芸術家としても生きてきた私の人生を振り返っても、過去に幾度となく、災害などで文化芸術活動の継続が困難となる事態に遭遇しました」としつつ、
「困難に直面した人々にやすらぎと勇気を与え、明日への希望を与えてくれたのもまた、文化芸術活動でした。この困難な時こそ、日本が活力を取り戻すために、文化芸術が必要だと信じています。日本の文化芸術の灯を消してはなりません」

しかしながら、具体的な補償についての言及はなく、
「私が先頭に立って、これまで以上に文化芸術への支援を行っていきたい」と。。
 
ある程度予測はしていたことですが。。とても残念です。
 
さて世界はどうでしょうか?
 
美術手帳のサイトに各国が芸術対する保障記事
 
芸術大国ドイツはさすがです。
 
 
ドイツの連邦政府、文化およびメディアの大臣モニカ・グラッターズ氏がコロナウィルスの影響で活動中止, 閉鎖に至った全ての芸術家、フリーランスの芸術家、芸術機関等に大きな理解を示す声明文を出しました。
 
以下は森優貴さんが翻訳しFBでシェアしてくださったものです。

芸術家に理解を示すだけでなく、
国民に「芸術文化というものが余裕がある場合にご褒美としての贅沢な物ではなく、今こうして中止/閉鎖/自粛する事で初めてどれだけ私たちの暮らしの不可欠な物であるか、どれだけ恋しくなるのか」と言うような言葉も。

芸術家、芸術機関にとって差はあるけれどそれだけの損害が出るかに対しても、小さなプロジェクト企画主催者であるフリーランスアーティストは特に難が大きいにしろ
「決してこの状況の中でも私たち連邦政府は文化、芸術を見捨てはしない。数十億ユーロの援助パッケージでこれらの約束を守る」というような言葉も。
 
イギリスは、イングランド芸術評議会、アーティスト支援に1.6億ポンド 新型ウイルス対策
参考文献 BBC記事 美術手帳
 

アートや博物館、図書館など文化と芸術に関与している個人や組織を保護するため、イギリスのアーツ・カウンシル・イングランド(ACE)が1億6000ポンド(約212億円)の緊急資金を提供することを発表した。

 その内訳は、ACEが定期的に資金提供するアート組織である「National Portfolio Organisations」に9000万ポンド(約120億円)、それ以外の組織に5000万ポンド(約66億円)、アーティストやクリエイター、フリーランサーなどの個人に2000万ポンド(約26億円)を提供する。

 

 

という国の温度差をひしひしと感じます。

今の時点では、ロックダウンになってないので大丈夫ですが、

 

私自身、6月11・12日に DnceMarchéのカンパニー公演があります。

「オペラ座の怪人 Phantomファントム」

です。

 

ダンサー育成プロジェクトでもあり3月から月〜金まで毎日のレッスン&リハーサルを重ねています。

 

こういう状況でもやり続けるのは、芸術は贅沢品ではないし、ひとりよがりでもないからです。

 

創造を生み、人を育て、雇用を生んでいます。

 

舞台芸術は、ダンサーや振付家のものだけではないです。

 

照明チーム、舞台チーム、音響チーム、衣装チーム、制作チーム、などなど、たくさんの方と創っています。

 

こういう状況でも、日々ダンサーとリハーサルしながら、スタッフとのやりとりがあり、一人一人がこの公演のために試行錯誤しながら創っています。

 

それは、観てくださるお客さんのために!

 

全員が一丸となっています。

 

 

 

 

こんな大変な状況でなくても、日本で舞台芸術をやり続けるのはとても大変でエネルギーが必要です。

 

その原動力は、何か。

 

「使命感」 ただそれだけのような気がします。

 

私は、今の若い世代のダンサーを育て、スタッフと一緒に良い作品を創る。

それを観る未来のバレリーナ・ダンサーたちのために。

「将来、日本の舞踊界も悪くない!」

「舞台って面白いね! 私も踊りたい!」

 

未来のために還元してきます。 

 

 

そして状況が大変でもやり続けるのは、311の東日本大震災があったからです。

 

あの年、7月には公演をやっていました。

震災後、私自身、芸術をやるべきでないと思い、

心身とも悩んでいて、

 

直後に訪れた瀬戸内海の直島や犬島のアートにふれて、

 

「すごい勇気をもらい、溢れる涙が止まらなかった。

日常から解放された瞬間でした。」

 

救われたんですよね。私自身が。

 

なのでその年に公演をやろうと決めたのですよね。

 

「きっと舞台を観て心がふわっと軽くなる人がいるはず。」

 

そして、舞台をやり、とあるお客様から

「こんな大変な時期に舞台をやってくれてありがとう」というお言葉をいただき、

 

こんな私でもやる意味があったと思えた瞬間でした。

 

 

 

 

今回のこの公演は、今まで以上に大変になる公演だと思います。

 

 

(文化芸術に保障はない日本ですが)毎日政府の状況を聞き判断をしながら、進めていきます。

 

だからと言って、決して妥協はしません。

その中で最善の方法を見つけてきます。